2006年9月27日、私はブダペストのハンガリー計量研究所(OMH)を訪ねた。ハンガリーは東欧・西欧の中間地点にあるマジャール文化の国、首都ブダペストはドナウ川をはさんでブダとペストで構成される美しい町である。この地はこれまでもユニークな人材を世界に輩出した。音楽家のリスト、バルトーク、コダーイ、それに1980年代に大ヒットした立体パズル「ルービック・キューブ」はこの地の建築学者ルビク・エネーの発明である。世界中に3億個売れたと言われる。
訪問先は、計量研究所のパタキ博士、それに電気博物館のジェセンスキー博士である。ハンガリーは電気技術の先進国で、ブダペストに地下鉄ができたのはロンドンにつづき世界で二番目であった。ブダペストには、ツイペルノフスキーを中心に交流システムを創った世界的企業ガンツ社が生まれた。現在の電気博物館はその工場跡地である。
計量研究所のパタキ博士は、1875年のメートル条約書の第一番目に Autriche-Hongrieと署名のあることを見せながら、実際のメートル法の普及はハンガリーが本国フランスより早かったと話してくれた。パタキ博士の案内で研究所内を一巡し、最後に歴史的コレクションを見せてもらった。写真は20リットルの基準桝に穀物いれて重量基準をはかった天秤である。銘版を読むと1927年まで使われていたようだ。
この地では2009年に第23回国際科学史会議(ICHS)が開催される。2005年の第22回北京につづく国際会議である。日本計量史学会の皆様、ご一緒に計量史のセッションで研究成果を発表しましょう。帰りにはブダペストを起点に「技術のミュンヘン・ドイツ博物館」、「度量衡のコレクションの宝庫・パリの工芸技術博物館(CNAM)」周遊見学プランをねっています。ぜひお楽しみに。
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