|野鳥歳時記|
ヒバリ |
春も深まって山の緑が新緑から深緑色に移り変わるころに天空で、ピィーチク・パァーチクにぎやかに歌うのがヒバリです。山は落葉樹の新緑と杉や松などの常緑樹とが分離して見えるので立体感がうんと増します。半袖になりたいほどに陽気のいい晴れた日にはヒバリがよく似合います。ヒバリの声は初夏を楽しんでいるようです。
家の周りの麦畑や桑畑の上空でヒバリがよく歌います。上空に舞い上がったヒバリは羽根を半開きにして小刻みに振るわせて静止して歌います。上空で歌うのは雄で、雌は畑に潜んでいるのです。餌は昆虫などです。ヒバリほど春を文句無しに象徴する野鳥はいないでしょうね。
ヒバリを探しに野を歩いているときトンボを3種ほど見かけました。一つは川トンボのようなやつ、もう一つはギンヤンマを小型にしたようなやつ、さらにもっと小型のやつです。4月末から5月始めにかけてのことです。
野を歩きながらついつい川を覗いてしまいます。家の近くの道志川まで足をのばしますとそこは立派な渓流です。すぐ近くを相模川支流の阿津川が流れていますが、5月になりましたら魚影が見えました。群れて泳いでいるのはアブラハヤでしたが、その横にヤマメがいました。20ほどもある肥えたヤマメです。散歩のとき3度ほどその姿を見ましたが、連休後半に3日ほど家を空けていましたらヤマメは姿を消しました。阿津川は生活排水が流れ込むのでさほどきれいな川ではありませんが、それでもヤマメが棲んでいるのです。釣ってきたヤマメを放流しておこうかなと密かに考えていた川ですから、私はヤマメを見て小躍りする思いでした。
3日間の日程で、東北は岩手県に出かけて閉伊川でヤマメとイワナの釣りを楽しみました。閉伊川の上流部は桜の花が満開でした。私の住む相模湖町とひと月の季節のずれがあります。閉伊川は渓流釣りの天国といっていいですね。豊かな清流、きれいな姿の渓魚、それと釣り人の少なさですから、こたえられません。
野鳥といえば、閉伊川沿いの道にカケスが落ちていました。剥製にしたいほどの見事な姿態のカケスでしたので、東京(相模湖町)に持ち帰りました。ゆっくりスケッチをしたあとで埋葬しました。カケスはキジバトほどもある大きな体をしており、ジャー、ジャーと鳴きながら梢を渡っていきます。肩のところのルリ色が見事です。
東京に戻りますと岩手の寒さがよく分かります。5月に入って閉伊川の渓魚は活発に動き出しましたが、関東の川は6月1日に鮎釣りが解禁になります。静岡の興津川では5月20日にはもう鮎釣りが始まります。心はもう鮎釣りに飛んでしまいます。野鳥から鮎へと心は移るのです。
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