非自動はかり検定等の経過措置の解説

工業技術院 計量研究所 計量標準管理官付 福田 健一

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はじめに

 近年の質量による商品取引の多様化、製造技術の向上等により、平成5年11月に施行された現行計量法においては、それまでの規制の対象外であった電気抵抗線式はかり以外の電気式のはかりや、電気抵抗線式であっても30kgを超え2t以下のひょう量のはかり等を特定計量器(取引若しくは証明における計量に使用され、又は主として一般消費者の生活の用に供される計量器のうち、適正な計量の実施を確保するためにその構造又は器差に係る基準を定める必要があるものをいう。:法第2条)と定め、非自動はかりを使用した質量による取引及び証明全般において網羅的に適正化を図るようにしています。
  現行法の、検定の合格基準(法第71条)は「構造(性能及び材料の性質を含む)が技術上の基準に適合」、「器差が検定公差以内」となっており、構造の適合性については、型式承認を取得することにより個々の計量器の検定の際においては免除されることとなり型式承認の役割が大きくなりました。したがって、型式承認を取得していない計量器については、その計量器について構造が技術上の基準に適合しているか試験を行わなければなりません。
  現行法施行以前に使用されていた新規対象非自動はかり、型式承認制度が整っていなかった旧法当時に検定に合格した非自動はかりなどは、現行法の技術上の基準に適合するかを確認しなくてはなりません。そのような手続きを行わないと、まったく規制を受けていないものや旧基準のものが使われ続け、計量の適正化は図れないおそれがあるからです。
  ただし、これらのものを法施行後すぐに現行法の基準に適合させるには無理があり、また、型式承認の取得にも時間を要すことから、一定期間の経過措置が設けられました。
  経過措置を設けるに当たっては、新規対象非自動はかりに対するもの、旧型式承認を取得している非自動はかりに対するもの及び型式外非自動はかりに対するもの等が考えられ、それらの使用者及び製造者等に公平にかつ大きな不利益がないように配慮がなされました。
  したがって、一律な経過措置とはならず、そのことによって多少混乱が生じているようです。経過措置の期間の満了を間近に控えているところでもありますので、計量の適正化において重要と思われる、2つの経過措置の概略について解説をさせていただきます。なお、原則的な検定の主体の区分は表1(施行令別表第4)のとおりとなっています。

表1 質量計に係る検定区分
特定計量器の種類
検定の主体(申請先)
型式承認表示が付されたもの
型式承認表示が付されてないもの
イ 非自動はかりのうちばね式指示はかり
及び検出部が電気式のもの
都道府県知事又は指定検定機関
通商産業大臣又は指定検定機関
ロ イに掲げるもの以外の非自動はかり
都道府県知事又は指定検定機関
都道府県知事又は指定検定機関
ハ 分銅及びおもり
都道府県知事
都道府県知事


2.型式外非自動はかりの経過措置(施行令附則第9条別表第4第2号関係)

 旧法で検定対象であって、型式承認の表示が付されおらず、基準日(法施行後型式承認がされるまでに必要な期間)以前に検定に合格したものが改めて検定を受ける場合については、次のような経過措置が実施されています。

1)経過措置対象機種(施行令附則別表第4第2号)
非自動はかりのうち、次に掲げるもの
  イ光電式以外のばね式指示はかりのうち、次に掲げるもの 
 (1)ひょう量が150kgを超えるもの
 (2)ひょう量が150kg以下であって、直線目盛のみがあるもの及び他の質量計と構造上一体となっているもの。
  ロ光電式のばね式指示はかりのうち、ひょう量が30kg以下であって、他の質量計その他通商産業省令で定める器具、機械又は装置と構造上一体となっているもの
  ハ電気抵抗線式はかりのうち、次に掲げるもの
  (1)ひょう量が2トンを超えるもの(載せ台を有するものであって、平方メートルで表した載せ台の面積の値をトンで表したひょう量の値で除した値が0.2以下のものを除く。)
 (2)ひょう量が30kg以下のもの2)経過措置の内容経過措置の内容は図1に示すとおりになります。

3.追加非自動はかりの経過措置(施行令附則第四条関係)

 旧法では検定対象外であって、現行法により検定対象となった非自動はかりについては、次のような経過措置が実施されています。
1)経過措置対象機種(附則別表第二)
 ?圧力式指示はかり
 ?次に掲げる電気抵抗線式はかり
     イひょう量が30k9を超え、2トン以下のもの
     ロひょう量が2トンを超え、載せ台を有するものであって、平方メートルで表した載せ台の面積の値をトンで表したひょう量の値で除した値が0.2以下のもの
 ?差動変圧器式はかり
 ?磁わい式はかり
 ?ひょう量が30kgを超える光電式はかり
 ?圧電式はかり
 ?誘電式はかり
 ?電磁式はかり
 ?放射線式はかり
 ?直示天びん
 ?前号に掲げるもの以外のものであって、最小の目量又は表記されている感量がびょう量の一万分の一未満のもの

2)経過措置の内容経過措置の内容は図2に示すとおりになります。


4.その他の非自動はかりに関する経過措置等

 旧法で型式承認を取得した非自動はかり(150kg以下のばね式指示はかり、30kg以下の光電式のばね式指示はかり)については、法附則第18条により現行法の型式承認を受けたものとみなされます。
 包装機・値付機付き非自動はかり(包装機又は値付機と組み合わされて製造され、専らスーパー、百貨店等大規模小売り店舗のバックヤードやバックセンター等で使用されている電気式の質量計であって、その構造等が非自動はかりに該当するものをいう)については、当該非自動はかりの種類又はひょう量によって、「型式外非自動はかり」に属するものと、「追加非自動はかり」に属するものがあります。したがって、経過措置についても、それぞれに属するものが適用されます。
 懸垂式はかりについても包装機・値付機付き非自動はかりと同様に、「型式外非自動はかり」又は「追加非自動はかり」に属するものがあり、経過措置については、それぞれに属するものが適用されます。


5.おわりに

 「型式外非自動はかり」及び「追加非自動はかりに」の経過措置の概略について述べさせていただきましたが、型式外非自動はかりについては経過措置期間後の再検定、追加非自動はかりについては経過措置期間後の「使用の制限」が問題となってくるかと思います。
 特に、追加非自動はかりについては定期検査に合格となっても、経過措置期間後は検定に合格しなければ、取引・証明に使えません。また、多くの追加非自動はかりは、型式の承認を受けていない場合には検定受検が困難であります。
 ただし、改造によって既存の型式承認を受けている非自動はかりの範膚にはいることが可能なものもあります(型式外非自動はかりも同様)ので、製造事業者に問い合わせをして下さい。
 経過措置については、法附則、令附則、特定計量器検定検査規則附則、経過措置に関する省令、通産大臣が別に定める基準、通産省告示及び機情局通達等で規定、運用されていますので、詳細については都道府県の計量検定所及び通産省の計量行政室等に問い合わせをして下さい。

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