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2011年・関係団体の行動の基本

科学機器産業の生きる道グローバル化に対応できるマネジメントを

日本科学機器団体連合会会長 矢澤英人

矢澤英人

  あけましておめでとうございます。本年もよろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。 
科学機器業界が目指すべきところ
 昨年、6月18日の日本科学機器団体連合会65回通常総会において、会長に選任されて半年がたちました。この間、日々任務の重要性について心を引き締め、渡されたバトンを手に初期の目的達成に向けて一歩ずつ踏み出しているところです。
 北海道から九州までの10地区の科学機器協会との連携を更に強固なものにして、科学機器業界の発展に寄与してまいりたいと思いますので、各地区協会会員の皆様の積極的なご支援をお願いいたします。
 全国的組織である日本科学機器団体連合会は、事業活動の強化を通じて各地区の会員をはじめ、主務官庁、公的研究機関、関係学会、関連団体などとの連携強化を図っていくことを第一に考えております。
 また、ネットワークを充実させて会員間の情報交換や主務官庁をはじめとする公的研究機関、関係学会および関連業界団体とのパイプをより太くする必要があります。既に日科連のホームページを全面的にリフレッシュしたほか、本会のIT関連設備を刷新して迅速かつ的確な情報を受発信できるように尽力いたします。
関係学会・業界団体とのコラボレーションについて
 連合会として取り組むべき当面の大きな事業は、昨年9月に初めて幕張メッセにおいて、(社)日本分析機器工業会と共同主催した「分析展2010」「科学機器展2010」の合同展示会をより発展させていくことにより、中国をはじめ東アジアの科学機器マーケットの拡大につなげ、縮小傾向にある日本の科学機器業界の活性化に貢献することです。
 技術革新の急速な進展に伴う研究現場および産業構造の変化によって、研究関連産業のマーケティング、その最強のツールともいえる展示会のあり方が大きくクローズアップされておりますが、昨年、日本分析機器工業会との共通の問題意識の下に協議を重ね、合同展示会としてのコラボレーションが結実しました。初めて試みた合同展示会の結果は、展示規模(450社・団体/1361小間)と登録入場者(2万4549名)の数字が示していますように、概ね期待通り成果を収めることができました。
また、展示会関連事業として併設イベントは、学会および研究機関によるコンファレンス・新技術説明会も国際展にふさわしい規模で開催することができましたことは、両友好団体の合同展にかける熱意と期待の表れだと感じております。

 科学機器は典型的な多機種・少量生産の産業ですから、それぞれ分野別の機種を一堂に集め、さらに、幅広く関連業種を統合して、まさしく「アジアのハブ」にふさわしい展示会を実現するためには、今回の第一歩がその礎となります。その先を目指すために、現場の声を的確にくみ上げながら着実に実践していくことです。

 このために大事なことは、研究・開発関連産業の幅広い連携を構築することだと思います。かねてよりアジアのハブ展示会を目指した議論が活発に行われています。そのためには関連業種団体との幅広い連携と関係学会および公的研究機関との連動が何よりも大事な要素となります。昨年開催した合同展は、アジアのハブを目指す重要な土台となるでしょう。今はやっと第一歩を踏み終えたばかりで課題も多く抱えております。次の一歩をどう踏み込んでいくかについては、これから関連する他団体およびユーザーをも含めた幅広いご意見、英知を集約しながら対処していかなければなりません。

国内市場からグローバルマーケットへ
 今、日本の経済・社会を覆う閉塞感から抜け出すために、政府が発表した7分野の新成長戦略に「環境・エネルギー」、「科学・技術」が組み込まれております。科学技術分野では、官民の研究司令塔「科学・技術・イノベーション戦略本部(仮称)」を新設。予算の選択と集中に取り組むほか、国際競争力を高めるために法人実効税率を主要国並みの25%程度に引き下げるとしており、需要創出に向けた課題解決型の成長戦略に大いに期待するところです。

 一方、日本政府が新成長戦略の柱として地球温暖化対策など環境に関する「グリーンイノベーション」と医療介護に関する「ライフイノベーション」を推進する中、日本だけでなく東アジア近隣諸国もIT技術からET(環境技術)へとシフトしつつあるようです。太陽電池やLED(発光ダイオード)照明などのマーケットが急速に広がる気配を見せています。

 このように、国内外の製造業に生産回復の兆しが出てきたことは、科学機器業界にとっても明るい材料です。何故なら、新しい技術開発には熾烈な競争が伴うために、メーカーは研究開発に特に力を入れる必要が生じるからです。

 日本の科学機器産業は、輸入から始まり製品の国産化という過程を経て今日の発展を見るに至りました。この発展の原動力となったのは国の科学技術政策であり、その政策の実現に投じられた国の科学研究費です。この研究費は経済の不況時においても増額され続けてきました。

 今日、医療の分野でも中小企業のものづくり技を活かし、医療機器開発を支援する政策が進められています。病院などの声を集め、使い勝手の良い機器開発に中小の精密加工技術を活用し、開発した機器を素早く医療現場に投入できるよう経済産業省は厚生労働省などと共に連携し、規制緩和や審査の迅速化を進めるといった方策もとられてきています。

 科学機器の分野においても同じことが言えると思います。今、多くの留学生、研究者が日本の大学および研究機関で学習し研究に従事しています。日本の機器の優秀性を示すことによって即彼らの母国のマーケットを開くことになります。こういったことは、ささやかなようですがマーケティングに大きなインパクトを持つことになるのです。

 現在、科学機器業界のかなりの企業が海外、特にアジア地域に工場進出、販売店開設あるいは、代理店・特約店網を構築されています。さらにはジェトロなどのマーケティング支援の公的機関があります。これら同業者および関係各機関からの情報を集約し、これを指針化することが業界団体の重要な業務となります。
 会員企業におかれましても、絶えずこういったグローバルな情報を分析しながら、それぞれオンリーワンの機器開発とマーケット開拓に力を注ぐことが、これからの明るい未来を開いて行く上で欠かせないのではないかと思います。
是非、本年は一念発起して相互協力でこの苦境を乗り越えようではありませんか。

 
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