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日本計量新報 2010年1月10日 (2804号)

特定標準器の新たな指定と校正範囲拡大
「分光放射照度」「交流電流」「高周波インピーダンス」

技術開発の進展や産業界の要望に対応

計量行政審議会計量標準部会(今井秀孝部会長)が2009年12月21日に開かれ、経済産業大臣から諮問されていた「分光放射照度」「交流電流」「高周波インピーダンス」に関する計量標準供給の範囲の拡大などが答申された。規定により部会の決定を計量行政審議会の決定とすることができる。経済産業省は、答申にしたがい告示する。

 
トレーサビリティの体系図
 

「分光放射照度」は校正範囲の拡大

「分光放射照度」は、現行は日本電気計器検定所が特定副標準器による校正を実施しているが、これに加えて(独)産業技術総合研究所が特定標準器による「分光放射照度標準電球であって、校正範囲が200nm以上400nm以下のもの」の校正を開始する。

分光放射照度は、面上に入射する光の強さを表す量。照明や情報、材料評価、加工製造、エネルギー、医療分野等で使われている。

現行は250nm以上の範囲であるが、250nm以下の放射は、従来から、材料評価、加工製造、医療分野などで広く使用されており、産業界から、さらに短い波長域の分光放射照度校正が要望されていた。今回の校正開始はこれに応えたもの。

◇特定標準器=分光放射輝度照度測定装置(既存)

◇校正実施機関=(独)産業技術総合研究所

◇特定2次標準器=分光放射照度標準電球であって、校正範囲が200nm以上400nm以下のもの

◇校正範囲=波長:200nm以上400nm以下、分光放射照度:(1×10−2−1×10−3)μWcm−2nm−1

◇特定標準器による校正周期=2年

◇測定の不確かさ=(2)特定標準器による校正等における測定の相対拡張不確かさ(k=2)は、200nm以上230nm未満:11.6%、230nm以上370nm未満:5.6%、370nm以上400nm以下:6.0%を予定。(2)登録校正事業者がおこなう校正における測定の相対拡張不確かさ(k=2)は、9%〜14%程度を想定。

「交流電流」は、新たな特定標準器の指定と校正の開始

「交流電流」は、現行の特定標準器、特定副標準器を取り消し、特定標準器による校正等を取りやめる。そのうえで、特定標準器を新たに指定し、校正等を新たに開始する。

現行は、日本電気計器検定所(日電検)が保管する交流電流比の計量器が、1993(平成5)年に特定標準器および特定副標準器として指定されており、交流電流比は日電検が特定標準器および特定副標準器を使って校正している。

(独)産業技術総合研究所(産総研)による技術開発の進展により安定的な精度維持などができるようになったので、日電検が保管する特定標準器および特定副標準器を取り消し、新たに産総研が保管する新しい交流電流比の計量器を特定標準器として指定する。

(次号以下につづく)

日本計量新報 2010年1月10日 (2804号)

計量器型式承認
手数料の見直しの検討会ひらく

6〜7月を目途に施行、減額項目の検討へ

 
説明を受ける検討メンバー
 

経済産業省計量行政室と(独)産業技術総合研究所は、2009年12月25日、「計量器型式承認手数料の見直しに係る検討会」を開催した。

同検討会は、(独)産業技術総合研究所が現在見直しを行っている、計量器の型式承認に係る手数料の算定方法について、透明性を確保するために設けられたもの。(独)産業技術総合研究所の根田和朗計測標準研究部門科長が、検討メンバー(計量器メーカー・関係団体、有識者)に見直しの概要を説明。その後、率直な意見が交わされた。

見直し後の型式承認手数料(注1)は、現行手数料に比べ増額する見込み。ただし、モジュール評価(注2)を導入し、試験が免除可能な場合は手数料を減額する規定を設けるため、器種によっては、現行手数料より安くなる場合もある。

たとえば、非自動はかり(2t超)の場合、現行手数料は46万2700円。改定手数料(案)では、80万円台後半となる。ただし、アナログロードセル、デジタルロードセル、指示計等の項目で減額が検討されており、減額後の手数料は10万円台から60万円台となる見通し(注3)。

手数料関係法令の施行の時期は、2010年6〜7月を目途に改正作業を進めている。今後は、減額項目について、各業界ごとに検討を重ねる段階に入る。

検討メンバーからは、「施行は6〜7月とあったが、はかりは8月末に一斉に期限が切れる。早めに対応してほしい」「計量業界の厳しい状況に配慮を」等の意見が出た。また、「検定も同時期に変わるのか」という質問には、「現時点では検討していない」との回答。これに対して、検討メンバーの大平久夫東京都計量検定所所長は、「もし国の方式が変わるとすれば、各自治体も検討し直さねばならない。影響は大きいのでは」と意見を述べた。

(注1)型式承認の手数料は、「人件費×作業時間+物件費×作業時間+試験装置の減価償却費」から算出される。

(注2)計量器の持つ要素を分解し、個別に評価することで、効率化を目指すもの。

(注3)『日本計量新報』2777号@・C面で、見直し後の試算例や見直しの背景を紹介している。

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