資料◇2005年度(平成17年度)第1回計量行政審議会配付資料(4)
7月26日開催、経済産業省本館17階第1共用会議室
新しい計量行政の方向について(3)
V 制度の見直しの方向性(2)
3.環境計量証明事業者制度
(a)環境計量証明事業者制度については、安全・安心に関する国民の関心が高いことから、適切に見直すべきではないか。
(b)その際、ISO/IEC17025が環境計測事業者の間でも普及しつつあることに留意するべきではないか。
(c)また、振動計、騒音計、濃度計というハードウェアの検査・検定という規制から、計量標準等へのトレーサビリティー(国家計量標準からの切れ目のない段階的校正によって、値と不確かさとが適切に評価されていること)の確保にシフトしていくべきではないか。
(d)特定計量証明事業制度(MLAP)については、施行後5年の見直しが予定されていることもあり、計測結果の国際整合化を図る観点からも本制度の認定基準をISO/IEC17025に整合化させること等について検討する必要があるのではないか。
4.計量標準供給とトレーサビリティーの確保
(a)各種技術規制に必要な標準物質を始めとする国家計量標準等の整備・供給を効率的かつ迅速に行う観点から、関係府省傘下の研究機関や民間研究機関の活用等、国の総力を結集した国家計量標準等の整備・供給体制の再構築が必要ではないか。
(b)限られた資源を有効に活用し、国として計画的に計量標準等の整備を進めていくに当たっては、計量標準等の整備・供給及びトレーサビリティ確保の重要性について、関係府省及び地方公共団体と認識を共有するとともに連携を強化していくことが必要ではないか。
(c)正確な計量、トレーサビリティの確保がもたらす以下のような意義を踏まえながら、中核的制度であるJCSSの普及策を中心に、トレーサビリティの普及方策を検討すべきではないか。
・国民から信頼され、かつ国際整合性のとれた技術規制の実現
・医療、環境、食品分野などにおける正確な計量を通した国民の安全・安心の基盤確保
・WTO/TBT協定の下、グローバルな経済活動に対応した国際相互承認、国際的ワンストップ・テスティングの実現
・国際的に通用し、信頼ある正確計量を通じた我が国企業の国際競争力の基盤の提供
・国家計量標準等が未整備の場合にあっても国内の正確な計量を確保することに資する計量標準等の供給体制の整備
5.NMIJの一層の活躍のための環境整備
(a)いずれの主要国にあっても計量制度を実質的に支えている機関が各国の国家計量標準機関(NMI)であること、我が国においてもNMIJが計量制度の中核機関として活躍してきたこと、一方でNMIJを含む産業技術総合研究所が非公務員型の独立行政法人に移行したこと、計量標準等の相互承認の枠組みが動き始めたことなど、NMIJの重要性が一層高まっていることに留意しつつ、NMIJが一層活躍することを可能とする上での制度的な課題について検討するべきではないか。
(b)その際、技術の進化のスピードが速いことに留意し、技術的規則を定める経済産業大臣との役割分担等について整理することにより、新しい技術の登場などにNMIJがタイムリーに対応することを可能とするためには、国益上いかなる条件整備が必要かを検討するべきではないか。
(c)また、独立行政法人の有する弾力性を有効に活用することも検討するべきではないか。
6.法定計量単位の扱いの弾力化
(a)取引・証明においては、計量法で定められた単位(法定計量単位)以外のものを用いてはならない旨の規定が計量法によりなされている。メートル条約における最高機関である国際度量衡総会、その他の国際ISO機関の決定により認められた単位が新たに追加されたとしても、その都度計量法を改正しなければ、その単位に関わる「計量」は計量法の対象として扱われず、また、その単位を国内において定着させていくことにも支障を生ずることになる。従って、新たな単位の定め方について弾力化を図るべきではないか。
(b)その他、メートル法が十分に定着している一方で、その他の単位も現実社会においては一部使用されている実態に鑑み、現行の単位の規制について、再検討すべき点があるか否かについて検討すべきではないか。
7.その他の規制の見直し
計量法においては、上記の各種制度以外の制度が存在する。これらについては、その必要性について検討し、廃止も含めて検討すべきではないか。なお、一定の必要性が認められる場合であっても、他の代替案も模索すべきではないか。
(a)特殊容器(注:ビール瓶や牛乳瓶のように容器を標準化し、簡便に量の計測を可能にする仕組み)
特殊容器は現在でもガラス瓶のリサイクル活用という観点から一定の意義を有しているが、内容物の充填方法の技術革新が進んでいることや、紙パックやペットボトル等他の容器が普及しつつある実態を踏まえ、廃止の方向で対応すべきではないか。
なお、リサイクルの観点から同様の仕組みを残す必要がある場合であっても、JISマーク制度の活用など他の代替策を模索すべきではないか。
(b)家庭用計量器
キッチンスケール、ヘルスメーター(体重計)、ベビースケールについては一定の技術基準が設けられており、製造事業者は技術基準適合を自己確認し、一定の表示(マーク)を付した上でないと、市場に出せないこととなっている。
一方、家庭用に用いられる計量器類は多様化しており、上記3種以外にも家庭で用いられるものがあるが、これらについてはマーク制度JISの活用などによって、適切に消費者が選択できる仕組みを整備する方向で検討すべきではないか。
(注)巻き尺など長さ計については、JISマーク制度によって適切に対応できるものと判断されたため、規制対象から外されたが、今日まで大きな問題は生じていないことに留意。(おわり)
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次号以下も、引きつづき配付資料を順次紹介します。【編集部】
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