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計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事寄稿・エッセー(2015年一覧)>【谷田千里】「はかる」ことで「健康寿命延伸」と「医療費削減」に寄与

日本計量新報 2015年1月1日 (3039号)第2部8面掲載

「はかる」ことで「健康寿命延伸」と「医療費削減」に寄与

(株)タニタ代表取締役社長 谷田千里

谷田千里現在、政府が主導する「次世代ヘルスケア産業協議会」において、日本再興戦略における「健康寿命延伸産業の育成」や「新たな市場創出」に関し官民一体となって議論を進めています。この協議会は2013(平成25)年12月に発足し、私も委員として参加させていただいています。議論の主なテーマは、@新たな健康医療関連サービス・製品創出のための事業環境の整備(いわゆるグレーゾーンの解消)や、A健康関連サービス・製品の品質評価のあり方、またB企業等の健康投資を促進するための方策の3点です。私はこの会議で何度か発言させていただく機会をいただきました。政府関係者らが出席されるなかで、とくに「健康寿命延伸」や「医療費削減」のため伝えたかったことは「はかる」ことの大切さです。生活習慣に関わる食事の摂取量や消費カロリー、睡眠の状態などからだの状態を知ることは、健康管理の第1歩となるからです。弊社では「食事」「運動」「休養」のベストバランスを整えることが、健康を維持する重要なファクターであると考えています。加えて小児肥満や女児のやせすぎが問題になるなか、大人だけでなく子供の成長にも体組成計測が欠かせません。幼少期から計測習慣を身につけることで、日頃の生活習慣を振り返るきっかけとなり、大人になっても病気にならない健康的なからだを維持することができます。このことは医療費削減に繋がり、さらには健康寿命を延ばすことにもなるのです。
 一方、企業では「健康経営」という新たな経営手法が注目されています。これは、従業員の健康増進に向けた取り組みを積極的に進めることで、労働生産性向上や医療費削減を図り、企業価値の向上をめざすものです。 これまで企業における健康管理は従業員自らが気を配るべきものとされていました。しかし近年、従業員の健康を維持することが企業の大きな資産であるとの考え方が広がり、健康経営に取り組む企業が少しずつ増えています。弊社も従前より、従業員に対して、通信機能を持つ体組成計、血圧計、活動量計とインターネットを使った健康管理サービスによる「タニタ健康プログラム」を実施しています。このプログラムは、体組成や活動量の計測から運動指導、食事指導まで、さまざまな角度から従業員の健康管理をサポートする取り組みです。この成果、メタボ社員が減少したほか、弊社所属の健康保険組合と比較して従業員1人あたりの医療費を約12%削減することができました。この取り組みは、2013(平成25)年度に厚生労働省主催の「健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。また、厚生労働白書(2014〔平成26〕年度等)にも医療費削減の好事例として取り上げていただいています。
 健康を維持するためには、特別なことをしなければならないというわけではありません。たとえばタクシーを使わずに歩いて移動したり、何気なく食べていたご飯の量を計量して適量摂取したり、温湿度管理で快適な生活環境をつくるなど、誰でも普段の生活のなかで簡単に実行できることばかりです。このことからわれわれの業界も計量・計測機器の製造・販売を通じて、国が掲げる成長戦略である「健康寿命の延伸」と「医療費削減」に寄与できると考えています。皆様と一緒に日本全体が健康になる動きを加速させていきたいと思います。これからも皆様のご指導、ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。


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