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日本計量新報 2011年3月20日 (2862号)

東北地方太平洋沖地震が発生
東北地方の計量関係団体、機関の人命は無事

被害は甚大、詳細は未だ不明
政府は救済策打ち出す

3月11日、未曽有の大災害である東北地方太平洋沖地震が発生した。地震に伴うこれまでに経験したことがない大津波によって東北・関東地方に甚大な被害が生じた。通信手段の切断などにより被害の全容は未だにはっきりせず、死者・行方不明者の数も日々増え続けている。福島県では深刻な原発事故も発生した。


機関、団体の業務に支障も

施設に被害がでたところはあるが、現段階で東北地方の計量関係団体や機関、計量関係企業の職員・社員などの人命は無事だった。大きな揺れがあった長野県や千葉県、静岡地方の3月15日の地震でも、計量団体、機関、企業の人命に異常はなかった。

計量関係機関、団体の検定や検査業務などにも支障が出始めている。はかりの定期検査の所在場所検査で、相手先に被害が出ており予定通り検査できなかったり、ガソリン計量機(燃料油メーター)の検定なども、ガソリン不足で店舗が営業しておらず予定通り実施できないということが起こっている。また、ガソリン不足が深刻化すれば、定期検査に出かけられなくなる可能性もある。

「計画停電」による影響も出ている。場合によっては、年度内に予定の検査が終了しない場合も起こりうる。何らかの対策が必要になる。

経済産業省が激甚災害で中小企業対策

経済産業省は、東北地方太平洋沖地震などによる被災に関して中小企業者対策を実施している。

すでに特別相談窓口の設置などを実施しているが、東北地方太平洋沖地震が激甚災害法に基づく激甚災害として指定されたことを受け、信用保証協会による100%の保証を実施するなどの措置を講じることにした。

今回の災害は、被害の全容が未だ明らかではなく、一方でその拡大も予断を許さないことから、措置の対象は「全国」とするとしている。

具体的には以下の措置を実施する。

(1)災害関係保証の発動=市町村長などから罹災証明を受けた中小企業者に対して、信用保証協会は、別枠で保証する(100%保証。保証限度額は無担保8000万円、普通2億円)。

(2)小規模企業向けの設備資金融資の償還期間の延長=小規模企業者等設備導入資金貸付制度および小規模企業設備貸与制度による、既往貸付金の償還期間を2年延長(7年以内→9年以内)する。

(3)事業協同組合などの施設の災害復旧事業に関する補助=都道府県が実施する事業協同組合などの災害復旧事業に関する補助に対し支援をする(都道府県が事業費の4分の3を補助する場合、国はその経費の3分の2を補助)。

(4)災害復旧貸付の金利引下げ=被災中小企業者に対して、日本政策金融公庫および商工組合中央金庫が別枠で実施する災害復旧貸付について、特段の措置として、0・9%の金利引下げをする。

法定計量クラブ「はかり研究会」延期

3月24日(木)に開催を予定していた(独)産業技術総合研究所NMIJ(計量標準総合センター)が主宰する、法定計量クラブ「はかり研究会」は延期される。新しい開催日は未定。調整の上、改めて案内するという。

延期は、3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」の影響によるもの。「旧型式非自動はかりにおける相当品の取扱」に関して、経済産業省計量行政室と産総研が説明することになっていた。

日本計量新報 2011年3月20日 (2862号)

災害被害者
権利利益満了日など延長
3月13日、政令を制定

具体的権益は告示で別途指定

政府は3月13日、「平成二十三年東北地方太平洋沖地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」(政令第19号)を制定・公布した。特定非常災害(東北地方太平洋沖地震による災害)の被害者の権利利益の保全などを図るための特別措置。

本政令は、2011(平成23)年東北地方太平洋沖地震による災害を、「特定非常災害」として指定し、次の措置を適用した。

(1)行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置(2)期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置(3)債務超過を理由とする法人の破産手続開始の決定の特例に関する措置。

政令は、公布の日から施行。

本政令は「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(平成8年6月14日法律第85号)に基づくもの。この法律は、阪神・淡路大震災に対応するために立法された行政上の権利利益の満了日の延長などに関する各種特別措置を、政令で定めることとすることにより、災害時にこれらの措置を迅速に発動できるようにしたものであり、大規模な非常災害(特定非常災害)について適用される。

(1)に関して、延長期日は2011(平成23)年8月31日までの範囲。延長措置を講ずる具体的な行政上の権利利益は、各府省などの告示で別途指定される。

(2)は、履行期限のある法令上の義務が、特定非常災害により本来の履行期限までに履行されなかった場合であっても一定期限まで(2011〔平成23〕年6月30日まで)に履行された場合には、行政上および刑事上の責任を問われないことになる。

(3)は、特定非常災害により債務超過となった法人に対しては、支払不能などの場合を除き、一定の期間(2013〔平成25〕年3月10日まで)破産手続開始の決定をすることができないことを定めたもの。

特別措置は政令で定める

「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(平成8年6月14日法律第85号)の前年、同趣旨の「阪神・淡路大震災に伴う許可等の有効期間の延長等に関する緊急措置法」(平成7年3月1日法律第19号)が制定されているが、この法律は阪神・淡路大震災に限定された緊急措置法であったため、災害時における各種の特別措置を迅速に実施するために政令で定めることができるように本法が制定された。

経済産業省も作業中

計量法関連も含めて、有効期間があるものについての期日延長などに関して、経済産業省が作業を進めており(3月16日現在)、「できるだけ早く措置を講じたい」としている。

阪神・淡路大震災時にも有効期間など延長

1995年の阪神・淡路大震災時には、緊急措置法に基づいて、3月17日付告示で、計量法関連では、特定計量器の「検定証印」、タクシーメーターの「装置検査証印」、基準器の「基準器検査証印」の有効期間が約6カ月間延長されている。

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