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日本計量新報 2011年5月8日 (2869号)

いわき市富神崎港
漁港に残る設備は4台のハカリだけ
津波、放射性物質、魚の汚染の三重苦

魚市場で一番使われる機械はハカリ

記者は、4月23日、いわき市の富神崎港に入った。港裏の住宅地は津波によって多くの民家が倒壊したままで、片付けなどにほとんど手が付いていなかった。魚市場の施設に残されていたのは4台のハカリだけだった。ハカリは魚市場に欠かせない機械だ。ハカリが機能することは魚市場復旧の象徴であり、その日が早く来ることが待ち望まれる。福島県の魚市場は、津波による被害、放射性物質による人体への危険、コウナゴの出荷停止・摂取制限(魚汚染)と、三重苦にあえいでいる。


 
魚市場に残されたハカリ

ハカリの稼働は復旧の象徴

いわき市の平沼之内地区にある富神崎港の裏の住宅地は、津波によって多くの民家が倒壊した。記者が入った4月23日には、復旧にはまだほとんど手が付けられていない状況であった。同じ日、北西へ約70kmほど離れた内陸に位置する三春町では、日本一美しいといわれる三春滝桜が満開であり、大勢の観光客が訪れていた。

富神崎港には、いわき市漁業協同組合沼之内支所と、支所が運営する魚市場がある。魚市場の施設に残されていたのは4台のハカリだけであった。2台のデジタル式ハカリと2台のダイヤル目盛りの機械式ハカリである。港にはほかに設備は残っておらず、2艘の漁船が係留されているだけだった。

港は大きな被害を受けていた。市場付近の電柱に、人の背丈よりも高い大きな岩石がくっついていた。石は津波によって動き、電柱によって止められたのだ。津波の力がそれほどに大きかったことを物語る光景である。4台のハカリが市場に残されたのはドアが付いている事務室に保管されていたからだと思われる。

機械式ハカリは機能を失っていなかった。人が載れば体重値を表示した。ハカリは魚市場に欠かせない一番使われている機械である。魚市場でハカリが再び働く日は、復旧の象徴的な一日になる。一日も早くその日が来ることが待ち望まれる。

「地元でも被災していない地域の人は何もしてくれない」との声も

5月11日現在、東日本大震災により、いわき市では301人が死亡、82人が行方不明、1483人が避難生活をしている。津波によって大規模な被災をした都市の南限がいわき市である。

人口約34万人のいわき市では、同じ市内で、被災状況に大きな差が生じた。海沿いの住居、漁業施設、産業施設は大規模な津波被害を受けた。しかし、内陸にある市の中心市街地は、地震による建物被害などは多少あったが、海岸部の津波被災状況と比べると無傷といってよい。街の商業活動も人々の暮らしぶりも、2011年3月11日以前と変わらない。

宮城県女川町、岩手県陸前高田市、釜石市鵜住居地区、大槌町、山田町、宮古市田老地区などのように、街や地域が津波被害と連動する火災で壊滅状態になった地域と、いわき市では、被災状況に大きな違いがある。

そのような状況のなか、いわき市の被災者で避難生活者の一人が「遠くの人の支援と励ましはありがたいが、地元のいわき市でも被災をしていない地域の人は何もしてくれない」と訴えている姿がテレビに映しだされた。誤解もあるかもしれないが、これが3・11後の日本の姿を現しているのかも知れない。

マスコミによって、ボランティアによる支援のようすがさまざまに報道される一方で、手をさしのべるべき立場にある人々が苦難の状態に置かれている人々を実際上見捨てている状況も、事実としてある。

被災地域の住民の間に不協和音が出てくれば、被災地域への救難と救済、さらに復旧や復興、未来の繁栄を求めての活動もうまくいかず、見通しも立ちにくくなる。早急な対策が必要だ。

(次号以下につづく) 

日本計量新報 2011年5月15日 (2869号)

産総研
非自動はかの定期検査研修実施
全国3カ所で

(独)産業技術総合研究所計量研修センターは、指定定期検査機関などの職員および代検査に関わる計量士を対象とし、非自動はかりの定期検査手法などについての研修を全国3カ所(東京、大阪、福岡)で実施する。

研修は、JIS B7611−2の最新版を基に、解説を交えながら検査手法の実習を中心に行う。受講料は8000円。この研修についての詳細は、計量研修センターホームページ(http://www.nmij.jp/ ̄metroltrain/)に掲載している。

実施概要

【日時/場所】(1)11年6月6日(月)=産総研臨海副都心センター(2)6月17日(金)=産総研関西センター(3)7月6日(水)=アクロス福岡※各会場とも時間は9時45分〜16時15分。

【講師】産総研担当職員

【申し込み方法】計量研修センターのホームページで申し込みをした後、提出書類をFAXする。提出書類の様式は上記ホームページからダウンロードできる。締め切りは5月20日(金)15時。ただし、定員になり次第締め切る。

【問い合わせ先】(独)産業技術総合研究所計量研修センター=電話029−861−2422

日本計量新報 2011年5月15日 (2869号)

経産省
震災後の産業実態緊急調査 結果を公表

経済産業省は、「東日本大震災後の産業実態緊急調査」を実施し、結果をWEBサイトで公開した。

(詳細は次号以下)

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