大晦日から元日にかけて各地でいろいろな行事が行われますが、私が住んでいる東京北区王子では、「狐の行列」という行事があります。
広重が描いた浮世絵「名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火」は、大晦日の晩に関東8カ国の狐達が大榎の下に集まって衣服を正して、関東稲荷総社である王子稲荷へ行列を組んで参詣したという伝承をもとに描かれたものです。
大榎があったと伝えられる装束稲荷(我が家のすぐ近く、200m位のところにある)では、20年来大晦日の晩に篝火(かがりび)をたいて狐囃子を続けていましたが、平成5年に狐火の話を再現しようと地元の商店街をはじめとする有志の方々数十人がそれぞれの格好で提灯を提げて行列を始めました。
最初の頃は見物人も数百人程度でしたが、だんだんと評判になって今では見物人も数千人の大イベントに発展し、その活動実績が認められ平成11年度地域づくり団体自治大臣表彰を受賞するまでになりました。
行列当日の大晦日には23時頃から装束稲荷で篝火がたかれ、王子狐囃子連のお囃子の中、見物に集まった人達には狐のお面などの狐グッズ、地元商店のお菓子等の販売や、大道芸などが披露され、また温かい甘酒や酒が振舞われて行列の出発を待ちます。行列に参加できるのは事前申し込み制で、男女とも和服着用(女子は花嫁衣裳が多い)、狐のお面をつけるか、狐の顔の化粧をします。
除夜の鐘を合図に新年の儀として鏡割りを行い、0時15分行列が出発します。行列は警察官や警備員の厳重な警護の中、若者を先触れに、お狐さま、子狐囃子、そのあとをそれぞれ参加者が狐の面を身につけ、提灯を提げてゆっくりと王子稲荷へ向かいます。途中王子稲荷参道入り口で道案内が交代する提灯交換の儀式が行われ、午前1時頃王子稲荷に到着し、神楽殿でお祓いの後王子狐囃子が奉納され、皆で新年を祝って解散となります。
興味のある方は、webで「狐の行列」または「王子稲荷」を検索すれば、詳細、写真などが見られますのでご覧下さい。
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