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2015年 計量関係団体 年頭所感

生産革命のポイントは計測技術

日本精密測定機器工業会会長 吉田均

吉田均 皆様、あけましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。また、皆様には平素より日本精密測定機器工業会の活動に深いご理解とご支援、ご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 おかげさまで昨年は当工業会も創立60周年を迎え、その記念を皆様とともに盛大に祝うことができました。心から感謝を申し上げます。次の70年、80年、そして100年に向かって新たな気持ちでスタートしますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 昨年を振り返りますと、急激に進んだ円安効果により輸出量の多い企業を中心に多くの国内メーカーにおいて収益を大きく伸ばすことができました。また、このところの株高により一部では景気の上向きを感じさせ、雇用も着実に拡大し完全失業率も下がっています。しかし、一方では4〜6月の第2四半期に続き7〜9月の第3四半期も国内総生産(GDP)の成長率がマイナスに転じ、消費増税の影響から抜け出せていないところが気にかかります。さらに、電気料金の値上げや原材料費の高騰により製造原価は確実に上がっており、景気の流れをものづくりの最前線まで行き渡らせることが必要となっています。昨年末に発足した新内閣主導による政府には、まずは力強い景気回復に向けた施策を、そして、次の世代が安心して暮らせる環境づくりを切にお願いするしだいです。
 そのようななかで日本のモノづくり産業に着目すると、円安を背景に生産量は徐々に回復しているものの、すでに海外へ流出した部分も多く、まだ多くの企業でリーマンショック前に戻すことができていません。今後も高齢化と人口減少が確実に進むなかで日本のモノづくりを拡大させるためには、やはり輸出量を増やすしかありません。そのためには、日本のモノづくりの特長である高い品質と確かな信頼性をより進化させるととも共に、生産性の向上をおこない海外市場での競争力を強化することが重要です。また、優れた技術による付加価値の高いモノづくりを伸ばすことも大切です。
 今、ドイツではオートメーション化をさらに進化させたスマート生産システム「インダストリー4.0」プロジェクトが進められていますが、わが国でもそのような生産革新が必要だと感じています。そのなかで、キーとなるポイントは計測技術だと確信しています。生産ラインをコントロールするセンサー技術や加工物を測定し生産ラインにフィードバックする計測技術です。そして、その計測の信頼性を向上させるため、さまざまな環境下での不確かさの低減やトレーサビリティの確立も今後の重要なテーマの1つと考えています。
 当工業会としては「国際競争力のあるものづくりに貢献する計測技術」と「計測はものづくりの原点」をモットーに今年も取り組んでいく所存です。単に高精度、高機能を追求するだけではなく、生産の効率化や品質向上などに役立つ、よりアプリケーションに即した測定技術を提供したいと考えています。
 最後になりましたが、皆様のますますのご発展とご健勝をお祈りすると共に、今年が日本のモノづくり産業が世界で飛躍する年となることを祈念申し上げ、年頭のごあいさつとさせていただきます。

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