計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事計量関連機関 年頭所感(2015年一覧)>【(独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門長】身近で使いやすい計量標準の整備をめざして

2015年 計量関係機関 年頭所感〈産総研〉

身近で使いやすい計量標準の整備をめざして

(独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門長 千葉光一

千葉光一 2015年の新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。平素より(独)産業技術総合研究所(産総研)計測標準研究部門の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
 さて、昨年は産総研の第3期の最終年であり、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、産業の国際展開を支える標準の開発を主要な研究テーマとして、新エネルギー源利用に資する計量整備や医療・食品・生活環境の安全に資する計量標準の整備などを進めてまいりました。なかでも化学標準の分野では、水道法の改訂に対応した標準を整備するという社会的な要求に対応して、整備計画の組み替えもおこないながら、規制対象物質の標準を整備してきました。また、既存の国家計量標準の高度化についても、ニーズ調査に基づいた目標の達成に目途が立ったところであります。特に、非接触型3次元形状計測技術の開発では、国内メーカー各社と連携して種々の計測装置を開発するとともに、装置の評価法に関する工業規格の制定にも力を入れてきました。また、有機化合物の合理的な標準供給システムとして開発したスマートカリブレーション技術は国際度量衡局(BIPM)と共同研究を開始し、国際的な校正手法として歩み始めています。次世代標準の開発では、SI単位の再定義が国際的にも予定通りに進むなかで、アボガドロプロジェクトや光格子時計の開発において、世界のトップグループを走る標準研究所としての研究成果を発信することができました。今年から始まります産総研の第4期におきましても、計量計測技術の先端研究をおこなうとともに、知的基盤整備特別小委員会で認められた第2次計量標準整備計画に基づいて標準の整備を推進し、より身近で使いやすい標準を開発することで、日本の産業の競争力向上や国民生活の安全の確保に貢献してゆくことが重要であると考えています。
 一方、法定計量に関しては昨年3月をもって担当職員のつくば集結が完了し、法定計量業務や新規検討課題に関して一丸となって対応してゆく体制が整いました。それにともない、特定計量器の電磁環境試験装置(EMC試験装置)をリニューアルし、測定室のサイズを拡張して、より大きな形状の計量器の試験にも対応できるようにしました。また、計量法技術基準のJIS化が完了し、利用頻度の高い技術はJIS化が達成されたことにより、OIML勧告との整合性も確保されるようになりました。今後、計測機器のネットワーク化の普及や経済のグローバル化にともない、法定計量を取りまく諸課題もますます複雑になってゆくことが予想されますが、法定計量と研究部門との連携をより一層緊密にして、これらの課題に対応してゆく必要があると考えております。 
 最後になりましたが、本年も当研究部門に対する一層のご支援をお願い申し上げますとともに、皆様方のご多幸とご健康を祈念いたしまして、新年のごあいさつとさせていただきます。

↑ページtop
計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事計量関連機関 年頭所感(2015年一覧)>【(独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門長】身近で使いやすい計量標準の整備をめざして