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2008年・関係団体の行動の基本

課題解決のための計量を

(社)日本計量振興協会会長 飯塚幸三 


飯塚幸三会長

 新年にあたり謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
 昨今のわが国の経済情勢は、原油高と米国の金融不安などから先行きが不透明ではあるものの、各産業が引き続き順当な収益を上げており、なかでも製造業がものづくりにおける技術的な優位について自信を取り戻したことは喜ばしい限りです。一方、昨年は地球環境問題、すなわち気候変動の可能性が現実の問題として広く認識された歴史的な転換点として記憶される年であったと思われます。すなわち気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書がまとめられ、京都議定書の枠組みから離脱した米国も新たな枠組み作りに力を入れるなど変わってきています。中国・インドなどの人口大国の工業化は化石燃料だけでなく鉱物資源や穀物の需給に大きな変化をもたらしつつあり、わが国の産業には新たな課題となっています。今後の気候変動の予測や温暖化ガスの排出量評価、あるいは資源探査には正確かつ普遍的なデータの取得が不可欠であり、一層高度な計量技術が求められると同時に、世界的なトレーサビリティ確保の必要性が高まるものと思われます。
 一方、昨年における国内の事件としては、年金問題は別として、かつての建築基準に対する偽装事件に続いて食品に関わる偽装事件が多数告発されたことが挙げられます。幸い量目などの不正ではなく、賞味期限や原産地表示の問題が多く、計量の信頼性が問われることはありませんでしたが、消費者の関心が量より質に向かっているためでもあり、引き続き確かな計量を維持していくことは我々計量関係者の責務であることに変わりありません。同時に今後の計量知識の普及・啓発においては、「質」の計量についても併せて考えていく必要があると感じられます。ここで「質」と申しましたのは多くの場合「品質」という表現であてはまると思いますが、品質とは、味や音質などの官能的な量として、あるいは耐久性などのように複合的な量として表される場合もあれば、個々の物理量などに分解して評価され、それらの総合的な評価として表示される場合もあると思われます。しかしいずれにせよ、決められた手段による計量によって評価されるべきものであり、近い将来、広い意味での計量の対象として取り込んでいくよう努力すべき課題と考えています。
 現実には、私どもの日本計量振興協会は設立以来、伝統的な計量に関わる活動を主体として、一貫して計量・計測の意義の理解と啓発、計量標準とそのトレーサビリティならびに計量法に関わる技術の研修と情報交流などについての事業を進めてまいりました。今後も引き続き上記の啓発活動のほか、日本郵政グループからの受託による計量管理業務、JCSSに基づく力計、一軸試験機、ガラス製温度計、分銅などの校正業務を着実に実施するほか、関係方面のご支援により、新たな課題にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 本年も役職員一同、一層充実した活動をしてまいる所存でございますので、引き続きご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

(以上)

 
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