日本計量新報 2015年2月1日 (3043号)5面掲載
適正計量管理主任者研修会（生産事業所の部）報告
（一社）愛知県計量連合会研修委員長 阿知波正之 |
2014（平成26）年度の適正計量管理主任者研修会の生産事業所の部が、10月7日(火)に名古屋港湾会館（名古屋市港区）で開催された。
本研修会は製造関係の適正計量管理事業所の適正計量管理主任を対象としており、11（平成23）年度101名、12（平成24）年度105名、13（平成25）年度122名、本年度は124名と近年は100名を超える受講者を数え、特に本年度は過去最多の受講者であった。これは企業の人材育成の機会として、活用されており、同一事業者から5名以上参加の事業所が12事業所を数えた。
研修会では、適正計量管理主任者として必要な計量法、特定計量器に関する知識に加え、製造事業所の計量管理を進める上で活用できる最新の情報、具体的な手法、失敗事例などについて、実際に計量管理に関わる、行政機関の専門家と計量士により講義がおこなわれた。
研修会は研修委員の植手稔計量士の司会で進行し、講義に先立ち、（一社）愛知県計量連合会の計量管理部会会長の大竹英世氏（トヨタ自動車㈱）から本研修会の主旨、モノづくりにおける計量管理の重要性などを交えた開講あいさつにより開始された。
最初の講義は、愛知県産業労働部商業流通課の今村裕二主事が、計量法の基礎知識、適正計量管理事業所制度、適正計量管理主任者の役割など、計量関係法令に基づく規定について、その要点をわかりやすく解説された。
第2講は、永年質量計の検定・検査を担当されている久米計量士事務所の久米則夫計量士から、特定計量器の質量計の種類、精度等級と使用公差などの基礎知識および質量計の検査方法について、その要点をわかりやすく解説された。
第3講は、三菱重工業(株)の石川昌人計量士が、測定のトレーサビリティの定義、必要性、JCSS制度などの基礎知識とトレーサビリティ制度の具体例および測定の不確かさの定義、計算例などについて、（一社）日本計量振興協会のビデオを利用し、わかりやすく解説を加えられていた。
昼食後の午後の講義は、計量管理の実践的なプログラムで構成されており、第4講は中野計量士事務所の中野廣幸計量士から、「計量管理の考え方・進め方パート1計量管理の国際規格」について講義がおこなわれた。講師の中野計量士は国際規格のISO10012のJIS規格JISQ10012「計測マネジメントシステム～測定プロセス及び測定機器に関する要求事項」の制定に関わり、同規格に精通されており、限られた時間のなかで同規格の要点をわかりやすく解説された。
第5講は、本年度から研修委員に就任された三菱重工業(株)の阿久津光計量士から、「計量管理の考え方・進め方 製造事業所における計量管理の実践」について講義がおこなわれた。講義内容は、製造事業における計量管理の考え方とISO／JISQ10012をめざした計量管理の事例および製造工程の測定プロセス、測定の不確かさとトレーサビリティ、計測器の日常管理の進め方について実践事例を交えて解説された。
後半の2つの講義では、製造事業場の計量管理の事例の紹介がおこなわれた。トヨタ自動車(株)の田中亀仁計量士から、計量管理の実施事例「“はかれないものは造れない”自動車産業の計測管理」と題して、自動車産業の計測管理の目的、歴史、実施事例としてトルクレンチ、エアーマイクロメータ、三次元測定機のトレーサビリティ、日時点検などの活動事例の紹介とあわせて、計量管理の必要性、活動に取り組む心（姿勢）を熱く語られ、計量管理の目的とその重要性が受講者によく伝わった。
最後の講義は、(株)イノアックコーポレーションの石黒千春計量士が、「適正計量管理主任者講習会の事例」と題して、社内で実施している講習会の内容と実績の紹介、あわせて計量管理と品質管理の関係として、計量の不具合が品質に影響した具体的な事例を紹介され、モノづくりにおける計量管理の重要性が改めて認識された。
以上の講義の終了後、理解度テストとアンケート記入がおこなわれ、修了証が授与された。本研修会は先に紹介したように、計量管理に関わる、最新の高度な内容が織り込まれており、限られた時間（6時間）では十分な理解は難しいが、受講者がそれぞれの事業所で計量管理の活動を進めるときにテキストを紐解き活用されることを期待して、終了した。 |