基準天びんなどの質量計基準器検査受検申請は従前通り続行

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基準天びんなどの質量計基準器検査受検申請は従前通り続行
計量法の基準器検査規則は現時点では現行のまま

基準天びん継続使用者と関係事業者は安堵の様子

 計量法が定めている質量計の基準器検査のうち基準手動天びんおよび基準台手動はかりを平成16年3月31日をもって廃止する予定であったが、計量法の基準器検査規則が同日には改正されなかった。このため(独)産業技術総合研究所計量標準管理部は、基準手動天びんおよび基準台手動はかりは従前通り基準器検査の申請を受け付けている。

 (独)産業技術総合研究所計量標準管理部(旧通産省工業技術院計量研究所)は、質量計の基準器検査(基準手動天びんおよび基準台手動はかり)を平成15年3月31日に廃止する計画であることを関係事業者に説明し、その後その実施時期を1年延長して平成16年3月31日としていたが、延長後の廃止予定日までに計量法の基準器検査規則が改正されなかったために基準器検査が継続して実施されることになった。
 同所標準管理部では計量行政室・産総研・基準器ユーザーにより基準器検査の必要性の協議をして、廃止の方向で動いているものの予定日までには質量計の基準器検査規則が改正されなかった。
 基準天びんに関係した事業に従事する者は東京など各地に20事業所ほどがあるものと推定されており、こうした事業者の一定数は基準天びんの修理後の再検定(基準器検査)を生業としていることから扱い数量が減少しているとはいえ、制度改廃に運命を翻弄される状態にあった。計量法基準器検査制度が改正されて基準手動天びんおよび基準台手動はかりの制度が廃止されていない間は、これらの基準器検査の申請が受け付けられることになったため、関係事業者はひとまずささやかな安堵の色を見せている。質量計の基準器関係事業者らは、基準天びんの供給先であり同時に一定周期で検査受検のための修理と申請業務の代行を依頼してくる需要家からも制度存続の要望を受けているとしている。
 計量法は基準分銅の管理などのために基準はかり制度をもうけて、基準はかりは基準器検査に合格したものであることを条件にしていた。しかし基準はかり制度と平行して一定の条件を満足することによって電気式のはかりを分銅管理に使用することができるマスコンパレータ(質量比較器)制度を導入していた。基準天びんの利用は、マスコンパレータ(質量比較器)制度の導入を契機にして大きく減少していた。 こうした状態下で、基準手動天びんおよび基準台手動はかりが平成15年3月31日に廃止されることになるという計画が発表されたことにより、発表時点で「制度廃止」世論が一気にできあがり、マスコンパレータ制度導入と重なって基準天びんの基準器検査申請の数が激減している。
 適正計量管理事業所など基準手動天びんを使用している者の中には、制度廃止に伴って高額な電気式のマスコンパレータ(質量比較器)の購入を余儀なくされるので現行制度の延長を求めている者もいる。電気式の質量比較器を利用するメリットの大きさを否定する者は少ないが、反面大きな基準分銅の質量を測定して確かめる場合には、長期的安定性が高く現在備えられている基準天びんを用いることがもっともコスト的に有利という主張もある。基準分銅の管理に多様な道をひらいてきた計量法の質量基準器制度の、旧来からあった基準はかり制度が廃止される割り切れなさを関係事業者と基準天びんを現に利用している者が口にする。
 基準天びんならびに基準はかりの「平成15年3月末に基準器を廃止」世論は、関係の法令改正以前にすでにできあがってしまっていた。
 神奈川県のある計量団体は関係事業者向けに質量計の基準器検査は「平成15年3月末に基準器を廃止」という内容の文書を配布したことがあった。この文書はあくまでも計画であり決定事項でないことが関係行政機関から指摘されて、同文書を撤回するという事実があった。
 しかし計量関係者の多くは計画を決定事項として受け止めていたため、このような不手際が発生した。一部の計量検定所などでは、基準天びんの基準器検査申請に関する問い合わせにたいして「基準天びん制度は廃止されるので、受検申請する必要がない」 と説明していた事実もあったが、その後「廃止案は計画であり、すべては質量計の基準器検査制度が改正され、基準天びん制度が廃止されるまでは、現行制度どおりの受検申請とする」という回答に訂正されている。
 質量計の基準器検査制度は改正されていないため、基準天びんは従前通りに基準器検査受検の申請が(独)産業技術総合研究所計量標準管理部で受け付けられている。

 

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