産総研
第3期中期目標の実施へ
期間は、2010年4月から2015年3月まで
産業・社会の「安心・安全」支える基盤整備へ
計量標準の高度化、新規標準物質の提供
(独)産業技術総合研究所の第3期中期計量目標の実施が開始された。目標期間は、2010年4月から2015年3月まで。目標を実現するために策定した中期計画を実行していく。第3期は「課題解決型国家」に貢献するため、「21世紀型課題の解決」「オープンイノベーションハブ機能の強化」を大きな柱に位置づけて、重点的に研究開発に取り組む、としている。計量標準62種類を新たに開発する。また、イノベーションの実現を支える計測技術を開発、評価する。
新たな計量標準を整備
■計量標準62種類を新たに開発
「21世紀型課題の解決」では、新時代の産業基盤の整備が位置づけられており、計量標準の充実・高度化や新規技術の性能・安全性評価や国際標準化など、産業・社会の「安心・安全」を支える基盤整備を推進する。
第3期中期計画では、計量標準62種類を新たに開発し、供給を開始する。第1期、第2期を通じて開発した計量標準約530種類を維持、供給し、産業現場のニーズに応える高度化・合理化を進め、トレーサビリティの普及を推進する。
計量標準の充実・高度化では、2010年度は次のような取り組みをする。
■今年度は9種類以上の標準開発
10年度は、新たに9種類以上の計量標準を開発し、既存の計量標準のうち12種類以上の標準の供給範囲の拡大や不確かさ低減等の高度化をする。
グリーン・イノベーションの実現支える
■新エネルギー源利用へ
気体高圧力標準の基礎技術を確立する。
気体流量標準では、定置燃料電池へのガス供給に対応した50L/minまでの実用標準器の整備、トランスファー用流量計の性能評価を開始する。
燃料電池・電力貯蔵キャパシタの評価用標準として蓄電池、キャパシタ標準を開発する。今年度は、既存標準を基準に大容量へ拡張するブリッジ回路を設計、試作する。
第3期中に燃料分分析用標準物質1種2物質以上を開発予定。10年度は、標準液1種類(1物質)の開発、品質システムを構築する。
■省エネルギー技術の開発と利用へ
中期計画では、高周波電気標準、光放射標準、熱流密度標準等で、新たに7種類の標準を開発・整備し、供給を開始。
10年度は、時間周波数標準関連供給に向け、不確かさの低減、利便性の向上への準備を開始する。
温度・圧力範囲を拡張し、温度:0〜70℃/圧力:0MPa〜10MPaまでの領域で新規代替冷媒のPVT性質、気液平衡性質、音速などを計測。取得データから冷凍空調システムの性能向上のための状態方程式を開発する。
電磁波分野は、第3期にホーンアンテナ標準とレーダ散乱断面積の標準開発を計画。10年度はホーンアンテナの利得標準を開発。
高強度LED全光束標準と分光全放射束標準の開発を進める。標準LEDを評価し、配光測定装置やマルチチャンネル分光検出器校正装置の整備を進める。
(次号以下につづく)
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