2005年度東北・北海道計量大会開かれる
7つの協会関係者184名が参加、協会事業に絡む計量法改正に関心
各協会、法改正は死活をかけた一大事
2005(平成17)年度東北・北海道計量大会ならびに東北6県北海道計量協会連合会総会が、10月5日午後、岩手県盛岡市のホテルメトロポリタン・ニューウイングで7つの協会関係者184名が参加して開かれた。連合総会議事では、はかりの定期検査などに関する計量士の業務のあり方、これと連結する協会事業の行方に絡む計量法の改正作業の推移に大きな関心が寄せられた。指定定期検査機関制度と計量士の業務に絡む規定の改正が、協会事業の運営に寄与することを期待しての本音ともいえる。大会ならびに総会では「地域計量団体は、計量関係の知識・技術情報の集積を図り、企業および住民に対する情報提供センター的役割を果たすと共に、その機能を通じて正確な計測・計量の普及と消費生活の安定に貢献する」とする内容の決議文を採択した。
計量協会事業に占めるはかりの検査事業の割合が増大しているなか、いま作業が進行している計量法改正の行方が同事業の死活に関わるため、各協会ともはかりの定期検査と計量士の役割、ならびに指定定期検査機関制度がどのようになるのか大きな関心を寄せており、協会にとって有利になるような改正内容であることを望む空気が強くにじんでいた。
(社)福島県計量協会は、計量器の検査、計量士に係る制度内容はどのようになり、地方計量協会はどのように対処したらいいのか、と質問し、宮城県計量協会も「計量器の検査・検定、計量士に係る制度について今後の方向性」を聞きたい旨を述べた。
(社)青森県計量協会は、計量法改正に関して次の2項目の質問をした。(1)計量士に関する制度を見直す具体案とその理由付けについて、(2)一般計量士資格認定制度の実務経験の期間緩和について。
以上の質問は、経済産業省知的基盤課計量行政室に対して発せられたものであるが、行政室担当官の出席はなかった。
(社)秋田県計量協会は検定所職員だった高齢の計量士が、はかりの検査のために使用する分銅の持ち運びの負担に耐えられない状態なので、基準分銅を使用しない方法が技術面から考えられないかという旨の質問を、(独)産業技術総合研究所の係官に出したところ、これまでの関連の研究等では無理であったことの回答があった。
【解説】論説員横田俊英
都道府県の計量協会の存立基盤ならびに会員構成は計量法の事業規制や諸制度によって変化を余儀なくされる。計量器販売事業者の事業規制が登録制から届出制に変わり、体温計ならびに血圧計販売のための届出義務がなくなったことで、それまで地方計量協会会員であった薬局等の人びとが会員から抜ける傾向にあり、はかり販売の金物店なども同じである。
会合の決議文には「組織拡大、会員拡大」をうたうものの現実は会員数の減少の一途であり、計量器販売の事業規制の緩和がさらに続けば、現状でも格好悪い規模の会員数である地方計量協会は会員数の面からは崩壊現象を余儀なくされる。決議文には「計量制度に基づく事業の積極的な実施」とあり、これははかりの代検査や指定定期検査機関制度のことであり、内実ははかりの検査事業である。この事業は検査のための人員さえいればできるものであり、会員は数が多い方が一般的な信用力の面からはよいとしても、会員の数に依拠する事業ではない。
地方公共団体が実施するはかりの定期検査等の仕事を、計量行政機関が直接に実施しないことがこの関連業務の流れであり、地方の計量協会その他の組織・機関に実質的に移管している。
東北と北海道の計量協会の会合で議題として取り上げられた計量法改正に関する動きへの質問の意図は、計量協会事業に関連するはかりの定期検査がらみの制度改正で不利な条件が生じはしないかという危惧があってのことである。
第2回計量制度検討小委開催
第2回計量制度検討小委員会が10月24日(月)午前10時から、経済産業省で開かれる。現在、傍聴登録を受け付けている。締切は10月20日(木)昼12時。
第3WG第3回会合開く
JCSSの整備状況と課題、発展材料など
計量制度検討小委員会第3ワーキンググループ(WG)第3回会合が10月6日、東京・霞が関の経済産業省で行われた。
初めに、第2回会合の議事録(案)が委員に配布された。各自目を通した上で、意見がある点は反映させるとし、承認は次回に持ち越された。
計量標準・物質供給のあり方を検討する第3WGは、積極的にヒアリングを行っている。第3回会合は計量法に基づくJCSS(校正事業者認定(登録)制度)の認定機関と認定(登録)事業者2者が、整備状況と現状の課題を述べた。(独)製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター所長瀬田勝男委員、(財)日本品質保証機構(JQA)理事杉山喬委員、(社)日本計量振興協会(日計振)認定事業者部会幹事山領泰行委員が担当した。
制度は成長、課題も
瀬田委員は、試験所認定の現状と可能性について述べた。1993(平成5)年の計量法改正によってNITE認定センターが設立された経緯を踏まえ、JCSS認定(登録)事業者数の拡大や、時流に対応した取り組みを紹介した。
JCSSは日本の計測トレーサビリティ確立に貢献しており、分野や使用実績も拡大している。FAA(米連邦航空局)審査での免責措置など、国際的にも認められた存在になりつつある。
計量法に基づくMLAP(特定計量証明事業者認定制度)は、環境ホルモン検出への信頼性という社会的要求に対し、差し迫って作られた制度であるが、短期間で多くの事業者を認定し、事業者の水準向上に貢献した。民間活力を導入した認定制度の好事例といえる。
JCSSの問題点としては、校正できる量を法で規定しているので、フレキシブルな対応ができない。認定センターではASNITEプログラムを用意しているが、ブランド力が弱い。認定対象が校正のみのため、基準器検査の代替が完全にはできない。計量法が国際規格を完全に満たしていないので、国際相互承認の対象とならないケースもある、という事例が報告された。また、日本独自の制度であり、国際規格を満たさないMLAPの問題点も指摘した。
ヒアリングを受け、基準器検査の代替を満たせるよう、機器の性能にまでJCSSを拡げる、国際承認に完全に入るよう制度を改正すべき、という意見が出た。
ユーザーにはJCSSの啓発が必要
杉山委員は校正業務の実施概要と社会的要請を述べた。
JQAはJCSSではカバーできない校正分野について、米国試験所認定協会(A2LA)から認定を取得した。これは自動車関係のマネジメント規格であるQS−9000を取得する顧客の要望に応えるため。
JQAではJCSSロゴ付き、A2LAロゴ付き、ロゴなしの3種類の校正証明書を発行しているが、発行件数の比率は順に19%、45%、36%となっている。A2LAロゴ付きが多いのは、校正範囲が多岐にわたっている点が大きい。
技術の確認ができればロゴは不要というユーザーもおり、認定(登録)の重みを持つJCSSの利用を啓発することが必要なのではないか、という声が委員の中から上がった。
制度の検討に当たっては、JCSS認定(登録)事業者が発行しているJCSS以外の校正証明書の件数を調査し、普及状況を把握したうえで、認定品目・範囲の拡大、JCSSの普及啓発策を検討してはどうか、とまとめた。
「登録」の語感でイメージダウン
日計振は、認定事業者部会会員である登録(認定)事業者37社に対し、アンケート調査を行った。うち22社から回答を得た。山領委員は、このアンケート結果をもとに、登録(認定)事業者の現状を報告した。
校正件数は22社で18万6000件にのぼる。うちJCSS校正は23%だが、JCSSの範囲内の校正であるのにロゴマークをつけない校正は31%を占めた。顧客がJCSSを求める理由は、そのステータスもあるが、品質マネジメントシステムの要求など、強制的、「外圧」によるところが大きい。ISO認証機関にも、JCSSの必要性が浸透していないので、普及に努めるべきである。
標準供給の問題点としては、海外に比べ品目が少なく、範囲も不足している。日本で供給できないものは海外の標準を採用してもいいのではないか、という回答もあった。
トレーサビリティ体制には満足という声は多いが、ユーザーにおいては不確かさの認知度が低く、普及・啓発の必要があるとした。法律でトレーサビリティをしばるのは限界があり、現行法では標準の追加が容易ではない。基準器検査制度とJCSS双方の長所を生かした標準供給制度の検討を求めた。
JCSSが認定から登録に移行したことにも触れた。取得にかかる業務は変わっていないのに、権威付けを感じる「認定」という言葉に対し、「登録」は出せば通る、という印象に受け取れる。これがイメージダウンにつながっているという回答があった。また、事業者によっては維持費用が増大したり、登録更新費用や登録免許税など、新たな負担増もデメリットであるとした。
第3WGでは、引き続き関係者のヒアリングを数回にわたり行う。次回は10月26日の予定。
10月からの計量法改正
手数料令、検則、品質管理細目
JIS認証機関も「事務の合理化」適用
経済産業省は9月30日付で、計量法施行規則の一部を改正する省令を公布した。10月1日から施行された。
これは計量法関係手数料令(平成5年政令第340号)別表第1第13号及び第14号の規定に基づくもので、10月1日施行の新JISマーク制度に対応した改正となる。3月15日に公布した計量法施行規則の一部改正の補完として、新JISマーク制度に基づく登録認証機関も、「審査の事務の合理化」が適用され、JCSS登録時に手数料が減額される対象となる。
進む検則のJIS引用
また、電子回路を有する特定計量器の試験方法についての告示(平成12年通商産業省第494号)の一部も改正、10月1日から施行された。特定計量器検定検査規則(検則)の一部を改正する省令(平成17年経済産業省令第41号)第3条の施行に伴うもの。
従来、検則で詳細に設定していた技術基準のほとんどが、一連の検則改正によって、JIS規格を引用する形となっている。今年3月の検則改正で削除された箇所については、当該告示を引用していたが、10月1日のタクシーメーター新検則の施行に伴い、当該告示を廃止した。
水道、温水メーター細目制定
同省は9月30日付で、水道メーター及び温水メーターに係る品質管理の方法の細目を公示した。10月1日に制定された。指定製造事業者の指定等に関する省令(平成5年通商産業省令第77号)第3条第2項の規定に基づくもの。水道メーター及び温水メーターについて検則を改正し、10月1日から施行した。この改正内容に合わせて、細目も制定し直した。
(6面に条文を掲載)
パブリックコメント募集
「今後の標準物質の供給体制について」
経済産業省の産業構造審議会産業技術分科会・日本工業標準調査会合同会議知的基盤整備特別委員会「標準物質の供給体制のあり方に関するワーキンググループ(WG)」は、「今後の標準物質の供給体制について(案)」に対する意見を募集している。標準物質をめぐる環境の急変を受け、同WGは2003年から8回の審議、ヒアリングを行った。意見は、報告書取りまとめの参考とする。
WGの概要、報告書(案)は経産省ウェブサイト(http://www.meti.go.jp/feedback/data/i51006aj.html)からダウンロードできる(PDF形式)。
意見の提出は電子メール、FAX、郵送で受け付ける。電子メール及びFAXは10月28日(金)午後6時まで。郵送の場合は同日必着。いずれの場合も意見提出用紙の様式に従って提出する。電子メールは添付ファイルでの提出は不可。
【意見提出様式】(1)宛先(担当宛)、(2)氏名(企業・団体の場合は、企業・団体名、部署名及び担当者名)、(3)職業(企業の場合は業種)、(4)住所(郵便番号から)、(5)電話番号、(6)FAX番号、(7)意見:該当箇所(別紙のどの部分についての意見か、該当箇所がわかるように明記)、意見内容、理由
意見提出先及び問い合わせ先は、経済産業省産業技術環境局知的基盤課標準物質担当。〒100−8901、千代田区霞が関1−3−1、電話03−3501−9279、FAX03−3501−7851、電子メールはqqgcbh@meti.go.jpまで。
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