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日本計量新報 2009年5月24日 (2774号)

A&D3月期決算
売上321億81百万円、純損失22億63百万円を計上
為替損益、冷え込んだ設備投資市場が影響

平成22年3月期へ

HEV、EV開発にDSPを積極提案
販管費の圧縮、コスト削減で利益率の改善

 (株)エー・アンド・デイ(古川陽社長、東京都豊島区東池袋、電話03−5391−6126)及び関連グループ企業の平成21年3月度決算は、連結会計年度の売上高は321億81百万円、純損失は22億63百万円の赤字となった。

   

 


 エー・アンド・デイは、新市場の開拓や新規顧客の獲得、新技術を応用したシステム製品開発に取り組み、更には、原価低減のため海外生産、海外調達の推進を図ってきたが、世界同時不況の影響による景気の悪化で、半導体不況に伴う電子ビーム関連ユニットの大幅な減収に加え、顧客の設備投資の抑制、流通在庫調整及び急激な為替変動により売上が減少した。販売費及び一般管理費は、子会社化した2社及び新たに設立した海外現地法人の費用が加わったこと、ロシア現地法人における上期に事業拡大に向けて積極的に人材増強を行ったことから増加し、さらに決済通貨として米ドルを使用していたため、米ドルに対する現地通貨(ロシアルーブル)の急激な下落により多額の為替差損が発生した。

この結果、当連結会計年度の売上高は321億81百万円(前年同期比6・8%減)、営業損失は1億47百万円(前年同期は32億72百万円の利益)、経常損失は17億67百万円(前年同期は22億65百万円の利益)、当期純損失は22億63百万円(前年同期は10億15百万円の利益)となった。

事業の種類別セグメントの業績は次のとおり。

計測・計量機器事業

計量機器は、景気悪化の影響から第3四半期以降急激に受注が減少し、電子天びんや台はかりは、顧客の在庫調整の影響から減収となった。また、ロードセルやインジケータ等設備組み込み製品についても、企業の設備投資の抑制が影響し減収となった。

計測機器は、企業の設備投資抑制の影響から、引張・圧縮試験機等は減収となった。計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)は、米国現地法人A&Dテクノロジーが好調に推移し増収となった。電子ビーム関連ユニットは、半導体不況の影響から大幅減収となった。

営業利益は、電子ビーム関連の売上減少、計量機器の円高に伴う利益率の低下に加え、先行的な開発投資を含め研究開発費が高水準で推移していることもあり、赤字幅が拡大した。この結果、売上高は161億97百万円(前年同期比6・8%減)、営業損失は17億48百万円(前年同期は1億24百万円の損失)となった。

医療・健康機器事業

健康機器は、家庭用血圧計の主要マーケットであるロシアにおいて大幅な減収となったが、新市場の英国では家庭用血圧計や体重計がテレメディスン事業向けに売上を伸ばしている。国内市場を中心とする医療機器は、円高の影響は殆ど受けず、携帯型血圧計及び全自動血圧計は好調を維持し増収となった。

営業利益については、円高の影響による家庭用血圧計の利益率の低下に加え、ロシア現地法人の販管費が増加し大幅減益となった。この結果、売上高は159億84百万円(前年同期比6・9%減)、営業利益は28億5百万円(前年同期比41・5%減)となった。

平成22年3月期の見通し

計測・計量機器事業は、計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)については、各自動車メーカーがハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の開発を活発に推進していることから、エンジンテストベンチ、実車風洞用システム等を積極的に提案するとともに、ORION(エンジン適合システム用自動計測ソフト)の拡販に注力することにより、自動車開発支援ツールメーカーとしての地位確立を目指していく。

電子ビーム関連ユニットは、当面生産部門をメンテナンス業務に特化し、また、研究開発部門についても、必要最小限の人員体制でいく。
 既存事業として位置づける計量器については、新製品を積極的に市場投入するとともに、インド、ロシア等海外市場での売上増に注力していく。

医療・健康機器事業は、血圧計の中国生産子会社、愛安徳電子(深?)有限公司については、部品内製化等によるコスト低減に注力するとともに、生産量の増減にフレキシブルに対応した生産体制の確立に傾注する。販売面においては、国内は調剤薬局等新規市場の開拓に注力し、ロシアにおいては、販売人員の削減に対応した販売体制の効率化を実施していく。また、保険適用(診療報酬対象)化された24時間血圧計TM−2431の拡販に注力し、海外では、血圧計モジュールのコスト改善版の新製品を投入し利益率改善に努めていく。

以上を踏まえ、2010(平成22)年3月期通期は、売上高は323億円(前期比0・4%増)、売上原価165億80百万円(前期比1・2%減)、販管費143億40百万円(7・8%減)、営業利益は13億80百万円、経常利益は8億80百万円、純利益は5億50百万円の見通しである。

日本計量新報 2009年5月24日 (2774号)

人事異動
経済産業省 知的基盤課計量行政室

【転入】▽法定計量担当多田孝夫(消費経済課)▽法定計量2係野田葉子(生物化学産業課)
【転出】鈴木正一(課長補佐法定計量担当、製造産業局業務管理官室へ)
(5月18日付)

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