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計量新報 2006年 3月12日発行 /2622号 5面


(1面のつづき)

第3回計量制度検討小委員会配付資料より
(2006年2月21日開催)

第2WGの方向性(骨子)
〜商品量目制度を中心とした公正・公平確保のための計量の在り方の基本的方向〜

 計量制度検討小委員会第2WGでは計量法を中心とした計量制度の中で、量目規制の在り方を扱っている。
 具体的には、商品量目制度や適正計量管理事業所制度の検討を行っている。
II.商品量目制度
1.現行制度の現状と問題点
 商品量目制度は、消費生活における商品の正確計量の推進に大きな役割を果たし、消費者利益の確保を図るとともに公正な経済活動を支えている。
 平成5年の改正において、@規制対象商品については、詳細な商品の個別列挙は煩雑で分かりにくいといった指摘等を踏まえ、できる限り体系化、簡素化を図り、日本標準商品分類等を勘案しつつ包括的名称に移行、A公差体系も簡素化を図り、現行の片側公差(実際の量が表示量を下回っていることが許される範囲のみを規制)に移行、B量目取締りの方法も、それまでは政令指定商品の量目違反については、直ちに罰則が適用されることとなっており、刑事手続き以外の行政による指導での余地が小さいこと、及び挙証の困難性等の問題が指摘されていたことから、計量管理の是正措置(命令)を中心とした規制に移行等、制度を適宜見直すことによりこれまで社会的要請に応えてきたところである。
 しかしながら、一般的に次のような問題点が指摘されている。
(1)効果的で合理的な規制の必要性
 不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであるが、不正を防止・抑止する観点から、不正があった場合の手続き等の更なる明確化が必要となっている。
(2)国民(地域住民)の積極的参画の必要性
 消費者を中心とした国民(地域住民)が、公正な計量を実現するための最も重要なプレーヤーの一人にもかかわらず、必ずしも適正計量に関して積極的に参画できていない。
(3)他法令の執行体制との協力の必要性
 商品のラベルには、原産地等他法令に基づく表示等がなされており、これについて検査等が他法令に基づいて実施されているが、計量法と他法令との協力関係が築けていない。
(4)持続可能な制度設計
 地方分権の進展、行財政改革の継続など、今後我が国において予想される社会経済情勢の中長期的な変化にも対応した持続可能(サステイナブル)な制度とすることが必要となっている。
(5)全ての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大
 地方公共団体ごとに事情は異なるが、全国的に一定水準の計量行政の実施は必要であり、民間能力の活用を含め、自治体ごとの実情を踏まえつつ、適切な行政手法を採用できるような選択肢が必要となっている。
2.検討の方向性
(1)基本的考え方
 上記の問題点を踏まえ、商品量目制度について、市場による監視機能を生かすとともに、他法令との協力関係を構築することにより、より効率の高い、合理的な制度に移行していくべきである。
 ただし、その際、計量制度は、度量衡法以来100年以上を経ている制度であるが、必ずしも消費者等において正確な理解が浸透していないことから、市場による監視機能を働かすためには、国や地方公共団体は、積極的に計量に関する情報提供や啓発活動を行う必要があることに留意することが必要である。
(2)具体的方針
1)量目取締りの手続きの整備等による制度執行の実効性の向上
 計量器の不正使用の摘発を強化するべく、抜き打ち検査などの事後検査を強化する方向で検討する。
 不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであることから不正事業者名の公表などの手続きを整備する等により、不正事例の発生を抑止することを検討する。
 地方自治体(都道府県・特定市町村)が非常勤・常勤等の自治体毎の事情に応じた形で計量士の能力を活用しつつ、より多く立入検査を実施することについて検討する。
 計量強調月間(11月)に自治体が一斉に立入検査を実施し、その結果について公表し、自治体間の結果を消費者等が比較できるようにすることについて検討する。
2)国民(地域住民)の積極的参画(市場の監視機能の積極的な活用)
 消費者の市場監視能力を活用する観点から、消費者による計量制度に関する通報・監視制度の整備について検討する。
3)関係省庁における連携の推進
 他法令において都道府県に権限が委譲されているものについては、自治体内で対応が可能であることから、自治体は、行政の効率化の観点から他法令における立入検査等と相乗りで検査等の実施の可能性について検討する。各法が都道府県に権限を委譲していないものについては、都道府県が各法の検査等を相乗りして行い得るように国が措置する方向での制度変更を検討する。

 

II.適正計量管理事業所制度
1.現行規制の現状と問題点
 適正計量管理事業所制度は、自主的な計量管理の推進を目的とする制度であり、事業者にとって非自動はかりその他特定計量器における定期検査の免除等のメリットがあり、その活用が図られているところである。
 現行の適正管理事業所制度は、平成5年の改正において、それまで「計量器使用事業場」という名称であったものを、名称が実態に即しておらず、事業場を惹きつけるものとなっていない面があることから「適正計量管理事業所」と改称する等の見直しがなされたものである。
 しかしながら、一般的に次のような問題点が指摘されている。
(1)インセンティブの必要性
 適正計量管理事業所の指定を受けるための体制整備や維持にコストがかかる一方で、メリットと言えば定期検査の免除程度であり、適正計量管理事業所となるインセンティブが少ないとの声がある。また、適正計量管理事業所の指定を返上する例も散見されている。
(2)認知度を高めることの必要性
 適正計量管理事業所の認知度が低い、適正計量管理事業所を示すマークはあるが、デザインが良くないため店頭表示をしていないとの声がある。また適正計量管理事業所の認知度が低いことと関係していると考えられるが、店頭に適正計量管理事業所のマークを表示しても消費者へのアピール力が乏しいとの指摘がある。
2.今後の方向
(1)基本的考え方
 自治体の法執行体制の維持が困難となる中、適正計量の実施を促進していくためには、事業者自らの計量管理の推進を図ることが必要不可欠である。したがって、上記の問題点を踏まえ、事業者自らの計量管理の推進により適正な計量の実施が促進される制度を目指し、適正計量管理事業所制度を改善していくべきである。
 地方公共団体の担当官が、陳列後の商品のサンプル調査等により、量目規制を実施してきているが、商品の包装段階の適正計量、品質管理を促進・確保していくことも必要である。
(2)具体的方針
1)適正計量管理事業所への更なるインセンティブの付与
 より消費者の保護に資するような品質管理の基準を定め、より計量士が適正計量の実施について責任を負うことにより、自治体による定期的な立入検査を免除することを検討する。
 その際、適正計量管理事業所の基準適合性の審査には、民間の認証機関の活用を検討する。
 中小企業(商店街等)が適正計量管理事業所制度をより活用できるよう手続きの簡素化等を検討する。
2)新たなマーク制度の創設(適正計量に対する消費者の認知度の向上)
 消費者が一般の適正計量管理事業所と、より正確な計量等に配慮した適正計量管理事業所との差別化が容易にできるよう、より分かりやすいマーク制度の創設について検討する。また、適正計量が実施されている商品に対するマーク制度についても併せて検討する。
3)その他


商品の正確計量の推進と自主的な計量管理の推進について
東京経済大学副学長 
(第2WG座長)   宮下正房

 消費者は、公正な計量を実現するための最も重要なプレーヤーの一人。行政等からの適切な情報提供により消費者へ「正確な計量」に関する正しい理解が浸透し、消費者が量目制度へ積極的に参画することにより市場の監視機能を活かすことを実現したい。
 事業者自らが計量管理を推進し適正な計量の実施を確保することは皆で高く評価すべきことであり、このような取組を促進していきたい。そこで、自主的により正確な計量管理を推進する事業所や、より正確に計量管理された製品については、マークを付すことができるようにして皆が評価できるようにしたい。消費者の方には、是非新しいマークの作成から参加して頂きマーク制度に対する親近感や連帯感を高めて頂きマーク制度の実効性を高めていきたい。

(以上)

 
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