新年明けましておめでとうございます。平素より、計量標準総合センターの活動にご協力いただき、まことにありがとうございます。
この場をお借りして、計量標準総合センターの最近の活動、計量標準を取り巻く動きなどについて、紹介させていただきます。
多くの読者の方々はすでにご存知と思いますが、計量標準総合センターは、独立行政法人産業技術総合研究所の計測標準研究部門と計量標準管理センターという2つの組織が連携したものです。日本の国家計量標準機関(NMI、NationalMetrologyInstitute)として計量標準の開発、維持、供給を行っており、また法定計量に関する業務や教習も行っております。英語名称はNMIJ(NationalMetrologyInstituteofJapan)を使用しており、常勤職員数約280名、予算も含めて、産業技術総合研究所全体の1割程度という規模です。
計量標準総合センターでは、欧米並みの計量標準をそろえるべく、2010年までに物理標準250種類、化学標準(標準物質)250種類を整備することを目標に、研究・開発を進めてきました。皆様のご協力もあり、平成17(2005)年度末には物理標準232種類、標準物質225種類が整備され、目標を達成できる見込みとなっております。
また、基本的な計量標準だけでなく、近年、特に安心安全にかかわる標準物質の整備等に関する要請が高まってきています。これに応えるべく、計量標準総合センターでは、平成18年4月に、計測標準研究部門に標準物質システム科を、計量標準管理センターに標準物質認証管理室を新設しました。これらの部署を中心として、臨床検査関係の標準物質の整備などを積極的に進めていこうとしております。
計量標準の世界では、対象とする分野が次々と広がり、新しい要請やそれに対する取り組みが出てきているわけですが、世界的な動きとしても、同様なことが言えます。国際度量衡局(BIPM)においても、3つの国際機関が連携したJCTLM(JointCommitteeforTraceabilityinLaboratoryMedicine)が、臨床検査のための標準物質、標準測定法の選定、データベース化について活発な活動をしていますし、昨年1月には、BIPM、法定計量の世界機関のOIML、認証に関する世界機関のILACが、計量標準やトレーサビリティ等の重要性について共同宣言を出しています。今後ますます、国際的な連携、あるいは他の機関との連携が必要かつ重要になってくると考えられます。
計量標準総合センターも、単独では不可能な標準の整備などにおける他機関との連携や調整などに、今後一層取り組んでいかなければならないと考えています。
法定計量においても、計量器の技術基準をJISによって定める作業が着々と進められ、新しい技術的要請に機動的に応える体制が整えられつつあります。また、型式承認試験の成績書を参加国の間で相互に受け入れあうMAA(MutualAcceptanceArrangement)制度が発足しました。計量標準総合センターでは、非自動はかりとロードセルについて、昨年9月にこの制度に参加しました。昨年10月末にはEU域内が統一計量法(MID、MeasurementInstrumentsDirective)によってひとつになり、MAAの発足とあわせて、技術的な国際整合性への動きにとって、大きなマイルストーンとなったと考えられます。
以上、計量標準総合センターの活動、関連した動きなどを紹介させていただきました。
最後に、本年が皆様にとって実り多い素晴らしい年となることを祈念いたしまして、ご挨拶といたします。
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