科学技術を生み出す過程においては、極めて複雑に写る自然現象を分析し、それを体系化し表現する努力が積み重ねられてきた。欧米において知的基盤整備が進んでいるのは、科学技術のフロンティアを切り開いてきた歴史から見れば至極当然と言えるかもしれない。知的基盤の整備は、敢えて言うなれば新しい科学技術を生み出す過程の苦しみかつ喜びの結晶であり、これが新しいイノベーションを生み出す原動力ともなるものである。
我が国の本格的な知的基盤整備は、まだ緒に就いたばかりであり、今後の取り組みの如何が我が国経済社会を創造的な魅力ある環境にできるかどうかに大きく関わってくるものである。よって、本委員会としては、知的基盤整備に係わる各機関が本報告書を受けた取り組みを強化されることを期待するものである。
なお、本委員会としては、今後とも、今回のとりまとめを受けた取り組みについて、整備後の評価、供給の際の個別サービスに係る対価のあり方等を含め、適時にフォローアップを行うとともに、民間における知的基盤整備を促進するための方策について更に検討を深めていくこととする。