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2006年・関係機関の行動の基本〈産総研〉

活動の幅を広げるAPMP

APMP(アジア太平洋計量計画)事務局長 藤間一郎 

 APMPはアジア太平洋地域(南北アメリカを除く)の国家計量機関(NMI)からなる地域計量組織(RMO)であり、その設立は1980年に遡ります。当初は途上国援助がその活動の中心でしたが、現在ではその活動の幅を拡げ、2005年は2つの研究機関が新たに加盟し、2005年末現在で26経済圏から37機関が加盟しています。年1回の総会の他、各種技術委員会や途上国向けセミナを頻繁に開催する等、活発な活動を行っています。

 この背景には、貿易の自由化という経済的な要請の中で、技術的な基盤である計量標準のトレーサビリティ確立が各方面から強く求められていることがあげられます。そしてAPMPは、校正証明書の国際相互承認(メートル条約におけるMRA、以下起草したメートル条約諮問委員会の名をとってCIPM-MRA)に関わる、校正項目リストの作成について、内容を評価し信頼性を担保する役割を担っています。

 CIPM-MRAとそれに関わる校正項目リストについては本誌読者の皆様は先刻ご存じのことと思いますが、改めてご説明しますと、1999年に調印されたCIPM-MRAでは、調印機関の計量標準についての同等性を認め合い、発行する校正証明書を相互に承認することを定めています。具体的にはどの機関の、どの量目を、どの程度の不確かさで承認するかを技術的に確認し、その校正項目リストを作成、リストに掲載された項目について当該機関が校正証明書にその旨を記載できることとなっています。また、2006年にはCIPM-MRAロゴを付記できることとなる見通しです。これによりメートル条約を背景として各機関が国の枠を越えて相互の校正能力を監視し、信頼性が向上することが期待できます。

 しかしながらこの校正項目リストの作成には、国際比較への参加履歴確認、品質システムの内容評価等、高度な専門知識と多大な労力が要求されます。さらに調印機関(当初39カ国)、量目範囲とも増加しており、その労力はさらに増大する傾向にあります。このため従来のメートル条約に基づく国際機関だけでは総てを賄うことができないため、世界を地域ごとに分割し、作業を分散するという方式がとられ、アジア太平洋地域ではAPMPがその任にあたることになったわけです。このような重要な局面で、日本は1999年から事務局国となり、校正項目リストの審査基準、途上国における品質システム指針等、多くの方針を打ち出してきました。

 昨年9月5日(月)より9月9日(金)まで、21回目のAPMP総会が韓国・済州島で開催されました。今回の総参加者数は280名を超え、これまでで最大規模の会議となりました。日本からは加盟機関である産業技術総合研究所計量標準総合センター、情報通信研究機構電磁波計測部門、化学物質評価研究機構東京事業所からの関係者が参加しました。これらの活動についてはAPMPホームページ(http://www.apmpweb.org/)に紹介されておりますので、ご覧頂ければ幸いです。

 当事務局としては計量標準のトレーサビリティ確立に向け、さらなる努力を傾注する所存です。関係各位の変わらぬご支援を心よりお願い申し上げます。

(以上)

 
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