日本計量新報 2015年5月3日 (3055号)6面掲載
食品表示法施行に思うこと
(株)大丸松坂屋百貨店、(株)新興度量衡製作所 計量士 吉野博 |
消費者庁は、2013(平成25)年6月28日に公布された食品表示法を施行し、新たな食品表示制度の運用が開始されることになった。これまで食品衛生法、JAS法、健康増進法に基づく食品表示に係る58本の基準を一本化し、機能性表示食品制度を含む食品表示基準の策定、執行体制の検討など、食品表示法施行のための準備が整った。
しかし、計量法との整合性や、いわゆる機能性表示を含めての食品表示全般のなかで、景品表示法の運用を含めた監視をどのようにされるのか注目される。
計量法第12条に規定される「特定商品」が同法第13条第1項・第2項に関する販売形態を具備した場合に発生する内容量表示義務((一社)日本計量振興協会・2015(平成27)年4月15日発行『計量ジャーナル』第137号、p26〜p27紙面を参考にしていただきたい。日計振URL:http://www.nikkeishin.or.jp/)と食品表示基準における「包装された加工食品」が同基準第3条(横断的義務表示)・第5条(義務表示の特例)の規制において「食品を製造し、または加工した場所で販売する場合」(注1)の内容量が省略できる(表示は要しない)規定の異質な運用における行政指導は今後どのようにされるのだろうか。
食品表示法、計量法、景品表示法、双方の法律の運用を全体で適切に図りながら、適切な表示、適正計量、不当な表示防止がおこなわれるようにしていくために、今何をすべきか考えていただきたい。
消費者庁は新食品基準施行前の2015(平成27)年3月30日に食品表示基準Q&A(消食表第140号。URL:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150331_qa-togo.pdf)(注2)を公開している。法定計量では、経済産業省が中心となり、消費者庁のように法の運用解釈に関する疑問や質問に対する解決案(Q&A)を今こそ積極的に公開すべきと考える。
同時に、計量法が関与する表示事項の規制について誰もが解釈可能なフロー(注3)を運用することも進めてもらいたい。
【注1、注2】注1「食品を製造し、または加工した場所で販売する場合」とは、注2で公開されているQ&A(加工-201)によれば、インストアー加工された包装食品と解釈する。
【注3】私作「計量法関係表示規制フロー」を下に示す。(不許複製) |