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日本計量新報 2012年1月22日 (2901号)

真に役立つのは、自らの足で獲得した情報である

 大型店舗で自転車を販売する「あさひ」が、すごい勢いで全国に出店している。2012年1月には、273店舗を数えるようになった。全国展開するチェーン店で売上を伸ばしているのは、自転車販売店に限ったことではない。今や日本中どこにいっても、衣料品、メガネ、薬、飲食店、コンビニエンスストアなど何かしらのチェーン店をみかける。自分が住む町にあるお店は、どこにでもある。日本の地方都市の特色は薄れ、街の商店と商店街は色あせてしまっている。

 なぜこうなるのかは懸命なる計量業界の読者の知るところであろうが、身近な所をみると街の商店街の店舗も10年も経過すると、3分1程は変わっていることに気づく。地域間で多少の差はあるものの日本全体でみると人口が少しずつ減少している。経済規模は大きくならず、経済の熟成の動きが明瞭である。全業界が、市場の規模拡大を求めることは不可能である。需要の変化に合った供給をする者が、生き残ることができるのである。
 熟成課程にある経済にあって、産業や企業の動きはそれなりに急である。街の食堂の代わりを吉野屋など牛丼チェーンが、雑貨屋の代わりをコンビニエンスストアが、衣料品店の代わりをしまむらなどの量販衣料店が担うようになった。自転車のあさひが大規模店舗の全国展開をなし得たのは、とうの昔に数を減らした自転車屋ではなく、自転車屋にとって変わったホームセンターとの商戦で打ち勝てたからであろう。

計量器産業に関係した製品では、温度計、ハカリ、測定工具などはホームセンターが金物屋に代わるようになった。専門性の高い計量器などの販売形態は別で、ユーザーへの働きかけと商談成立には計量器ごとに特別な商慣習ができている。メーカーや販売店の人々と深く接すると、物事を調べて報ずるはずのマスコミは、実際には遅れた情報、知識、経験しかもっていないと判明する。

 多くの人はマスコミを通じて情報、知識を得ると錯覚しているようであるが、マスコミや図書の情報は知識などとして大事ではあっても、過去の情報でしかない。ある識者は、新聞情報などは既に知っていることが今頃出てきているという形で捉えるという。自分が、専門知識をもっている分野の新聞やマスコミの諸情報は、大概同様であることはよく経験することである。
 本当に役に立つのは、自分の足を使って獲得した情報である。よく練られた知恵と経験を総動員して引き入れる情報に勝るものはない。変化する需要を捉えるため、常に努力することが必要である。

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