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日本計量新報 2011年5月22日 (2870号)

東日本大震災
復興へ向けた支援策拡充
中小企業向け融資・信用保証など新設

事業用施設の復旧・整備支援も
問い合わせてみることが大事

東日本大震災の発生から2カ月以上経過し、復旧・復興へ向けた動きが活発になっている。国も復旧を目指す事業者などへの支援策を新設している。経済産業省は中小企業向け支援策として、震災対応の金融制度の拡充、震災で被害を受けた事業用施設の復旧・整備を支援している。地方公共団体も独自の支援措置を講じている。わからない点は、「中小企業電話相談ナビダイヤル」(電話0570−064−35)に問い合わせてみることが大事だ。


新設された資金繰り支援策

中小企業向けの復旧・復興支援策はいろいろあるが、新設された「東日本大震災復興緊急保証」と「東日本大震災復興特別貸付」を紹介する。これらの制度は5月2日、「2011(平成23)年度第1次補正予算」が成立したことを受けたもの。貸付・保証の相談は5月16日(月)から開始し、5月23日(月)から制度の運用を実施している。

東日本大震災復興緊急保証−他保証枠とあわせ無担保1億6000万円まで可能−

この制度は、震災により直接または間接被害を受けた中小企業者などを対象にした新たな長期・低利の融資制度。無担保8000万円、最大2億8000万円。直接被害を受けた中小企業者だけでなく、全国的な震災被害対策に対応した。この保証は「一般保証」(無担保8000万円、最大2億8000万円)とは別枠。「セーフティネット保証・災害関係保証」(無担保8000万円、最大2億8000万円)とあわせて、無担保1億6000万円、最大5億6000万円まで利用が可能である。

【対象】震災被害により、経営に支障をきたしている次の中小企業者など=▽特定被災区域内で今回の地震・津波などにより直接または間接被害を受けた中小企業者▽原発事故に係る警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域内の中小企業者▽特定被災区域外で特定被災区域内の事業者との取引関係により被害を受けた中小企業者など

「特定被災区域」とは、東日本財特法第2条第3項に規定する区域(岩手県、宮城県、福島県の全域、青森県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県の一部の市町村)。

【保証割合】融資額の100%

【対象資金】事業再建資金その他の経営の安定に係る資金

【保証限度額】▽最大2億8000万円(普通:2億円、無担保:8000万円)▽無担保無保証人:1250万円、(1)保証割合は融資額の100%、(2)保険てん補率は90%

【保証料率】0.8%以下

【保証人】代表者保証のみ(第三者保証人については、原則不要)

東日本大震災復興特別貸付

貸付金額などは、被害の状況に合わせて以下のように設定している。

【(1) 今回の地震・津波などにより直接被害を受けた中小企業者/原発事故に係る警戒区域など内の中小企業者】◇貸付限度額=▽日本公庫(中小事業)3億円▽日本公庫(国民事業)6000万円◇貸付期間=▽最大20年(設備)▽15年(運転)◇据置期間=最大5年◇金利引下げ措置=▽基準金利からマイナス0.5%▽ただし貸出後3年間・1億円(国民事業は3000万円)までは、基準金利からマイナス1.4%

【(2) (1)の事業者などと一定以上の取引のある中小企業者】◇貸付限度額=▽日本公庫(中小事業)3億円▽日本公庫(国民事業)6000万円◇貸付期間=最大15年(設備、運転)◇据置期間=最大3年◇金利引下げ措置=▽基準金利から最大マイナス0.5%▽ただし貸出後3年間・3000万円までは、基準金利から最大マイナス1.4%

【(3) その他の理由により、業況が悪化している中小企業者(風評被害などによる影響を含む)。(1)(2)の該当者は、本措置も利用可能】◇貸付限度額=▽日本公庫(中小事業)7億2000万円▽日本公庫(国民事業)4800万円◇貸付期間=▽最大15年(設備)▽8年(運転)◇据置期間=最大3年◇金利引下げ措置=期間限定なく、基準金利から最大マイナス0.5%

「特別利子補給制度」(案)も実施予定

「東日本大震災復興特別貸付」を利用して借入をする中小企業者のうち、地震・津波などで事業所が全壊または流失した中小企業者や、警戒区域内の中小企業者などを対象に、融資を無利子化する「特別利子補給制度」を創設した。貸付後3年間、上限1億円(国民事業は3000万円)。実施にあたっては、中小機構、県の財団法人などを経由して利子補給をする。詳細は、今後、関係地方自治体などと調整予定。

事業用施設の復旧・整備支援も

■中小機構による仮設店舗、仮設工場の整備

(独)中小企業基盤整備機構(中小機構)が、東日本大震災の被災地域で、事業活動を再開する複数の中小企業者が入居できる仮設施設(店舗・事務所・工場等)を整備して、市町村に一括して貸与する。市町村は入居者および入居条件を決定して、中小企業者に貸与する。

■施設・設備の復旧・整備に対する補助・融資

中小企業などのグループ、事業協同組合など、商店街などの施設の復旧・整備、修繕に対し、補助による支援を実施する。

地方公共団体も各種の支援措置

被災地の各地方公共団体が、支援策を実施しているほか、そのほかの地方公共団体でも独自の支援策を実施している。

たとえば、東京都は「東京都中小企業制度融資『災害緊急』」を新設している。東京都によると、国の「東日本大震災復興緊急保証」に対応し、都制度融資の新たな融資メニューとして、「災害緊急」を実施するとしている。

利用する中小企業者は、都制度融資の最優遇金利の適用とともに、都独自の措置で信用保証料補助を受けることができる。「災害緊急」の実施期間は、2011(平成23)年5月23日(取扱開始)〜12(平成24)年3月31日(貸付実行分まで)。

■まずは「中小企業電話相談ナビダイヤル」へ電話を

各支援策は実施機関が多岐にわたっており、どこへ問い合わせたらよいか分からない場合が多い。そんなときはまず「中小企業電話相談ナビダイヤル」へ電話をするとよい。

【電話番号】0570−064−350(土日、祝日含めて実施)

【受付時間】9時〜17時30分(ただし、土日・祝日は、一部の地域では管轄以外の経済産業局につながる場合がある)

日本計量新報 2011年5月22日 (2870号)

春の叙勲・褒章6月中旬に

政府は、東日本大震災の影響で延期していた春の叙勲と褒章を6月中旬をめどに閣議決定すると発表した。

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