■A&Dが決算を発表 売上は228億円で前年比12億の増
(株)エー・アンド・デイ(東京都豊島区東池袋3−23−14、古川陽社長)は、03年4月−04年3月の決算を発表した。研精工業、リトラ、オリエンテック、エー・アンド・デイ・システムなどの連結子会社10社と関連会社1社で構成されたエー・アンド・デイグループ全体の上場後初めての決算となる。
新規事業の立ち上げや、韓国・中国での海外生産の強化等の結果、売上高は228億7000万円と前期比12億4500万円(前期比5・8%増)の増収となった。営業利益は18億2700万円と同4億2500万円(同30・3%増)、経常利益は14億2700万円と同4億2600万円(同42・6%増)、当期純利益は7億5000万円と同8700万円(同13・3%増)の増益。
新規事業と家庭用血圧計が好調
事業別では、計測・計量機器事業は、売上高143億9300万円(前期比3・0%増)、営業利益は15億3100万円(同2・9%増)。計測機器は、DSP(高速デジタル信号処理)技術を応用した新規事業部門の売上が順調に推移。計測・制御・シミュレーションシステムは自動車関連産業を中心に拡大し、目標には達さなかったが同37・0%の増加となった。既存事業の計量機器では、価格競争力を高めた韓国生産の新製品(EK・FC・iシリーズ、HL・WPシリーズ)が売上に貢献し、計量技術を応用した新製品の粘度計(SV・10、SV・100)は新たな市場を開拓した。また、後半にはDSP応用の計量計測コントローラーAD4820もリリースされ、一般産業向け新規事業の立ち上げを開始。売上高は、DSP事業の売上増加を主因として同4億2300万円増加したが、研究開発費等の増加により販売管理費が増加し、営業利益ベースでは同4300万円の増加に留まった。
医療・健康機器事業は、売上高84億7600万円(同10・7%増)、営業利益は10億4600万円(同64・7%増)。健康機器の中核製品である家庭用血圧計が、ロシア市場を中心に大幅に伸長。コストダウンを目的として中国に設立した工場で、急増する需要に対応することができ、売上・収益に大きく貢献した。医療機器部門は、新製品の投入の遅れや病院の設備投資削減等もあり、昨年を下回る結果となった。
地域別にみると、国内は売上高169億3600万円(同11・4%増)、営業利益は21億8300万円(同8・7%増)。新規事業の計測・制御・シミュレーションシステムは自動車関連産業を中心に売上を伸長。また、ロシア向け家庭用血圧計の輸出も大幅に伸長した。
米国は、売上高38億6900万円(同10・0%減)、営業利益は8500万円(同8・4%減)。ITバブル崩壊後の不況から徐々に脱出し景気に回復基調がみられるが、計量機器については市場の設備投資が遅れ低調。家庭用血圧計が量販店を中心に台数を伸ばしたが、為替相場が円高基調で推移、厳しい状況となった。欧州は、売上高7億3500万円(同6・5%減)、営業利益は2100万円(同29・6%減)。欧州経済は、回復傾向もみられたものの不況からは脱しきれず厳しい環境で推移。特に市場規模の大きなドイツでの景気回復遅れが影響し、苦しい状況となった。
アジア・オセアニアでは現地法人立ち上げにより、設備投資等、初期の経費支出が発生。売上高13億2900万円(同0・2%減)、営業損失は2200万円となった。
新技術の開発を積極的に
平成17年通期業績見通しは売上高255億4500万円、営業利益24億300万円、経常利益20億600万円、当期純利益12億3900万円を予定。同社は、「魅力的な製品群をいち早く市場に提供し、顧客満足を満たすと同時に、お客様からの信頼を獲得すべく、新技術の開発に積極的にチャレンジ」していくとしている。