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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

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26 指定定期検査機関のモデル仙台方式が実現 2758号

 1997(平成9)年、計量業界では国の委任事務が自治事務になり検定所の必置義務が無くなるとか、指定定期検査機関の制度が出来るとか大きな変わり目を迎えていた。検定所長・主管課の課長とも話をしてみたが県は指定定期検査機関には消極的だった。

 ところが仙台市の検査所長は積極的で、自分の任期中に実現したいと決心された。市の上層部も熱心で1999(平成11)年には協会に直接申し入れがあり、商工局長が数人の部下を連れてわざわざ私の会社まで挨拶に来てくれた程であった。

 当時の県の検定所長は市に先を越されるのが面白くなくて猛烈に反対した。私と市の直接の責任者の主管クラスの人が一緒に所長に挨拶に行った時、自分の部下を叱る時のような調子で市の主管に激しい言葉を浴びせた。それ以来市の担当者は検定所を相手にせず、間に立って毎日顔を合わせる協会の専務理事は所長の攻撃の矢面に立たされ大変な苦労を強いられた。

 仙台市は検査所もどうぞお使い下さい、市がやらなければならないことをやって頂くのだから費用は負担しますと言う姿勢で予算も略満額付けてくれ、2001(平成13)年4月から無事スタートさせることが出来た。

 ここで特筆すべきことは市との折衝の過程で、「折角指定検査機関として指定するのだからこの制度が市民のプラスになるようにしたい。その一つとして3千数百台ある全市のハカリを従来の集合検査から所在場所検査に出来ないか」という話が持ち上がった。協会事務局としては最初は難色を示していたが、台数と所要日数を検討してみて可能と判断出来たこと、更に私が懇意にしていた県警の交通部長に、定期検査は公的な仕事であることを説明して検査車が駐車禁止場所でも駐車出来る許可証が貰える見通しが付いたので全台数所在場所検査というサービスが実現した。

 同じ検査料でお店へ来てくれる検査に切り替えたことでユーザーには大変喜ばれた。しかも所在場所検査の副産物として今まで検査を受けていなかったハカリも検査を受けるようになり検査台数が増えるという結果になった。

 仙台市はただ単に経費節減のために指定するだけでなく市民サービスの面も考えての指定を実現したことに敬服するとともに、この実現に協会が協力できたことに誇りを感じている。これは全国でも珍しいスタイルで仙台方式として他の特定市に対して鼻を高くしている。

(つづく)

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