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日本計量新報 2009年6月14日 (2777号)

産総研が型式承認等の手数料見直しを説明
質量計、燃料油メーター、ガス・水道メーター関係事業者に

実費との乖離や試験設備の性能確保など理由に
試験免除可能な場合には減額

(独)産業技術総合研究所(計測標準研究部門法定計量技術科、根田和朗科長)は「産業技術総合研究所が実施する型式承認等の手数料の見直しについて」の説明会を実施した。手数料見直しの現段階での方針を説明したもので、対象は質量計、燃料油メーター、ガス・水道メーターの関係事業者。質量計関連は6月9日、燃料油メーター関連とガス・水道メーター関連は6月12日に説明会を開いた。質量計関連は、3月20日改訂のJISB7611−2による型式承認申請手順及び提出資料に関する説明もした。産総研は2010年4月1日をめどに見直し作業をすすめている。

 

 計工連の総会のようす


減額規定を導入、現行より安くなる場合も

非自動はかりの型式承認の現行手数料は13万3900円から46万2700円であるが、見直し手数料は現段階の案では、約1・7倍から2・26倍程度になる。ただし、非自動はかり、自動車等給油メーター、積算熱量計などではモジュール(認められた試験成績書が付いたシステムの構成要素、非自動はかりでは指示計やロードセルなど)の導入による効率的な型式承認が実施されるので、モジュールの組合せによる型式申請の場合で、試験が免除可能な場合には手数料を減額する規定が導入される予定である。

たとえば非自動はかりの場合、アッセンブリメーカーが、モジュールの組合わせによる型式申請をする場合には、試験を実施しないので審査手数料のみとなり、減額されて試算では10万2600円となる。

この減額措置によって、器種によっては現行手数料よりも安くなる場合がある。

認められた成績書が附属しているモジュールの組合せではかりを製作した場合、検出部が電気式でひょう量が2t以下で試験免除の場合、見直し後は減額されて現行手数料(35万円)の3分の1以下(10万2600円)になる。

検出部が電気式以外でひょう量150kg以下の非自動はかりは、現行手数料が13万3900円であるから、これも試験免除の場合は、試算では現行より3万円ほど安くなる。

検出部が電気式でひょう量が2tを超えるものは、現行手数料は46万2700円であり、試験免除の場合は見直し案では減額されて10万2600円(試算)となるので、4分の1以下になる。

一部試験免除の場合は現行手数料よりもやや高くなる設定である。

見直し案は、型式承認へのモジュール化の導入と、減額規定の導入で、アッセンブリメーカーの型式承認取得に配慮したものとなっている。

は現行の21〜35時間から、審査時間を含んで最大135時間程度になる。

審査時間を追加し、一律約20時間として見積もっている。

軽微変更承認の手数料は、新規手数料の半額となる点は従来どおりで変更はない。

今回の説明内容は最終案ではない。説明会での質疑内容なども加味して検討を加えていく。

モジュールは個別の試験成績書が要求され、それに対応するためにサプライヤーによる依頼試験の負担が増加するため、非自動はかりの場合、それが指示計やロードセルの価格に影響を与える場合もある。

基準器検査手数料は、基準器の種類によって異なるが、質量基準器は最大で20〜30%ほどの値上げになる。

実費とのずれ大きく

手数料見直しの背景は4つある。

(1)技術革新や国際整合化を反映して技術基準が改定されていることである。非自動はかりの場合、特定計量器検定検査規則が引用するJISB7611−2が09年3月20日に改訂されている。

(2)設備の更新がある。新型式における電磁的環境試験など、試験実施に要求される試験設備の性能を確保する必要がある。効率的な試験実施のためにも設備の拡充が必要である。

(3)1993(平成5)年以後、手数料に関する抜本的な見直しはされていない。産総研もこの間に組織改編で独立行政法人化されている。

(4)サービスの拡充。ロードセル、指示計等に関する依頼試験の拡充。依頼試験成績書を型式承認申請時に活用する。

産総研が説明する直接的な見直し理由は次のとおり。

(1)現行手数料と実費との金額の隔たりがある。計量制度を見直していた「計量制度検討小委員会報告書」(答申)は「業務の実務実態に合わせた実費額との間が乖離し安価な手数料となっており、型式承認等の申請者に与える影響を勘案しつつ手数料について見直しを行うことが適当である」と指摘している。

(2)非自動はかり、自動車等給油メーター、積算熱量計などモジュール化の導入による効率的な型式承認の実施。

(3)減額規定の導入。実務実態に合わせた実費額を、ということで、試験が免除可能な場合には減額する。

(4)計量器の検査結果の国際相互受入の進展。非自動はかり、ロードセルに関しては「OIML−MAA」の証明書制度があり、個別の相手国との相互承認(MoU)には、非自動はかり、ロードセル、燃料油メーターがある。これらの適合証明書があれば、改めて試験をする必要がない。柔軟な対応をするということである。

型式承認の申請方法を説明

質量計関連分野の説明会では、非自動はかりの「型式承認申請ガイド」が説明された。ここでも資料の提出等では柔軟な対応を取ることが説明された。

完成はかりに関する提出指定資料中、適合証明書に関しては、OIML−MAAではないOIML適合証明書で使用できるのは、現時点では、非自動はかりに関してはPTB(ドイツ)、NMi(オランダ)、KATS(韓国)、NMIJ(日本)発行の証明書のみ、ロードセルに関してはPTB、NMIJ発行の適合証明書だけである。

請ガイドなどは、近々NMIJのwebサイトへ掲載される。

申請に関しては秋頃にもメーカー対象の説明会を開きたいとしている。

産総研の法定計量技術科は、審査期間のできるだけの短縮や、設備の使用、技術交流の促進など、今後、さらなるサービスの拡充をはかっていきたい、意見なども寄せて欲しいとしている。

【型式に関する技術的相談・問い合わせ先】(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門法定計量技術科=〒305−8563、茨城県つくば市梅園1−1−1中央第3、電話029−861−4057・4058、FAX029−861−4055、http://www.nmij.jp/~legal-met/

【申請及び届出に関する問い合わせ】(独)産業技術総合研究所計量標準管理センター標準供給保証室=住所は同前、電話029−861−4026、FAX029−861−4018

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