健康計量器
計量計測データバンク web情報総合サイト 機種別特集トップ

標準温度計 ー温度計をはかるー

特集記事 製品紹介

社内の温度計は標準温度計で校正

計量標準

計量は、産業や生活に密着しており、人々の暮らしの安全・安心に直結している。そのため、計量には統一された「ものさし」が必要であり、計量法によって国家計量標準が定められている。

さらに現代の国際社会では、国家間をさまざまな製品が行き交うため、国と国との間でも「ものさし」が一致していることが重要となった。

そこで、世界共通の単位として「国際単位系(SI)」が定められ、長さ・質量・時間・電流・熱力学温度・物質量及び光度の7つの基本的な物理量について、メートル・キログラム・秒・アンペア・ケルビン・モル及びカンデラが基本単位として選定された。

各国の国家計量標準は、それぞれの分野の量や範囲で国際比較という実測による比較を行うことにより、国家間の値を一致させている。

温度の国家標準

温度は、ケルビン(K)が基本単位となっている。このケルビンは、「水の三重点の熱力学温度の273・16分の1である」と定義される。普段の生活に使われる温度の単位「℃」との関係は、0・01℃が273・16ケルビンとなる。ちなみに水の三重点とは、氷・水・水蒸気が共存する状態であり、すなわち真空の中に氷水を置いて放置したような状態をいう。

定義された熱力学温度を実際に測定することは容易ではない。そこで、熱力学温度を測定した結果に一致するように実用的な国際温度目盛が定められている。

現在使われている温度目盛は1990年に定められ、ITS−90と呼ばれている。

温度を正しくはかるには温度計の校正が必要

製造業等の現場では、製品の品質管理のため、正確な計量が非常に重要になる。

そこで、製品を測る作業用計測器を正確に管理するため、常用標準器で作業用計測器を常にチェックしている。さらに、常用標準器を正しい状態で管理するために、自社の計量標準センターなどに置かれている照合用標準器で定期的に校正をする必要がある。

温度計の場合、この照合用標準器を標準温度計と呼ぶ。標準温度計には、目盛が直接ガラス管に刻まれた棒状式と、目盛がガラス管に封入されている二重管式がある。

トレーサブルな標準温度計を

企業等で使用している標準温度計が信頼できるものであることを証明するためには、計量のトレーサビリティが証明されなくてはならない。
 「計量のトレーサビリティ」とは、ただ単純に国際又は国家標準と比較し、つながっていることではない。特定された(ISO/IEC 17025 で承認された)手法によって実現された、不確かさがすべて表記された切れ目のない校正の連鎖である。

ISO9001規格には、計測器(監視機器及び測定機器)の管理に関する要求事項が含まれており、計測器には一定の間隔で国際又は国家計量標準にトレーサブルな計量標準と比較して校正又は検証、若しくはその両方をおこなうことが求められている。

そのためには、測定のトレーサビリティを定義した「ISO/IEC GUIDE99」(VIM第3版)で示される、不確かさがすべて標記されたことが明らかな計測器管理をおこなう必要がある。その最も有効な手段が、ISO/IEC17025の要求を満たすJCSS校正事業者などが実施する校正を利用することなのである。

社内で使用する計量計測機器のトレーサビリティを確保するためには、まず社内標準をISO/IEC17025に基づき認定された校正機関へ校正を依頼し、有効性が認められている機関が発行するJCSSなどのシンボル付証明書の標章が付された証明書を取得する。その社内標準器との比較によって実用計測器を内部校正すれば、トレーサビリティは確保できる。

所有するすべての計測器を上記の外部校正機関へ校正依頼しても良いが、この方法は、多額の費用がかかるため、温度計など、分野によっては実現が難しい場合もある。

現在はこの他に、以下のような書面でも審査で認定されている。▽基準温度計を用いて検査した検査証明書、▽定期検査、計量士による検査等の結果を記した書面、▽検定済証、検定証印や検査証印などが表記されたもの、▽シンボル等はないが、トレーサビリティ3点セット(検査成績書、トレーサビリティ証明書、トレーサビリティ体系図)が確認された証明書。

VIMに基づかないこうした手段は、今後段階的に見直されていく可能性もあり、その是非を巡って議論されているところである。

今後、標準温度計を購入する際は、「計量トレーサビリティ」を正しく理解した上で、確かな品質はもちろんのこと、確かなトレーサビリティが保証されたものを見極めていく必要がある。

ガラス製温度計使用時に注意すること

 

 

Since 15 Mar 2006/Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.