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第187回NMS研究会報告(2013年9月)

(3010号/2014年5月18日掲載)

キヤノン(株) 吉原均

 第187回NMS研究会を、2013年9月7日(土)に品質工学会会議室で開催した。

1、つくば地区地震発生現象のMTシステムによる検討(富山高専、早川幸弘)

 地震予測の第4報に基づく報告である。周期分析と誤圧を用いる予測方法で誤差はあるが地震は予測可能となった。しかし、2011年の3・11東北大震災以降地震の発生回数が震災前より極端に増加したので、いつの地震を予測しているか分からない状況だという。1時間前に地震発生を予測するなど仮に決めていたが再検討すると、80分前の30分間のデータでの予測のSN比が高いという結果がでたが、どの組み合わせが良いかまだ不明である。このため、研究テーマを地震の現象検討にきりかえた。地震という自然現象を予測する難しさを改めて考えさせられた。

2、QE社内テーマ選定について(アルパイン(株)、山野竹秀)

 アルパイン(株)の山野から、品質保証部門がトップダウンで品質工学を全社推進して再び盛り上げたいと参加動機が告げられた。主宰から、かつての推進活動は当時の社長と推進者がいなくなったあと消えたのではとの指摘があった。全社的な推進で定着できなかったことをふまえ、推進よりも自分の問題に真剣に取り組み、問題を起こしたら給与を減らすくらいの覚悟が必要と、いつもながらの厳しい指摘があった。

3、11月の研究会討論会テーマ(応用計測研、矢野宏)

 主宰から、11月の討論テーマ「自分にとってのエコシステムとは」に関連する論文案「品質工学における技術の在り方(7)」の感想を関係者に求めたところ、良い意見が聞けてそれ自体が論文になるレベルなので、感想に対する意見をもらうとの報告があった。品質工学をサポートする人間の繋がりや評価をどう作るか難しい。品質工学のエコシステムとは何かという問いかけである。

4、品質工学の考え方と現場適用事例((株)小松製作所、細井光夫)

 社内でおこなった鍛造のパラメータ設計を鋳造学会で発表することになり、合わせて品質工学の考え方も紹介することになった。品質管理では、「鋳造品の真の原因をとらえ、的確な不良対策を考える」という問題解決がセオリーだが、鋳物のガス欠陥では、何も変えてないのに不良が急に多発し、不良率で捉える品質管理の考え方で取り組んでも解決せず困っていた。そこで、品質工学の考え方でこの問題に取り組んだ。原因のバラツキは考えないで、働きをよくすることに着目する発想を転換し塗膜の厚さを均一になるようパラメータ設計したところ、ガス欠陥が大幅に減少した。結局、「真の不良原因をとらえ的確な不良対策を考える」というのが、間違いであることがわかった。不良に目が行き因果関係を解明したくなるが、バラツキ原因をバラつかせたままバラツキの影響を小さくすることが有効だった。さらに、要因効果図に、従来から言われていた不良の傾向である季節変動がはっきり表れるのがわかったことなどが紹介された。

5、接着工程の機能性評価(アルプス電気(株)、上杉一夫)

 接着による組立工程の評価方法と誤差因子が議論された。評価方法は加重と変形となるが、横から押すなど力のかけ方と変位の測定を工夫する。誤差因子については、接着の剥がれは、使用中の振動や浸食の進行によって起こるなら加振劣化を誤差にする。誤差が利きすぎて欠測となる場合は点数化して望少特性のSN比で評価するなどが話し合われた。

6、メンバーが1の単位空間の場合のMTシステム(電気通信大学、高橋和仁)

 単位空間のメンバーが1つの時のMTシステム関する報告である。印鑑やDNAの識別など、本物が一つの時の識別を単位空間のメンバー数が1でも解析を可能にしている。単位空間のメンバーの項目データと信号の項目データ間のばらつきを標準SN比で計算する。概念は標準SN比の転写性の評価である。
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