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2008年・関係機関の行動の基本〈産総研〉

一次情報の信頼性が問われる時代に

(独)産業技術総合研究所計量標準総合センター長 田中充 

田中充

 あけましておめでとうございます。

 本年も皆様にとってご繁栄とご健康の一年となることをお祈り申し上げております。

 当センターも皆様とともに計量のトレーサビリティーを技術的な側面から支える事業に従事しておりますが、日頃よりの皆様の高いご関心に心から感謝申し上げております。

 特に昨年は安全安心の問題が国内各方面で発生し、さまざまな情報の信頼性が問われつづけました。情報技術の高度化が進み、情報を伝える技術の高度化・高速化、情報処理量の増大などのお陰で、五感により密接にうったえる情報を楽しめるようになりました。しかしここに来て今や情報の内容の信頼性が問われているわけです。これは一に、一次情報の定量的な信頼性とその透明な表示方法に依っており、まさにトレーサビリティー技術に係わる皆さんの事業への期待が益々高まっていることを指し示しています。

 様々な目新しい食品が味覚を満足させ、新しいレジャーが人の嗜好を拡大する、また新しい保障制度が多様な老後の安心を確保するというこの時代には当然情報の量が拡大します。この膨大な情報それぞれを、個々人が日々適正な判断に結びつけることは不可能でその外注先としてのビジネスを利用しなければ成りませんが、ここに計量の信頼性の課題が登場するのです。このことは個人に限ったことではありません、政府の行う規制や施策ついても求められています。この中、現在のわが国の一次情報軽視の風潮では、情報の質つまり信頼性が無視され、加工した情報つまり形ばかりが前に進むのは当然の成り行きかも知れません。原産地情報のトレーサビリティーも一時の安心の為に大切ですが、それが合理的な食品安全に直接つながる情報では無いことは明らかです。原産地が安全な食品の供給元である情報と、原産地情報があって始めて安心にお正月の料理を食べられるのです。まさに、計量のトレーサビリティーこそが安全に結びついていること、皆さんのご活躍の上に安全安心の生活、ひいては産業活動が支えられていることを、世に示すことが求められています。

 冒頭に、一年のご健康について申し上げましたが、健康関連と言えば、今年はオリンピックの年、野球にサッカーに我が選手団の活躍が期待されます。 一方、このスポーツを通してわれわれの健全な体を保つことがその肝要の一つ、そこに計量が大きな役割を果たすことは明らかです。

 2008年の世界計量デーのスローガンは、「スポーツと計量」となるそうです。ドーピング検査は公平な競争とスポーツマンの健康を保証するための措置であるとともに、その問題への認識は、健康のすばらしさの持つ機能とそれを体の安全とどのように共生させるかを、トレーサブルで明白な計量情報を元に考えることの大切さを世の人に知って貰う良い機会と成っています。 是非ともこの活動にご参加下さるようお願いすると共に、年頭にあたり、当センターへの変わらぬご支援を賜りたいと存じます。

(以上)

 
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