計量新報記事計量計測データバンク会社概要出版図書案内
   
   

日本計量新報 2015年6月28日 (3062号)

   

ホッパースケール、特殊容器のJIS改正
6月のJIS制定・改正で

ホッパーは国際規格と整合化
特殊容器はニーズ、製造技術向上など反映

経済産業省は、6月22日、6月のJIS制定・改正を公示した。このなかに、ホッパースケールに関するJIS、容量表示付きガラス製びん(特殊容器)に関するJISの改正が含まれている。


ホッパースケールのJIS改正

■産業競争力強化が期待
 経済産業省は、各種原材料の受入れや配合等をおこなう際に自動計量するはかりとして利用されるホッパースケールの日本工業規格(JIS)に関し、最大許容誤差の考え方を見直すなど国際規格との整合化を進め、全面的に改正した。同省は「これにより、適正計量の確保およびわが国計量器メーカーの産業競争力強化が期待される」としている。
 多くがユーザーからのオーダーメイドによって製造されるホッパースケールのJISは、ユーザーニーズや最新技術を十分に反映できておらず、JISの利用が進んでいなかった。
 海外に積極的に輸出しているメーカーからは、輸出国の型式承認にあたってOIML基本証明書が世界的に活用されているため、OIML勧告と整合したJISを整備してほしいとの要望があった。
 経済産業省はこれらの状況を踏まえてJIS B 7603(ホッパースケール)を全面的に見直し、国際規格であるOIML R107:2007と整合したJISを策定したもの。
 ホッパースケールは自動はかりの一種で、各種原材料の受入れや配合等をする際に単独またはラインの一部に組み込まれ、高精度かつ高速に大質量を計量できるはかりとして、各種製造業、建設業、医薬・食品業、流通業、農業など、広く産業界で活用されている。
■主な改正点
@精度等級および最大許容誤差の見直し=ホッパースケール出荷時の最大許容誤差(動的状態および静的状態を規定)による精度等級区分を見直し、出荷時のみならず使用時の最大許容誤差の精度等級区分を設けた。
A試験方法および試験手順の追加=使用時の原材料等を用いた計量精度の実量試験および疑似機器を用いて温度・湿度・電源などの環境影響の変動による性能の確認をおこなう性能試験について、規定を詳細化するとともに具体的な試験手順を規定した。
Bソフトウエアに対する要求事項の追加=計量性能に影響を与える機能へのアクセスの権限や記録の保存など、ホッパースケールに利用されるソフトウエアに対する要求事項を追加した。
■今後の自動はかりのJIS化予定
 今後、制定を予定しているJISは次のとおり。
▽充てん用自動はかり=2015(平成27)年度原案作成終了予定▽自動重量選別機=15(平成27)年度原案作成終了予定▽コンベアスケール=16(平成28)年度原案作成終了予定

特殊容器(丸正びん)のJIS改正

■適正計量の確保と資源循環型社会への貢献
 経済産業省は、JIS S 2350(容量表示付きガラス製びん〔壜〕)を改正し、6月22日、公示した。
 ビールびんの軽量化へのニーズや、ガラスびんの製造技術の向上などを踏まえ、所要の改正をしたもの。
 計量行政室は、2014年度に「特殊容器に係る実態調査」を実施して、計量法の特殊容器制度の必要性や、ニーズの把握に務めていたが、この調査結果がJISの改正に反映されている。
 容量表示付きガラス製びん(壜)(丸正びん)は計量法上の特殊容器であり、本JISは、計量法の特殊容器制度の技術基準に引用され、適正な計量確保に重要な役割を果たしている。特殊容器は、内容量を計量することなく、液面の高さを計量することによって取引することが認められているガラス製びん。
■軽量ビールびんを追加
 今回の改正で、新たなビールびんの型式(軽量ビールびん)をJISに追加した。
■製造技術の向上など反映
 ガラスびん製造技術の向上等を踏まえ、びんの容量公差および下限入味線高さを変更した。
 事業者からの要望や使用の実態を踏まえた変更も実施。
■国税庁通達も改正
 JISの改正と同日付けで国税庁は通達を改正した。

※日本計量新報の購読、見本誌の請求はこちら


記事目次日本計量新報全紙面
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.