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計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事寄稿・エッセー(2015年一覧)>【小宮勤一】NMR流量計

日本計量新報 2015年8月23日 (3069号)5面掲載

NMR流量計

(一社)日本計量史学会理事 小宮勤一

小宮勤一この頃は学会の講演会やシンポジウムに出席する機会が少なくなったが、たまたま最近の流量測定、流量計に関係したいくつかの研究会の発表内容のリストを入手することができた。そのなかに表記のNMR流量計に関係した報告があるのを見つけて、データを取ることができなかった昔の実験を思い出した。今から40年も前のことである。ある企業の方々と一緒に、NMR流量計の実験を試みたことがあった。その企業では外国製の新しい方式の流量計を、国内で販売、普及しようという意図があったと考えられる。
 当時はまだNMR画像診断装置(MRI装置と呼ばれている)が開発される以前であったと記憶しているし、NMRがどのような現象であるかの知識もなかったが、この流量計の原理を少し調べてみると、セラミックの管路内に挿入する機械部品もなく、検出される信号が流体の物性値に関係した電気信号であり、ある意味で理想的な測定器の1つであるという印象を受けた。その時は水の流量測定装置を使った流量特性試験が目的であったが、残念なことに流量計本体の不具合があって実験を中断せざるを得なくなり、最終的な実験データを得るところまでに至らなかった。
 その後、NMRはNMR・CTをはじめとする医療診断装置、物理学や化学の領域の分析法への適用、生体計測における血流測定、NMR画像装置など、広い分野の測定法や測定器として著しい発展を遂げていることはよく知られているが、しかしプロセス用の流量計としての発展は寡聞にして知らなかった。
 上に述べた研究報告は測定対象が液体と気体の混相流、それも原油発掘の現場での測定が最終目標のようであるが、さらに流量の測定だけでなく流体の物性に関する情報も得られるとのことなので関心が高まる所以である。測定環境としては非常にタフな状況であると考えられるが、フィールドテストがおこなわれたのかどうかなど、詳細なデータがまだ示されていないし、参考文献の入手も手軽にはできない状況である。また以前にNMRについて物理学の専門家に尋ねた折に、あまり精度の良い測定は期待できないのではないかとのコメントがあった。この点を確かめるためにも、この秋に東京で予定されている計測器展示会会場のどこかでNMR流量計との出会いがあれば、と考えている。


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