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温度・湿度をはかる(1)〜基礎編

特集記事 製品紹介

正しい温度・湿度管理を知るために

 日本全国にまん延しているインフルエンザ・風邪の対策の一環として温度・湿度管理が不可欠であることは、広く浸透している。

厚生労働省が発行した「インフルエンザの基礎知識」では、インフルエンザ予防に、室内の湿度を50〜60%に保つことが推奨されている。

 こうした動きの中で、一般家庭をはじめ、商業施設、公共施設、病院、企業、官公庁などで温度・湿度管理が実施されており、温湿度計の需要も僅かながら伸びを見せている。
 それでは、温度・湿度をはかるためにはどのような方法があるか。そもそも温度・湿度とは何か。
 今回は、温度・湿度に関する基礎的な情報を紹介する。

温度をはかる

 温度とは温かさ・つめたさの程度を表わす言葉である。日本や多くの国では、氷点を0度、沸点を100度とする℃(摂氏)を用いているが、アメリカ、カナダなどではf(華氏)が用いられている。また、物理分野ではK(絶対温度)が温度の単位として使われる。


温度の測定方法
 温度の測定方法は、大まかに分けて接触方式と非接触方式がある。

 接触方式では、温度計が測定物体に直接触れ、感温部が測定物体と同じ温度になる必要がある(=熱平衡)。計測精度は非接触方式に比べて高いが、熱平衡に時間が必要なため、測定の条件、対象物が限定される。体温計、寒暖計、熱電対など。

 非接触方式による方法の多くは、感温部が物体の熱放射を十分に受ける必要がある。高温の測定に適しており、動いている物体の温度測定もできるが、一般的に精度は接触方式に比べて低い。また、物体の表面温度は測れるが、内部の温度測定には不向き。光高温計、放射温度計、色温度計、赤外線温度計などがある。

気象用温度計の種類
 気象用に使用される温度計には、ガラス製温度計、バイメタル式温度計(金属製温度計)、電子式温度計がある。

 ガラス製温度計は、液体が入っている球部と、見かけの膨張によって液体が上昇する毛細管からなる。構造が簡単で安価。他の温度計の計量法による検定検査の際にも基準器として用いられる。特殊なガラス製温度計としては、二重管温度計、最高最低温度計など。

 バイメタル式温度計は、2種の金属を貼り合わせ、膨張率の差を利用して温度を測るもの。主にアンバーと黄銅の組み合わせが用いられる。

 電子式温度計には白金の温度による電気抵抗の変化を検出して測定するものと、サーミスタを用いた簡易なものがある。

湿度をはかる

 湿度とは、気体中に存在する水蒸気の量を、質量、圧力、比率などで表すこと。
 気体中の単位体積中に含まれる水蒸気の量を質量で表す「絶対湿度」(g/m3)、水蒸気の分圧で表す「水蒸気圧力」(Pa)、気体の絶対湿度と、それと同じ温度において水蒸気で飽和している気体の絶対湿度との比、または存在する水蒸気の圧力と、それと同じ温度の飽和水蒸気圧との比で表す「相対湿度」(%)、気体中にある水蒸気が水の飽和蒸気である温度で表す「露点」(℃)、気体中にある水蒸気と水蒸気以外の気体との質量比で表す「混合比」(kg/kg)などがある。

 天気予報でおなじみの不快指数は、気温と湿度の関係から蒸し暑さの程度を表したもので、「0・72×(気温+湿球温度)+40・6」で求められる。

湿度の測定方法
 湿度の測定方法には次のようなものがある。
(1)気体中の水蒸気の量を直接はかる=水蒸気のみを吸着する物質(五酸化燐など)に水蒸気を吸着させる、冷却して液体の水にする、あるいは水蒸気を吸着させたときに低下する圧力を測るなどの方法で、水蒸気の量を求める。
(2)蒸発熱を利用する=水の蒸発により低下した温度と室温から水蒸気圧力を求める。乾湿計など。
(3)吸湿性物質の伸縮を利用する(伸縮式湿度計)=気体中の水蒸気の量に応じて水蒸気を吸脱着し、伸縮する物質(人間の毛髪、ナイロン糸、合成樹脂など)の性質を用いて湿度を測る。
(4)露点を測定するもの(露点計)=冷却した鏡面に露を結ばせ、そのときの温度を測定して露点を知る。また、気体の水蒸気と平衡するときの塩化リチウム飽和水溶液の温度から露点温度を測る。
(5)電気的に測定を行うもの=湿度の変化により変形する材料、または水蒸気を吸脱する材料を用い、変形量または吸着水分量を、電気抵抗、電気容量などで検出し、これらの電気量を単独または組み合わせて測る。
(6)その他=赤外線の特定波長が水蒸気を選択的に吸収することを利用したもの、湿度による振動数の変化を利用したもの、熱伝導率によるものなど。

湿度計の種類
 現在家庭用として使われている湿度計のほとんどは、伸縮式湿度計の一種である、「バイメタル式湿度計」である。湿度の変化に対応して伸縮する物質と、影響を受けない物質とを貼り合わせ、コイル状に巻いて一端を固定すれば、他端は湿度の変化に従って位置を変える。この動きを利用して指針を動かし、湿度を指示させている。伸縮材料には、吸湿性の合成樹脂などの高分子材料を用いる。

 他にも、乾湿計(2本のガラス製温度計の一方の球部をガーゼで包み、ガーゼの一端を水に浸したもの)、毛髪湿度計、露点計(凝結式露点計、塩化リチウム露点計)、電気式の湿度計等がある。

 なお、公共的な気象観測では、乾湿計、毛髪湿度計、露点式湿度計または電気式湿度計のうち、検定に合格したものを使用することが定められている。

4年ぶり インフルエンザ大流行のおそれ
NHKためしてガッテンで緊急生放送

今年は例年より早いペースでインフルエンザの流行が始まり、4年ぶりの大流行になるのではないかと言われている。

 これを踏まえて、NHK総合テレビの情報番組「ためしてガッテン」は、2月4日、「緊急生放送!インフルエンザ最新対策」と題して最新のインフルエンザ対策情報を生放送で放映した。

 番組では、インフルエンザでも高熱が出ないケースもあることから、発症の見極めとして高熱を基準とする点の落とし穴を指摘。また、今年はタミフルが効かない耐性ウイルスが出現したと報道されているが、タミフルが効きにくいのは流行の6割を占めるAソ連型であり、A香港型とB型については依然として効果があるとした。その際、3種類のウイルスどれにも効果がある特効薬リレンザも紹介した。

 さらに感染の防止法について、ウイルスは空気中でも長時間生きていることを実験を踏まえて紹介し、自宅で感染拡大を防ぐ方法を挙げた。

 中でも意外な予防法として取り上げられたのは、口の中の細菌を減らす口腔ケア。都内の介護保険施設で丁寧な歯磨きや舌研きの指導を行ったところ、発症率が10分の1に激減した。口の中の細菌が出す酵素が粘膜を覆うタンパク質の膜を破壊することで、ウイルスに感染しやすくなるため、普段から細菌を除去しておくことがインフルエンザ予防の対策として有効であると説明した。

 

 

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