モズ |
モズの声 初霜の野に こだまする 虚心
9月25日の朝、家の前の電線でモズがキイ、キリキリ、ギィ、ジィと啼きました。これは秋の風物詩の代表ともなるモズです。桜の花の終わるころに、小さな植木の新緑の枝先からアカモズが地面 に何度も飛び降りて餌をついばむ姿をカメラで追って楽しんでいたのが、昨日のことのようです。
アカモズは夏鳥ですから、秋になると渡りをします。対してモズは留鳥ですが、暑い季節には山里ではあまり見かけることがありません。留鳥のモズの体色は、背部から尾にかけて灰色が目立ちますが、これは雄で雌はここが茶褐色です。腹部は雄雌ともに薄茶色です。アカモズの場合にはこの腹部が白く、頭部から背にかけて赤みが強いので見分けがつきます。とはいってもモズのことをつねづね考えているような野鳥好きの人でないと、瞬時には見分けはつかないかも知れません。アカモズは雌雄同色ですので、春から夏にかけてつがいのアカモズを見ていてもどちらが雄でどちらが雌か、普通 の人には分からないでしょう。
モズの初啼きをきくと、秋が来たなと思わずにはいられないのですが、これは私にはあまり気持ちがいいことではありません。鮎釣りや渓流の遊びをもう少ししていたいのですから、モズに秋を告げられると悲しくなってしまうのです。
モズが啼いたその日、栗は最盛期で、栗畑の実を拾うお婆さんは忙しい日がつづきます。この季節、柿の実は青々としておりますし、木々の色付きも未だです。何かの弾みで夏日がぶり返しますから、私はうれしくなることもあるのです。
しかし、夏鳥の声と姿がめっきりと少なくなりました。9月の秋分の日の休日に野鳥を探していますと、スズメがやたらに目立つのでがっかりします。
○モズの声 秋晴れの野を 凍らせる(読み人知らず)
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