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2006年・関係機関の行動の基本〈経済産業省〉

科学技術創造立国の実現に向けて

経済産業省産業技術環境局長 肥塚雅博 


 平成18年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

 現在我が国経済は、国内民需主導により緩やかに回復しつつも、緩やかなデフレ傾向が継続し、業種、地域にばらつきがある状態です。また、中長期的には、少子高齢化と人口減少社会の到来、グローバル化と国際競争の激化、エネルギー・環境制約の高まりなど、我が国を取り巻く環境が大きく変化しております。

 このような中、我が国経済の活力を中長期的に高めていくためには、イノベーションを創出する産業技術競争力の強化、産業競争力や安全・安心な社会を支える標準等の整備、環境と経済が両立する社会の構築が必要です。

 産業技術環境局におきましては、産業技術、基準認証、環境の3つの政策を連携しつつ、民間企業や大学等の取り組みを積極的に支援するなどして、科学技術創造立国実現に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。

 まず、産業技術政策につきましては、本年3月の策定に向け、現在政府内でとりまとめが行われている第三期科学技術基本計画のもとで、着実に進めてまいります。

 第一に、研究開発の戦略的重点化を進めてまいります。政府として歳入歳出改革が課題となる中、研究開発の効果的・効率的な実施を促進するため、昨年3月に策定した「技術戦略マップ」を積極的に活用し、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や(独)産業技術総合研究所(AIST)との連携を図りながら、研究開発投資の戦略的重点化や異分野融合の研究開発の推進、規制改革・標準化といった関連施策と研究開発との一体的取り組みに努めてまいります。また、研究開発促進税制を始め、民間企業の研究開発支援にも取り組んでいく所存です。

 第二に、産学官連携の多面的な展開に取り組んでまいります。産と学の実用化研究開発を促進するとともに、「大学発ベンチャー1000社計画」の達成を受け、今後は量から質への転換を目指し、大学発ベンチャー支援者ネットワークを一層強化してまいります。また、各大学における産学連携活動について、産業界の視点に立った評価を行うことにより、産学官連携の更なる深化を目指します。さらに、我が国の産業競争力の源泉たる「人材」を確保するため、産学連携による製造業の中核人材の育成や、産業界のニーズに対応した大学の教育活動の実現に資する手法開発に取り組んでまいります。

 次に、我が国の優れた技術を核として、産業競争力の強化や安全・安心な社会システムの構築を実現していくため、基準認証政策を推進いたします。

 本年は、1906年の国際電気標準会議(IEC)の設立会議に参加した我が国にとって、国際標準化活動参画100年の節目の年であります。この機会をとらえ、これまで以上に産業競争力の強化のために戦略的な国際標準の獲得を推進し、製品の安全性確保などの社会ニーズに対応した標準化を促進してまいります。また社会ニーズに迅速、的確に対応できるよう、標準化に関する人材の育成にも取り組んでまいります。加えて、標準化の重要性についての理解増進に努めてまいります。

 また、適合性評価制度につきましては信頼性の確保に努めてまいります。特に昨年10月より新制度を開始したJISマーク制度につきましては、流通等の指標としてより一層活用していただけるよう、信頼性の維持などに努めてまいります。

 安全・安心を科学的に支え、新産業創造の基盤となる計量標準などの知的基盤については、環境、食品、健康等の分野での安全・安心へのニーズの広がりに対応すべく整備を加速すると共に、中小企業への計量標準供給体制強化など、モノ作り産業の競争力の基盤として活用を促進してまいります。また、公正な経済活動等の社会の基盤を担う計量制度の適正な運用と共に、時代の変化に対応した合理的な制度の構築に向けて、検討を進めてまいります。

 最後に、環境政策につきましては、経済活性化やエネルギー政策と両立させつつ、地球温暖化問題や循環型社会の構築といった人類共通の課題に、積極的に取り組んでまいります。

 まず、地球温暖化対策につきましては、京都議定書の約束の確実な達成に向けて、昨年4月に閣議決定した「京都議定書目標達成計画」に基づき、国民各層一体となって省エネルギー対策・新エネルギー対策等を確実に実施するとともに、京都メカニズムの一層の推進を目指して、政府のクレジット購入制度の構築を図ります。また、昨年の第11回気候変動枠組条約締約国会議では、京都議定書の約束期間が終了する2013年以降の枠組みのあり方について、米国や途上国も含めた長期的協力に関する対話の開始が決定されるなど重要な進展がありました。今後とも、全ての国が参加する実効ある枠組みの構築に向けて積極的に貢献してまいります。

 循環型社会の構築につきましては、資源の一層の有効利用の促進等の観点から、容器包装リサイクルを始めとする各種リサイクル制度の見直しを進めるとともに、製品のライフサイクルを通じた環境配慮設計(DfE)を促進します。さらに、日本からの循環資源の輸出量が増大しているアジア域内においても、資源有効利用を促進することで資源消費量を抑制し、同時に環境汚染の拡散を防止できるよう、域内における資源循環ネットワークの構築に向けた取組を推進してまいります。

 さらに、これらの施策を進めるにあたっては、環境に配慮した企業経営の促進・環境ビジネスの育成支援といった視点を重視いたします。

 以上、産業技術環境局が今後取り組む施策の一端を申し上げましたが、当局に課せられた役割の重要性を十分認識し、全力で取り組んでまいりたいと思います。本年も皆様の経済産業省に対する一層の御支援、御理解を賜りますようお願い申し上げます。最後になりましたが、本年一年の皆様の御多幸と御健康を祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせて頂きます。

(以上)

 
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