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日本計量新報 2010年8月8日 (2833号)

自然への誘い
剱岳と立山高原ホテル

剱岳(標高2999メートル)は、富山湾からよく見える。山容は見間違えることがないほど明瞭であり、その黒い固まりは威厳に満ちている。立山に登っても、後立山連峰に登っても、剱岳はこの山域の主峰とも思えるほどの存在感だ。

この剱岳には、2度登ったことがある。3度目は雨と強風に難儀し、履いている靴の底が壊れてしまったので、山頂直下の一本橋の渡りで引き返すことになった。このとき、扇沢から前後して登っていた3人組の若い登山者がいて、難コースを選んでここまで登ってきたが、私と同じ場所で引き返した。剱澤小屋の夕食時に、途中から私の姿を見なくなったので、たぶん登ったのだろうと考えて悔しがっていたのだと聞いた。これが5年前のことであった。宿にした剱澤小屋は雪崩にやられて3度目の場所換えをしていた。剱岳にもっと近い剣山莊も雪崩にやられて小屋を建て直した。立山室堂から剱沢に乗り越す峠の剱澤御前小屋はずっと昔に火事に遭って立て直した。今年の夏のシーズンは、立山三山縦走の要所になる内蔵助山荘が雪による被害を受けて営業ができない。剱澤小屋では、熊の肉を特別に提供されて大いに喜んだことがある。混み合っているなか通常料金で個室を用意されて2泊したありがたい思い出もある。

2010年夏の登山でも登山靴が壊れ、剱岳を断念して立山で遊んでいた。宿は室堂の喧噪から逃れられる立山高原ホテルにした。この宿の部屋からの剱岳の眺望はすばらしい。立山の山もぐるりと見渡せる。風呂からもこれらの山を邪魔なしに見ることができる。登山を終えての立山高原ホテルでの贅沢なくつろぎは格別である。

(文章と写真は旅行家甲斐鐵太郎)

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