|野鳥歳時記|

餌が重なるカワガラス、カワセミと山女魚


雨が降ると狂乱するもの

 雨が降るとよろこぶものどももあるのです。産卵期のカエルは大よろこびで、ヒキガエルなどは危険をかえりみずに道路を横断します。雨後の竹の子といいますが、私はこの方のことはわかりません。
 山女魚や岩魚はいいくらいの雨が降ると活気づきます。増水した河川には餌になるものが増えるからでしょう。雨が降るとミミズも活気づきますから、それが川に流れます。川底のさまざまな昆虫も速い流れで目立つようになります。水量が増えて少しのにごりがありますと山女魚は身を隠しやすくもなります。山女魚にはなにより流下する昆虫がたまらないのです。水生昆虫のほか樹木から落ちてくる昆虫たちが加わりますから、雨が降ると山女魚は狂乱状態になることが多いのです。

雨後の山女魚
 私の家の近くの相模川に流れ込む川幅4メートルほどの阿津川があって、ここに山女魚がいるものですから、ここを散歩で通るときには必ずのぞき込みます。適量の雨が降った後には山女魚の数が増えます。山女魚がいる流れは大体決まっています。水生昆虫が流下する流れの筋は決まっており、山女魚はこの筋でまちかまえて補食するのです。

カワガラスと山女魚
 山女魚が食糧としている昆虫類は野鳥とも重複します。カワガラスは水に潜って水生昆虫を捕らえて食べます。山女魚を釣る好餌の黒川虫という砂などをかぶってカモフラージュして岩についているミミズ状の水生昆虫をカワガラスはよくくわえています。野鳥のカワガラスと山女魚など渓魚が餌を同じにしていることは少しの驚きです。カワセミは小魚をダイビングして捕らえますが、この小魚も山女魚や岩魚の好餌なのです。

自然の輪廻
 自然界の輪廻というものに思いを馳せたことはありませんでしたが、このどこかが崩れると思わぬ障害をもたらすことになるかも知れません。経済変動の60年周期はなぜそうなるかという理屈は見つけられないでいます。エルニーニョという気象現象は、海流の流れがもたらすもので、理屈がわかっています。理屈がわからない現象の謎を解くのが科学であります。
 農薬を使うと人間が食べる食物を効率よくつくることができます。牛、豚、羊、鶏などを効率よくつくるために抗生物質を餌に混ぜて与えることをします。遺伝子組み替えをした穀類は大量に人の食糧として供給されています。農薬は昆虫を寄せ付けませんから、昆虫がいないと野鳥は減ります。鳥がいなくなると畑以外の林野で害虫が発生します。いろいろと、こんがらがってどうなっているのか分からなくなってしまいます。

鮎が釣れない
 そんなことは別にして私の春と夏と秋は、鳥がいて、山女魚と鮎が釣れてくれればいいのです。いつかの夏は関東で鮎があまり釣れませんでした。富山や新潟など日本海側の河川に関東地方の渓流釣りと鮎釣りの人々が足を運びました。琵琶湖産の稚鮎には冷水病が発生するので敬遠されています。かつて琵琶湖産の稚鮎は高値で奪い合いがされていたのです。

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