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第192回NMS研究会報告(2014年2月)

(3030号/2014年10月19日掲載)

KYB(株) 満島弘二

 第192回NMS研究会が2014年2月1日(土)、機械振興会館で開催された。2月は恒例の公開討論会であり、一般参加者を含め37名が参加して活発な議論の場となった。

(1)MTシステムによる地震予測の現状と課題(富山高等専門学校、早川幸弘)

 これまで1時間あれば避難できると考えて、1時間前の予測を目標にしてきた。今後は、予測時間を24時間前にまで遡って調べる。報告ごとに推定精度(SN比)は上がってきているが、まだ充分な精度とは考えていない。引き続き項目数の削減による精度向上や長周期地震計のデータの採用等を計画している。

(2)品質工学の納得性の研究その2(日精樹脂工業、常田聡)

 2013年のQESでは、過去に発表した自らの論文を対象にアンケート調査を実施し、MTシステムの標準化誤圧を用いて各論文の納得性を定量的に評価した。その回答結果に対して項目診断をしたところ、品質工学の活用経験が豊富な評価者の間で、評価のパターンに高い相関が見られた。これを利用し、評価者の品質工学活用の力量を測ることができるかを検討した。力量の高い評価者を単位空間として評価し、誤圧の距離が回答者の力量と対応した結果が得られた。

(3)リーダシップを支えるミドルシップ(クオリティ・ディープ・スマーツLLP、吉澤正孝)

 40年間のサラリーマン生活を振り返り、自分史を基にしてミドルシップを考えた。田口玄一の指導会で紙送り事例で成功したことで、それまでの考え方が180度逆転し、品質工学にのめり込んでいった。PDCAではなくCAP-Do(キャップ・ドゥ)で回すこと、そして田口玄一を研究するのではなく、田口玄一の目線で研究することが大切だと主張した。また、テーマの二重性として、会社で取り組んでいるテーマから自分のテーマを産み出すことも重要である。

(4)参加者による5分間リレー発表 「妥協しない品質工学の実践」

 NMS研究会のメンバーおよび当日の参加者20名が、「妥協しない品質工学の実践」をテーマに発表した。主な意見を以下に示す。社外に出ても一流と認められる技術者を育てるという想いから、品質工学を実践して見せることで後進を育成してきた。苦しいながらも先進事例に取り組むことが大切である。人の意思決定には合理性のないことが多く、品質工学の合理性ばかりを訴えても効果はほとんどない、感情に訴えることが必要である。妥協して品質特性を測って開発研究をしたこともあるが、この妥協から次の研究ネタが得られた。企業人として、ムダ取り、儲けにおいて妥協しない、また、品質工学の真髄の習得にも妥協しないことを意識している。妥協は一人称では済まない、他人との対立だけでなく自分の中での対立でもある。
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