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日本計量新報 2015年1月1日 (3039号)第1部

   

新日本百景 自然歳時記
富士信仰を機縁ににする 吉田の火祭り

山梨県富士吉田市にはいると大きな金鳥居があり、その先に富士山がそびえる。富士山はずっと手前から見えているが、金鳥居とそのさきにある北口本宮冨士浅間神社のうえに伸び上がった富士山は圧巻だ。
 富士信仰のことは新田次郎の小説『富士に死す』(文春文庫)に詳しい。同氏は『強力伝』『富士山頂』『芙蓉の人』『怒る富士』など富士山に関係する小説を著(あらわ)している。
 「吉田の火祭り(鎮火祭)は富士登山の閉山の催しである。山道の山小屋が閉じれば登山はできない。7月1日の開山、そして8月26日の閉山ということになる。昔は旧暦でやっていたのであるが、いまは新暦で現し山小屋の閉山と吉田の火祭りは一致せず、吉田の火祭りの後1カ月ほど8合目の山小屋は開いている。
 富士吉田市の人口は5万934人(2014年12月1日現在)であり8月26日の鎮火祭には20万人ほどが集まる。沿道に並べられた富士山を象った松明(たいまつ)が燃え上がるその場は夏祭りの様相を呈する。
 富士講による富士登山によってこの地に町が形成された。崇拝登山に自坊を提供し、信仰の仲立ちを行った富士御師は道者に宿坊と食事を出した。ほかの仕事では山小屋、登山に必要な装備を整える支度所、出店、強力などがあった。
 諏訪はセイコー、吉田はシチズンなどの精密工業の街であり、吉田に隣接する忍野村にはロボットと工作機械のファナックの本社工場がある。(写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎)

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