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日本計量新報 2011年2月20日 (2858号)

計量計測関連企業
平成23年3月期第3四半期決算

設備投資の回復で各社とも業績好調

上場している計量計測関連企業の平成23年3月期第3四半期決算が出揃った。各社とも需要先の景気回復に伴う設備投資の回復から、過去のピーク時にはまだおよばないものの、前年比で業績を大幅に伸ばした好調な結果となった。


エー・アンド・デイ

第3四半期連結累計期間は、家庭用血圧計や電子天びんなどは売上回復が見られたものの、大型試験機、エンジン排気ガス分析計などの回復は想定以上に遅れている。その結果、第3四半期連結累計期間の売上高は218億51百万円(前年同期比9.5%増)となり、営業損失は1億45百万円(前年同期は15億53百万円の損失)、経常損失は4億29百万円(前年同期は15億57百万円の損失)、四半期純損失は6億40百万円(前年同期は23億54百万円の損失)となった。

各セグメントの状況はつぎのとおり。

▽計測・計量機器事業=日本における計量機器事業は、企業収益の改善を受けて売上は順調に回復してきている。なかでも汎用天びん、台はかり、射出成型向けロードセルの回復は顕著で、売上は大幅に伸張している。計測機器事業は、標準的な引張・圧縮試験機、計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)は売上を伸張しているが、電子ビーム関連ユニット、エンジン排気ガス分析計や大型試験機に関しては、高額の設備投資であるため未だ慎重な姿勢が見られる。

米国では、電子天びんがジュエリー市場や医薬品関連事業で売上が好調に推移しており、ピペット容量テスターなどの新製品の売上も好調な出だしとなった。DSPシステムが米国の自動車産業の回復もあり、好調に推移している。とくに電気自動車関連の開発投資が活発であり、今後も期待が持てる市場となっている。欧州では、新製品の投入も寄与し、英国・ユーロ圏を中心に堅調に推移している。アジア・オセアニアは、オーストラリアでは競業他社の参入もあり厳しい状況となっている。韓国では高精度計量センサーなどを中心に計量機器全般が好調に推移しており、また新規開拓中のインド市場では、ジュエリー市場向け電子天びんを中心に売上は増加している。この結果、計測・計量機器事業の売上高は121億98百万円、営業損失は4億96百万円となった。

▽医療・健康機器事業=日本における医療機器事業は、全自動血圧計や携帯型血圧計が低調な推移となったが、計量法改正に伴う特需もありメディカル計量器が好調であったことから底堅く推移した。健康機器事業は、国内では超音波吸入器の立ち上がりが低調ではあったが、OEMや調剤薬局向け血圧計が堅調に推移した。また、輸出は円高の影響はあったものの各国の景気回復もあり大幅に売上が伸長した。米国における健康機器事業は、テレメディシン向け血圧計は低調であったものの、家庭用血圧計は堅調に推移している。欧州は、ロシアは前年同期に原油安などによる通貨価値の下落により景気が低迷し、家庭用血圧計の売上減少の要因となったが、当期は原油価格の高値安定から景気の回復が見られ、家庭用血圧計の売上は急速に回復した。また、英国でも家庭用血圧計・体重計は好調に推移した。アジア・オセアニアは、中国および韓国では携帯型血圧計や全自動血圧計を中心に堅調に推移した。健康機器事業は、ロシア・米国に続くマーケットとして中国市場の開拓に注力しており、着実に成果が上がってきている。また、韓国では新規顧客開拓を積極的に推し進め、売上も堅調に推移した。この結果、医療・健康機器事業の売上高は96億53百万円、営業利益は13億94百万円となった。

島津製作所

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は1724億53百万円(前年同期比8.8%増)となり、営業利益は64億62百万円(同112.8%増)、経常利益は54億76百方円(同93.8%増)、四半期純利益は36億40百万円(同110.1%増)となった。

各セグメントの状況はつぎのとおり。

▽計測機器事業=国内市場は、景気の急激な後退前の水準にはおよんでないが、全体の売上は増加した。官庁大学市場では、補正予算関連の需要などもあった前年度に比べて売上は減少したものの、民間市場では、企業業績の改善に伴い、研究開発投資、設備投資が回復し、また環境や新エネルギー関連など好調な分野があった。製品ではガスクロマトグラフ、環境測定機器、光分析装置の需要が増加し、試験機、表面分析装置、工業用X線装置の需要が回復した。海外市場は、先進国では穏やかに景気が回復し、また新興国では引き続き景気が拡大したことにより、全体として売上は増加した。米国、欧州では液体クロマトグラフ、質量分析計などの需要が回復し、売上が増加した。内需を中心に景気拡大が続く中国では、製薬、環境、食品安全などの分野で液体クロマトグラフ、光分析装置、表面分析装置、環境測定機器の売上が増加し、また製薬分野での市場が大きいインドでは市況が回復に転じており、液体クロマトグラフの売上が大きく増加した。

この結果、売上高は925億60百万円(前年同期比7.2%増)となった。

▽医用機器事業=国内市場は、国公立病院・大学病院では、補正予算の効果があった前年度に比べて低調となった。大手民間病院では、2010(平成22)年4月の診療報酬改定により採算が上向き、X線装置のデジタル化の進行や装置の更新需要など設備投資の回復が見られ、引き合いは増加額向にあるものの、国内市場全体の売上は減少した。

(次号以下へつづく)

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