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日本計量新報 2011年5月1日 (2868号)

産総研
放射線計測の信頼性に関するサイト設置
計測の正確・信頼確保の仕組みとルール解説

測定値の信頼性確保が目的

(独)産業技術総合研究所(産総研)は4月18日、「放射線計測の信頼性」に関するwebサイトを設置した。正確で信頼できる放射線計測を実施するための仕組みとルール、産総研など各種機関が果たしている役割を解説している。福島原発事故に関連して緊急に必要とされている放射線計測の信頼性を確保するのが目的。


 
WEBサイトトップ

放射線計測の需要の急増

東京電力の福島第一原子力発電所事故への対応作業では、安全対策と作業方針などの構築のためにも基礎となる放射線測定値の信頼性が求められている。各地方公共団体も独自に放射線量などを測定して公表しているが、測定値が信頼できないと対応にも誤りが生じる。日本から輸出する工業製品や食品などに対し、さまざまな国・地域から放射線量の検査が要求されており、輸出品に関する放射線測定検査の需要が急速に増えている。

これら急増する放射線計測の信頼性を確保するためには、計量のトレーサビリティの構築が求められている。産総研のwebサイト開設は、この状況に対応したもの。

信頼計測に欠かせない3つの要素

このwebサイト(http://www.aist.go.jp/aist_j/rad-accur/)は、(1)「計測の信頼性を支える基礎」A「計測の信頼性:放射線の場合」(2)「計測器の表示値の換算方法」(3)「関連リンク」(4)「Q&A」(5)「お問い合わせ」で構成する。

(1)で計測全般に共通する信頼性に関する事柄を説明している。信頼性の高い計測をする上で欠かせない3つの要素として、「正確な計測器」、「計測器の正しい使い方」、「測定者の高い技能」をあげている。

(2)で放射線計測の場合の計量のトレーサビリティと国際相互承認、測定方法の規格(JIS)と技能試験に関する説明をしている。

表示値から線量率などへの換算方法も説明

現場で使う放射線計測器の表示値(計数率)は適切に換算しなければ汚染量として意味をなさない。輸出品の検査などでは、主に単位時間当たりの人体の放射線被曝(ひばく)量(線量率、μSv/時)が求められることが多い。そのため、Bで表示値(単位cpm)から、放射能面密度(単位Bq/立方センチメートル)や線量率(μSv/時)への換算方法について、例を示しながら解説している。(3)は、関連する情報を提供するwebサイトのリンク一覧。(4)は、よくある質問への回答集(Q&A)。

問い合わせ窓口も設置

webサイト設置に先行して、4月12日から、放射線計測の信頼性に関する問い合わせへの対応窓口を設置している。フォーム(https://unit.aist.go.jp/prdep/inquiry/rad-accur/inquiry_form.html)と電話(029−860−5470)で受け付けている。

日本計量新報 2011年5月1日 (2868号)

産総研
第2回放射線測定講習会

(独)産業技術総合研究所計量研修センター、産業技術連携推進会議、NMIJ計測クラブ(放射線・放射能・中性計測クラブ)は、5月13日(金)の13時から「放射線測定講習会」を同所中央3−9棟第6会議室で開催する。対象は公設試験研究機関職員(産技連加盟の公設試でなくても可)。また福島に近い場所の人を優先するとしている。

【日時】5月13日(金)、13時〜17時(受付開始12時30分〜)

【場所】(独)産業技術総合研究所(つくば)中央3−9棟第6会議室(3階)

【人数】10人(福島に近い場所の人を優先)

【対象】公設試験研究機関職員

【プログラム】◇13時〜15時、講義=▽放射線・放射能の基礎知識▽放射線・放射能の測定機器と測定原理▽放射線・放射能測定の信頼性(1)測定機器の校正方法(2)トレーサビリティ▽表面汚染の測定方法▽測定結果から表面汚染密度(Bq/立方センチメートル)の導出方法

◇15時〜17時、実習と質疑応答=▽実習の概要説明▽順番に、β(γ)GMサーベイメータを用いて表面の汚染を測定し、表面汚染密度を導出する。▽質疑応答

【申込方法】機関名、所属、氏名、電話番号、メールアドレスを記載の上、下記に申し込み。

【申し込み先】産技連事務局(産学・地域連携室)=Eメールsanji-jimukyoku@m.aist.go.jp

【締め切り】5月9日(月)、12時まで。

【問い合わせ先】産学・地域連携室=担当柳堀・久場、電話029−862−6145

日本計量新報 2011年5月1日 (2868号)

国交省港湾の放射線測定、証明書を発行

国土交通省は4月22日、輸出コンテナおよび船舶の放射線測定に対するガイドラインを策定、証明書を発行すると発表した。また、港湾内の大気および海水について放射線測定を実施し、国交省ホームページに公表する。

福島第一原子力発電所の事故による放射性物質流出の影響により、各国から日本発のコンテナや船舶の安全性について、懸念の声があがっていた。京浜港などへの寄港を取りやめる例も出ており、これ以上の風評被害が広まらないための措置として必要と判断。28日から「当分の間」実施する。

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