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計量新報 2005年 12月 18日発行/2612号 2〜4面記事


特集・近畿計量大会

11月25日、和歌山市・ホテルグランヴィア和歌山で

 平成17年度近畿計量大会が11月25日午後、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開かれた。奈良県、滋賀県、京都府、兵庫県、大阪府、和歌山県の2府4県から、計量関係者220名が参加した。大会は午後1時に開会。主催者挨拶のあと、経済産業省、和歌山県知事、(社)日本計量振興協会の来賓が祝辞を披露。その他計量関係行政機関等の来賓紹介があった。近畿計量協会会長感謝状が和歌山県計量協会顧問である(株)日米商会の八木茂氏に贈呈された。大会の主要行事である記念講演は2題。第1部は経済産業省計量行政室矢島康徳課長補佐の「これからの計量について」。第2部は、新宮市教育委員会学芸員山本殖生氏の「世界遺産熊野詣の魅力」。午後4時45分からはパーティ形式の懇親会が開かれた。地元芸能である黒潮・奴太鼓の演奏があるなか、近畿地区の計量関係者は、新年会以来の旧交を温めた。

計量行政室矢島康徳課長補佐が説明

計量法抜本的見直しの現状

 矢島課長補佐の説明要旨は次のとおり。(文責・編集部)

見直しの方向性

 現在の計量制度は1992(平成4)年に改正された。以降、運用上の問題などが指摘されてはいるものの、一定の評価もあって、現状のままでいいのではないかという意見がある。

 計量行政審議会の初会合で経済産業省の原山保人審議官が見直しの方向について説明した。この議事録を読むと、今回の改正が新たな考え方を基にした抜本的改正で、ガラガラポンで計量制度を変えるようなこととして受け止められているようだが、いまの制度を全面的に否定したものではない。経産省が持っていた当初の考えをそのまま取り込むのには無理があるようにも思われる。現行制度の残すべきは残し、変えるべきは変えるという態度で見直すという姿勢は必要だろう。

 実際にいまの制度において評価されるべきものがあるので、こうしたものにあえて手を加えることは要らないのではないか。民間活力の利用ということに関しては、その能力があるところにはその力を出し切っていけるように、変えられる分野は変えるべきだ。

計量士の人材活用

 計量士制度に関わると資格認定を一度受ければそれで良いのか、新しい状況への対応力を養うことを目的に、技術・知識の研鑽を行うため、一定周期で講習を受け、更新する制度を導入したらいいのではないかという意見がある。

 環境計量証明事業に関する分野においては、安い単価でないと入札できないということがあるなど価格競争の厳しさが実在するため正確な計量がなされたかどうか調べるとデータに問題がある、計測数値の改ざんがあるということが伝えられている。こうしたことから、再測定の事案があちこちで出ている。環境計量士が関わる仕事の分野ということである。環境測定事業者の評価も厳しい目で見られている。耐震構造偽装などの問題が発生した場合に、指定審査機関が数値を見誤ったとき行政は知らんという態度が取れるかというと、行政の責任はやはり残る。

後戻りできない 官から民への流れ

 そのようなことはあるが行政機関の人員、予算が減っているなかで、行政がやりきれるのかということになると、評価基準をしっかりさせて、民間に落としていく方向は変えられないだろう。民でできることは民でということで体制が確保できるかは厳しい課題ではあるが、後戻りはできない。小泉政権下では方向性は変えようがないということであり、この状況下でどういうことが考えられるかというと、運用なり、政省令の範囲でできることも多いが、必要があれば法も直さなければならない。

 今後の流れとしてはWG、小委員会から、来春に審議会に、そして審議会から夏に答申がでる。

 その結果として課題があれば法改正で対応し、運用、政省令でできるのであれば法改正の必要がないということだ。 例えば家庭用計量器は取引形態としては「B to C」であるが、JISで対応したらよいというJIS化の声が強い。

 地方の計量行政機関が行う検査・検定は自治事務であるが、検定所職員は少ないところでは4名しかいないところがありまた100名を超えるところもあるなど、行政機関に格差がある。技能職のローテーションや事務職の教習などがあって、体制が確保できているかというと、問題がないということはできない部分がある。それが自治事務化したからそうなったかは別問題だ。自治体がレベルを維持するには、自らがそれなりに努力する必要がある。

 一般計量士をもっと活用できるのではないかという考え方がある。企業計量士なり、代検という形で計量士が活用されているのは事実だが、計量士を活用しようとしたとき、身分や権限をどうするのかという問題などが残る。例えば計量器の不合格処分ができない、立入検査時の身分をどうする、ということなどが課題だ。検定所の臨時職員とするところも一部に出てきている。ブレがない地方計量行政になっているかというとそれはどうか。今後は計量行政に計量士の方に関与してもらう方向に変わっていくことであろう。

第三者認証の行方広がるかマーク制度

 第三者認証については、JISマークがあれば検定・検査不要と最初は出ていたが、そこまでは進んでいかないと思う。本来的には抜き取り検査、サーベイランスといった事後規制をすることになるが、評価のためのマニュアルがきちっとできていないという指摘がある。現行の計量法でも公表制度があるが、公表の事例もないし、そこに到る評価基準もできていない。計量器の扱い方を良く知らないということが多く、計量する者に悪意があるという認定もし難いということがある。行政機関のなかには、こうした計量の手違いは単純なミスということで済ますことでよいのかという考え方もある。

 適正計量管理事業所制度(適管)において、指定事業者からは計量士を配備するメリットが見出せないという声があり、この結果として適管返上の声もある。関連してはさまざまな声があり、適正な量目の実現、品質管理をするための方法として適管を位置付けるというところもある。また適管をとってISO9000もとるという重複に改善を求める声もある。このほかISOはサーベイランスに手間と費用がかかるのに対して、適管は少ないという声もある。

 流通業の関係者の間では、計量をきちっとやるのは当然という考えが強い。さらにいまの適管マークは格好が良くないと思うので掲げるのは恥ずかしいと、またこのマークを知っている消費者は数%しかいないとの声もある。

 基準認証関係の制度としてJISマークは認知度が高い。計量制度に関係する国民の認識はどうかというと、今後とも計量に対する広報活動をやっていかなければならない。国をはじめ、(社)日本計量振興協会や地方の計量協会が広報活動をしっかりやっていかなければならないと思う。

 いまのKKマークは内容量の適正さを証明するものではないので商品に入れるのは難しい。多くの人びとに認知されるマークにしていかなけらばならない。何を訴えるのかを明確に出すべきであり、広告や商品に取り入れ、もっとアピールすべきである。優良適管マークや日本版eマークの話もある。国際化として問題になっているものもあるが、合わせていけばいいのではないか。

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特定計量器の見直し基準

 計量制度検討小委員会に設けられた3つのワーキンググループ(WG)の動きということでは、第1WGでの検討課題として、特定計量器に関しても対象となる機種を変更するかどうかで、いろいろと意見がある。計量器に対する接し方、見方をどのようにするかということでもある。

 「B to B」ということで業者間取引が主たる対象となる計量器を規制から外した場合に、不正やトラブルが発生したときに、計量器の性能の担保や責任は誰に帰するかということも問題になるので、一括りに「B to B」取引を計量器の規制から外すとなると難しさが伴う。取引で用いられない家庭用計量器は、JISによって対応できるだろうという意見が多い。

 「B to C」ということで業者対消費者の取引に関しては、消費者の立場からは商品量目にマイナスの公差は認めるべきでないという要望がある。

 消費者からみると平均値手法は「まやかし」「ごまかし」だとする主張があることも事実だ。商品量目に関する2%ルールや3%ルールは分かり難いし、なぜ量目に関して2つの規定が併存するのかという議論がある。

 計量規制のあり方は計量法の改正時などその都度見直しがされてきているとの意見があり、代検査の実務に関しても、計量器のデジタル化が進行しているので、個別計量器への具体的対応が難しいことも伝えられている。

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誰が何をやるべきか明確な役割分担を

 計量士制度に関して、計量士国家試験の主体を移行すべきであるという声がある。計量士国家試験を国の事務として維持できるかどうかということがあり、(独)産業技術総合研究所、あるいは別の団体がやってもよいのではないかという声である。

 計量規制に関する今後の検討方向については、国の業務は何であるのか、計量検定所あるいは特定市も含め地方の行う事務は何であるか、計量の製造とその責任はどこにあるべきななのか。そのようなことで民間がやっていく範囲はどこまでか、そうしたことをWGで検討している。

 計量行政として今後とも残っていくものとしては、計量標準がある。標準物質については、モノサシがまだ十分でないので、供給体制の整備が必要になってくる。

 規制改革において、計量制度に関係して国などが実施している業務をそのまま継続していけるのかどうか正直言ってわからないというのが実状だ。郵政の民営化に関しても数年前なら無理だろうと思われていたのに、郵政民営化の法律が国会を通過して成立しまった事態があるからだ。

 国が、また地方計量行政機関の計量検定所、計量検査所なりが実施すべき計量事務は何なのかということ、計量器の製造に関してもわざわざ規制していくべきものなのか、あるいは民間にすべて任せてやっていくべきものなのか、民間でやれるものは全部やってもらうというようにすべきことなのか、そのようにやっていってもいいものもあるのではないかとも考えられ、さまざまな検討が現在計量行政審議会において行われている。何をどこでやるかという、こうしたことをきちんと色分けできるものなのかどうかということが検討されている。

新制度の導入

 第3WGで検討している計量標準供給の分野では、標準物質の供給体制が不十分である、きちんとしたモノサシができていない、制度として成立していないということもあるので、関連分野の計量標準の供給体制を再整備していくという動きになっているようだ。健康診断における血液検査をしても標準物質の供給がしっかりしていないと、その検査結果の横のつながりは意味をなさないことになる。必要な標準物質はきちんと供給できるようにしていこうということだ。

 計量器に関しては規制から外すもの、新しく規制をするものということで検討をしている。自動はかりを規制の対象にするかどうかということも検討しているが、自動はかりの定義をきちんとしきれていないということがある。定義がきちんとできていないものを計量器として規制できるのかどうかという議論はある。

 計量士制度に関連することでは、いま世の中はそうした分野の技術レベルなどに関して非常にシビアな要求をするようになっている。この計量士制度をどのような内容にするべきかの検討が求められる。いま現在の計量士制度は、全国に計量士が何人いるということを把握できる内容になっていない。計量士資格を保有している人のうち、実際に計量士登録をして実務をしている人が何人いるのか正確につかめない。都道府県の計量行政機関においても企業内計量士の総人数、その他の計量士有資格者が何人いて、どのように計量士の業務に関わる仕事をしているのかつかめない。そのような状態だから計量士業務がからむ地方の計量行政の仕事をつくっていこうと考えてもそれは難しいことになる。

 また計量士有資格者が都道府県ごとに一定水準で居るというのではなく偏在しているという事実もある。ある県では現役で計量士業務を行っている人が1人や2人とかだ。そのような状態だから、計量士有資格者でなくては実施できない定期検査がらみの業務を、都道府県ごとに確実に行うことを想定した場合、相当の厳しさがある。

 今後、新たな計量士がらみの業務を増やしていこうという案件がでてきた場合に、本当にできるのかという議論が出ることは否定できない。対応として、隣接の県などから出向いて行うということが言われるが、それでいいのかということになると疑問でもある。

 計量法の抜本的見直しに関する方向性が近く出される。方向性に関してはこれをやるということまでは書き切れるかどうか。メーカーや都道府県の計量行政機関などからの聞き取り調査を踏まえて、計量法は何をどのように規制に取り込んでいくべきなのかといいうことを、これから年明けの1月ごろまで検討して結論を出していく。いま現在はなお調査・検討中である。関係の皆さまからは、現場ではこのようなことが起きているのだからこのようにしなければならない、こうする必要があるのではないか、このように考えなければならないのではないか、というように明確な形で私どもに伝えて欲しい。

 適管事業所のマークに関しての質問があるので答える。適管マークはいろいろと検討をした結果のものであり、平成4年改正の書類には大手広告代理店などから出された候補のうちから現在のマークが選定された。現在のマークの運用は事業所に飾ってあるだけという状態に近い。マークを名刺などに印刷してアピールすることがあってもいいのではないか。活用の方法を工夫すべきである。

 商品にマークを付しても適正に計っているとを証明することはできない。商品量目を守っているという証明にはならない。適管事業所であるということの証明マークであるということだ。

 適管マークあるいは別のマークを作って活用していくかということを考えるのはいいことだ。しかし、それが効果を発揮するにはそのマークやその制度が良く知られることが必要になる。

 
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