シジュウカラ |
住まいの付近の農家の庭や土手が綺麗に刈り込まれ、そこに彼岸花の赤い花弁が見事です。キンモクセイの甘い香りが漂い秋を知らせます。朝、犬を連れての散では、このところめぼしい野鳥に出会いません。季節は秋へ移行中であり、真夏日の中に涼気が混じります。
声をひそめてしまった野鳥たちですが、こんななかで目に付くシジュウカラやヒガラやカワラヒワは、山里は自分達の棲みかだと主張しているようです。
私は秋の気配を感じてから、殊勝にも2週つづけて、都合3日間も鳥見に出かけました。フィールドスコープと双眼鏡を抱えての行動ですから気合が入っています。
一つは山梨県大和村から上る大菩薩峠の登山コースでした。午前11時、小雨の中の登山開始でヒガラ、シジュウカラ、コガラの3種類の野鳥が姿を見せただけです。ふもとに降りてきてから、穂を出しかけたススキの原でホオジロが挨拶してくれました。
二つは神奈川県と東京の境界にある陣馬山です。登山開始が午後4時でしたが、頂上から東京が見えました。ここではシジュウカラとヒガラが丁寧に挨拶してくれました。
三つは山梨県清里に出かけました。清泉寮付近を散策したのは午後1時ごろでしたがシジュウカラとハシブトガラスが印象に残りました。八ヶ岳山麓でゆっくり探鳥する計画でしたが、急用ができてほとんど用を足さずに帰途に着きました。
探鳥は小鳥たちが朝一斉に鳴き出すときがよいのです。避暑地の富士五湖や軽井沢などで朝を迎えましたら、早朝の散歩をお勧めします。田園や山麓で野鳥を友にすることはこの上ない仕合せなことなのです。人間は仕合せは感じにくいものであり、不幸だけは強く意識されるもののようです。犬が人のよき友であることは誰もが認めることですが、野鳥がそうでないということを証明するものはありません。
駿河台の仕事場の周囲の街路樹や保険会社の庭には、目白とシジュウカラがよく姿を見せます。皇居や湯島の聖堂の杜を棲みかにしていて、遊びに出てくるのでしょう。
シジュウカラは留鳥ですからどの季節でも黒い頭にネクタイ、そして薄緑と青の混じった日本画の題材になる美しい姿態を見せてくれます。シジュウカラはスズメより大きく感じる人もいるようですが、私には小さく見えます。体長としては14・5cmでスズメと同じ大きさです。私は鳥の大きさを見るとき体重を考えております。カラの仲間にはヤマガラ、エナガがいて大きくは5種ですが、私はシジュウカラ、コガラ、ヒガラの3種を「3羽カラ(ス)」と決めているのです。「3羽カラ(ス)」は大きい順にシジュウカラ、コガラ、ヒガラということになります。
野鳥観察は、カラの仲間の3種の姿と鳴き声が聞き分けられると俄然楽しくなるものです。シジュウカラの鳴き声はツーピィー・ツーピィー・ツツピィーそしてグジュ・グジュと私には聞こえます。
since 7/7/2002