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カワラヒワ

春の日を 黄金に透かす カワラヒワ  虚心

カワラヒワ

冬から春への季節の移行は日差しの変化として感じとることができます。眩しさを増した春の日差しによく似合うのがカワラヒワです。上空を飛翔するカワラヒワの風切り羽根は黄色の横一文字が鮮やかです。カワラヒワは高い梢で翼を震わせてコロコロと鳴きときどきジュイーンの音をいれます。このジュイーンという鳴き声はマヒワに良く似ています。カワラヒワはまた翼の肩部分と尾羽の元の部分の黄斑が目立ちますし、それとあわせて黄緑の体色であることから彩 りの冴えた野鳥です。コロコロという独特の鳴き声と彩り豊かな姿であるため野原でよく目立ちます。カワラヒワは雌雄同色ですが、さえずりなど鳴き声で見分けます。
 カワラヒワは留鳥であり、河原の名を冠されていますが、野原や低山で生活しており、人をあまり恐れない陽気な野鳥です。ですから四季を通 じて里山で間近に見ることができます。
 3月18日朝、散歩をしておりましたら一羽のカワラヒワが道端の草むらで死んでおりました。春が随分とすすんできて、これから賑やかに繁殖の時期を迎えるというのに可哀相です。元気に飛びかっている野鳥はどのように死を迎えるのでしょうか。小鳥は一般 に食い貯めが効きませんので一日中餌を探して飛び回ります。少し体力が低下しますと生きていけません。草むらのカワラヒワは綺麗な羽根をしておりました。鷹などに襲われた痕跡はありません。私はそのカワラヒワをスケッチして葬りました。
 長野県小布施町の豪商高井鴻山の記念館を訪ねたときに葛飾北斎の野鳥のスケッチを見ました。スケッチには死んだ鳥もありました。遠くの動いている鳥はすみずみまで観察しにくいものです。絵師は仕事をするのにモノをよく観察するということとして私は理解しました。
 梅の花が咲き誇る野辺の高い梢で翼を震わせてコロコロ、ジュイーンと鳴くカワラヒワは、春を梅から桜へとつなぐ使者だと思いました。

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