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計量新報 2006年 2月26日発行 /2620号 1面5面


計量制度見直し

第3回計量制度検討小委員会開く

委員は骨子におおむね理解、特定計量器規制対象に意見集中

多分野に拡大する民間活力導入

 計量行政の見直しを審議する第3回計量制度検討小委員会が2月21日午前、経済産業省別館1028号室で開かれた。3つのワーキンググループ(WG)がまとめた骨子が、各座長と事務局から提示された。計量士制度、特殊容器制度、計量単位及び情報提供といったWGを横断するような事項についても、見直しの方向性が示された。委員は骨子案を大筋で了承するものの、第1WGの分野である特定計量器の規制対象見直しに対しては、慎重論や異を唱える意見も相次いだ。各WGは今回提示された意見を持ち帰って検討する。WG会合の進展を受け、次回小委員会は4月下旬から5月にかけて行う。

 今回から、矢橋有彦日本電気計器検定所理事長の退任に伴い、後任の大野隆夫理事長が委員に着任した。

 今回は、各WGがまとめた骨子のほか、WGを横断するような事項についても討議された。

 前回議事録が異議なく承認された後、まず計量士制度、特殊容器制度、計量単位、情報提供について、方向性が示された。

WG横断事項

 計量士制度について、計量士は国家資格でありながら、一度登録すると資格返上の制度がないため、実際に計量士として活動している人数がどれだけいるのか、行政側でも把握していない。一定程度の資質の維持を図る観点から、資格の更新制と、更新時の研修を義務づける案を検討する。

 また、民間能力活用の方針から、たとえば都道府県の条例を整備し、指定定期検査機関における計量士の活用も期待できるのではないか、とした。

試験事務にあたっては、独立行政法人の活用を視野に入れており、登録事務についても独立行政法人の担当を検討する。

 これに対し、一般計量士の適正計量管理事業所や行政機関代行などといった職域拡大を歓迎する声が上がった。地方自治体の立入検査も職域に含めたい、という提案には、公正・中立の保持を第一に心がけるべき、という意見が出た。計量士の活動実態を把握するため、全国組織への加盟を義務化する提案もあった。独立行政法人への委託を検討する方向については、広く民間一般を対象とするべき、また、登録更新時の講習は、実績ある民間団体に任せるべきという意見が出た。

 特殊容器制度は基本的に廃止の方向で検討しているが、とくに異論はなかった。

 計量単位については、SI(国際単位系)に素早く対応できる仕組みの構築、教育現場や広く一般へのSI浸透を時間をかけて行っていくべき、という意見が出された。尺貫法への柔軟な対応を求める声もあった。

 情報提供については、計量に対するクレーム窓口の存在を積極的に周知するべきという意見があった。これに対し事務局からも、前向きに検討しているという回答がされた。

第1WG

 第1WGは、特定計量器の規制対象見直しについて、意見が集中した。とくに、安心・安全を危惧する消費者団体代表から、規制対象外になる計量器への不安が叫ばれた。これを受け、主体が代わっても安全が維持できれば問題はないが、代わることで安心できなくなるという面も否めない。主体が代わるにあたっては、その手順と根拠を明示するべき、という発言が出た。

 指定製造事業者制度を修理品・再検定品まで拡大する案には、賛成するメーカー側と、慎重に検討するべきという試験機関側の意見が挙がった。修理品の実態を個々の計量器ごとに見極め、ひとつひとつ検討するべきだとした。(5面へつづく)

[計量制度検討小委員会開く(1面のつづき)]

第2WG

 第2WGで扱う量目規制について、都道府県の計量担当者が実状を交えた意見を述べた。職員が減少傾向にある中、地方自治体は監視機能に特化するという方針は時宜を得たものである。

 都道府県のアンケート結果でも、指定検査機関を利用したいとする意見は7割を超え、立入検査への民間計量士の活用についても賛否が半数ずつである。責務を明確化した枠組みを構築し、行政の補助という観点で、計量士の利用も視野に入れていいのではないか、とした。

第3WG

 第3WGの骨子のポイントは3つ。産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ)を国家計量標準機関の頂点と位置付け、計量標準に関する国内外のさまざまな機関と調整する機能を明確化する。ユーザーニーズに応える形での、海外や産業界内での標準を迅速に取り入れる準国家計量標準制度の創設。特定計量証明事業者制度(MLAP)の改善。

 骨子に対する委員の感触もおおむね良好で、標準供給を国のお墨付きと実用フィールドの2本立てにすることの実効に期待する意見があった。標準物質に関しては他府省とも関係の深い事柄が多く、縦割り行政を危惧した委員は、関係府省との連携を骨子にも謳うべき、と主張した。標準物質のニーズは経済効果のほか、学術的にも重要である点を考慮してほしい、という意見もあった。

 挙がった意見は、検討材料として各WGにフィードバックされる。次回小委員会は各WGで検討の後、4月下旬〜5月上旬に開催が予定されている。

(以上)
 
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