1.日時:平成17年8月8日(月)
2.場所:経済産業省本館17階第一・第二共用会議室
3.議事内容
○籔内室長 それでは、定刻になりましたので、第1回計量制度検討小委員会を開催させていただきます。
私は事務局を務めさせていただきます計量行政室長の籔内でございます。よろしくお願いいたします。
当小委員会は、計量行政審議会及び産業構造審議会産業技術分科会の合同小委員会でございます。審議に入ります前に、第1回目でございますので、委員長及び委員の方々の御紹介をさせていただきたいと思います。時間もございませんので簡単に御紹介させていただきます。
まず委員長でありますが、中田同志社大学ビジネス研究科研究科長。
以降は五十音順に御紹介させていただきます。
社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の青山委員。
社団法人日本計量振興協会会長、飯塚委員。
社団法人神奈川県計量協会理事の石井委員。
独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門研究顧問の今井委員。
財団法人日本品質保証機構理事長の上田委員。
独立行政法人産業技術総合研究所研究コーディネーターの小野委員ですが、本日は御欠席でございます。中野代理が出席しておられます。
全国地域婦人団体連絡協議会常任理事の甲斐委員。
三菱化学株式会社技術・生産センター執行役員・技術部長の梶原委員ですが、本日は御欠席でございます。
主婦連合会副常任委員の河村委員。
筑波大学大学院人間科学研究科助教授、桑委員。
読売新聞東京本社編集局科学部次長の芝田委員ですが、本日は御欠席でございます。
日本チェーンストア協会専務理事の鈴木委員。
社団法人日本環境測定分析協会顧問、名誉会長でもあられます田畑委員。
立教大学法務研究科教授の橋本委員。
千葉商科大学政策情報学部助教授の宮崎委員。少々おくれておられるようです。
社団法人日本計量機器工業連合会会長の宮下茂委員。
東京経済大学副学長の宮下正房委員。
東京都計量検定所長であり、都道府県計量行政協議会全国世話人の森委員。
日本電気計器検定所理事長の矢橋委員。
東京大学名誉教授の山崎委員。
徳島県企画総務部長の吉田委員。
以上の方々でございます。
なお、計量法は各省庁に関係の深い広がりのある法律であることから、オブザーバーとして厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省の方々に御参画いただいております。関係各省の皆様は、ここでの議論をフォローしていただくと同時に、御意見を当委員会において述べていただく場合には、事務局を通じて委員長の了解を得た上でお話ししていただく機会を設けることとしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の議事進行は中田委員長にお願いいたします。
○中田委員長 先般の審議会におきまして当小委員会の委員長に指名されました中田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
このほど経済産業大臣から、「新しい計量行政の方向について」という諮問が計量行政審議会、産業構造審議会にありました。これを受けまして、両審議会の合同小委員会として当小委員会が設置されましたが、今後の計量行政のあり方を定めてまいります重要な審議に当たる委員会と承知をしております。本日は第1回の開催となりますので、どうぞ忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
なお、初めに申し上げますが、審議会の公開にかかる閣議決定を踏まえ、原則公開ということで運用することといたします。
審議官あいさつ
○中田委員長 それでは、初めに経済産業省の原山審議官からごあいさつをお願いいたします。
○原山審議官 御紹介いただきました原山でございます。今、中田委員長から御紹介がございましたが、ここに御参列の多くの委員の方々からさまざまな御指導をいただいて、ようやく本日の第1回の委員会開催にまで至れたということで、まずもって今日までの御指導に心より感謝を申し上げます。信頼、安全・安心に深くかかわる計量制度でございますので、各委員より、最後、報告書がまとまるまで、建設的な御議論をいただけますことを心よりお願い申し上げます。
なお、ただいま中田委員長から審議官として御紹介いただいたところでございますが、一言お断りをさせていただかなければなりません。本日付けで私、審議官の任を解かれまして大臣官房付きということになりました。ちょうど偶然なことにこの議論をスタートする日に私の後任を迎えることとなりました。横に着席しております松本隆太郎審議官でございます。私同様、ぜひとも各委員の御指導をよろしくお願い申し上げる次第でございます。本日の説明、応答等は私が務めさせていただきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
松本審議官を御紹介申し上げます。
○松本審議官 高いところから失礼いたします。
今御紹介がありました松本でございます。私は防衛庁から参りまして、計量法の内容等についてはよく承知してないのですが、これから一生懸命勉強いたしまして先生の皆様方の御指導、御鞭撻をいただいて頑張っていきたいと思います。
実は辞令交付をまだいただいていないものですから、途中で中座をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中田委員長 ありがとうございました。
それでは事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○籔内室長 本日の資料は、議事次第、委員名簿、座席表、それから、右肩に書いてありますが、資料1から資料5までの計8種類でございます。足りないものがございましたらお知らせ願います。
議 題
議題1 計量制度小委員会の審議の進め方について
○中田委員長 それでは、まず当委員会の運営の方法、議論の進め方につきまして事務局より説明をお願いいたします。
○籔内室長 資料2、審議の進め方についてですが、さきの計量行政審議会で運営規程の改正が認められましたので、委員長と御相談し、ワーキンググループを三つ設置して審議を進めていただくことを考えております。第1ワーキンググループは、特定計量器の検査・検定を中心とした安心・安全な社会の構築のための計量のあり方を、第2ワーキンググループは、商品量目制度を中心とした公正・公平確保のための計量のあり方を、第3ワーキンググループは、環境計量証明事業者制度、計量標準供給とトレーサビリティーの確保、NMIJの一層の活躍のための環境整備を中心とした世界とのつながりを確保するための計量のあり方といった検討項目を考えております。また、各ワーキンググループに横断的にかかわる単位の課題や計量士、情報提供のあり方などについては、本委員会自身で検討を行うことを考えております。
今後の審議の進め方ですが、本日は7月26日に開催されました計量行政審議会の御議論の紹介、また、今後の計量行政の方向について説明した上で、三つのワーキンググループに相当する分野ごとに御意見をちょうだいし、個々のワーキンググループをスタートさせていただきたいと考えております。
この委員会は、委員会として先ほど申し上げた横断的な事項について御議論いただき、また、11月末または12月初めまでに各ワーキンググループから一旦大きな検討の方向性を本委員会に御報告いただき、当委員会での検討事項をあわせて取りまとめていただき、審議会に御報告、御審議していただくことを考えております。審議会の議論を経た上で、その後、関係団体、有識者の御意見をワーキンググループ及び本委員会で聴取し、内容を固めていくことを考えております。これらのプロセスを経て、最終的には来年の春ごろに報告書をまとめていただき、審議会から大臣に答申をしていただきたいと考えております。
○中田委員長 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問がありましたらお願いいたします。御発言を希望されます方はお名前の札を立てていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
審議の進め方等について、よろしゅうございますか。
それでは、今御説明がございましたようなことで今後の審議を進めていくことといたします。
次にワーキンググループのメンバー及び座長をお諮りいたします。規程によりますとメンバーは小委員長が指名することとなっております。また、座長はメンバーの互選もしくは小委員長の指名となっております。三つのワーキンググループのメンバー及び座長につきましては、事務局と相談いたしましてその構成案を作成しました。事務局から御紹介をお願いいたします。
○籔内室長 お話がありましたとおり、委員長と御相談をしつつ資料3を作成いたしました。簡単に御説明をいたしますと、関係各方面の方々で委員を構成しております。具体的な委員の構成はワーキンググループごとに異なりますが、計量法の執行機関であります自治体や独立行政法人、それから学者の先生方、計量器メーカーの代表、消費者団体の方々、流通関係の団体の方、計量士代表の方、報道機関の方などとなっております。
座長につきましては、第1ワーキンググループは、工業技術院長や計量研究所の所長の御経験がありますとともに、国際度量衡委員会名誉委員、社団法人日本計量振興協会会長であります飯塚委員に、第2ワーキンググループは、流通分野が御専門であられ、東京経済大学の副学長、そして財団法人流通経済研究所の理事長、また社団法人日本ボランタリーチェーン協会会長でもあらせられる宮下正房委員に、第3ワーキンググループについては、元工業技術院計量研究所の所長として、また国際的な計量標準の整合性確保に尽力され、国際相互承認協定の設立に大きく貢献されるとともに、我が国代表として署名されている産業技術総合研究所計測標準研究部門の研究顧問であらせられる今井委員にお願いすることが適当ではないかということで、案として記載してございます。
○中田委員長 ただいま事務局から御紹介がありましたとおり、第1ワーキンググループの座長につきましては飯塚幸三委員にお引き受けいただきたいと存じますが、飯塚委員いかがでございましょうか。
○飯塚委員 できるだけ一生懸命やらせていただきたいと思います。委員の皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。
○中田委員長 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
それでは、第1ワーキンググループの座長といたしまして飯塚委員にお願いしたいと存じます。
続いて、第2ワーキンググループの座長については宮下正房委員にお引き受けいただきたいと存じますが、いかがでございましょうか。
○宮下(正)委員 委員長からの御指名でございますので、甚だ微力ではございますが一生懸命努めたいと思います。よろしく御協力をお願いいたします。
○中田委員長 ありがとうございました。
それでは、第2ワーキンググループの座長として、宮下委員にお願いしたいと存じます。
続いて、第3ワーキンググループの座長につきましては今井秀孝委員にお引き受けいただきたいと存じますが、今井委員、いかがでございましょうか。
○今井委員 今井でございます。委員長からの御指名でございますので、座長として全力で取り組んでまいりたいと思います。特に計量標準、標準物質の分野では、国際的にも急速に扱う範囲が広がっておりまして、環境ですとか臨床検査、あるいは食品にまで標準の波及する分野を広めていこうということがございますので、幅広い視点で、新しい分野も含めて取り組んでまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田委員長 ありがとうございました。
それでは、第3ワーキンググループの座長として今井委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
議題2 新しい計量行政の方向について
○中田委員長 続きまして、議題2、新しい計量行政の方向についてに移りたいと思います。
7月26日に行われました第1回計量行政審議会におきまして、田?会長から、小委員会では審議会での議論を踏まえた審議をするようにという御指示がございました。つきましては、審議会での御議論とあわせて事務局より説明をお願いいたします。
○原山審議官 それでは私から資料4と資料5で御説明をさせていただきます。既に各委員におかれましては目を通していただいているものと考えまして、用語の説明等は省略をさせていただきたいと思いますので御容赦願います。
まず資料4の1ページ目をごらんいただきます。計量、すなわち「計る」ことは、大胆に整理しますれば、ここにございますとおり、1番目に公正な取引の確保、2番目に血液検査とか水質検査等にかかわりますような安全・安心の確保、3番目に産業競争力強化の促進といったものの重要な要素でございます。
2番でございますが、適切に計量いたしますためには、適切な「計量器」、ハードウェアでございますが、それから適切な「計り方」、適切な「ものさし」、これらが必要になります。「ものさし」については後ほど少し説明します。なお、これらがそろっていましても、計る人が意図的に悪事を働きますれば適正な計量と公正な取引・証明の確保は不可能なものでございます。
まずハードウエアについてでございますが、(1)
番、計量法では、特定の計量器(18種類)の検定等を実施しております。また、JISマーク制度等を活用する計量器も多数ございます。
2番目に計り方でございますが、3行目にございますように、計り方については、例えば世界標準が多数存在しております。特にISO/IEC17025
といったものを満たす機関の計測結果は信頼ができるものと認識されております。
3番目に正しい「ものさし」でございますが、物理的な計測を行うときに基準となるものを計量標準と呼んでおります。また、濃度のような化学的な計測をするときに基準となるものを標準物質と呼んでおります。以降、「計量標準等」とさせていただきますが、これらを「ものさし」とここでは言っているのでございますが、同じ「ものさし」を用いて行う計測結果は比較することに意味がございますが、違う「ものさし」で調整した計量器による計測結果には比較の意味がございません。独立行政法人産業総合研究所計量標準総合センター、以降「NMIJ」とさせていただきますが、これが開発・供給を行っております。ここが供給したものは国際的な約束事により、ほかの国でも適切な「ものさし」として受け入れるためのルールが整備されているところでございます。
少し計量法の歴史を振り返ってみますと、歴史的には升とか分銅のようなハードウェアの規制が主体でございました。
2番に移りまして、昭和50年に、公害問題等を背景として環境計量証明事業という形で計り方の規制の運用を開始いたしました。また、社会問題となりましたダイオキシンにつきまして、平成14年にはより厳しい特定計量証明事業制度、以降「MLAP」と言わせていただきますが、これらをスタートしたところでございます。
「ものさし」につきましては、3番でございますが、平成5年改正において国家計量標準等の供給を開始したところでございます。この標準に基づきまして認定された校正事業者が校正を行うサービス、「JCSS」と言っておりますが、こうしたサービスも平成5年の改正によってスタートしたところでございます。
その他、(1) 国際化の推進の観点からメートル条約の徹底、あるいは、
(2)「官から民へ」という行政ニーズに対応いたしまして平成5年に事業所に自主検定を認める指定製造事業者制度の運用を開始したところでございます。また、
(3)「国から地方へ」という流れで、事務の一定部分を地方公共団体の権限に移行したところでございます。
近年の変化でございますが、第2パラグラフへ行っていただきまして、近年では以下に御説明しますように多くの点で計量をめぐる環境が変化してきております。過去の計量制度の実績同様、こうした変化に対応すべき時期にきているのではないかと考えられます。1番目に安全・安心に関する国民の関心の高まりでございます。
2番目に規制改革に対する政府の積極的取り組みの進展でございまして、閣議決定においてこうした基準認証制度につきまして自己確認・自主保安化、民間活力の活用、あるいは重複検査の排除といった方向が提示されているところでございます。
3番目に行財政改革でございますが、国のみならず、地方公共団体等も含めた行財政改革の必要性が増大しております。平成12年の自治事務化以降、計量行政に投入する人員や予算が削減される地方公共団体が多く発生してきております。計量行政を実施する上での体力格差が地方公共団体間で拡大しているという事実がございます。
4番目に技術の進歩でございますが、デジタル技術を初めとする技術の進歩は非常に著しいものがございます。
5番目に、正確な計量・計測も重要な要素とします例えばISO9001のようなマネジメント・システムの活用というのが広く普及してきているという事実がございます。
6番目に、国家計量機関でございます産業総合研究所が独立行政法人化をしたという事実がございます。
7番目に、公益事業の自由化の進展。電力、ガス、あるいは水道事業等における取引形態の変化がございます。例えば家庭から電気事業者に対するエネルギーの販売など、計量法が必ずしも想定していない取引形態の出現がございます。
8番目に、計量標準等の供給は先ほど申し上げました平成5年以降スタートしているのですが、必ずしも思ったほどの普及はしていないという事実もございます。
9番目にWTO協定の成立でございまして、特にTBT協定、貿易の技術的障害に関する協定でございますが、これは検査・検定のような適合性評価を行う場合には国際基準を用いることを義務化しております。これに沿って薬事法あるいは電気用品安全法等が国際手続への整合化を図ってきているところでございます。
10番目に、例えば平成17年1月に国家計量標準等の同等性と国家計量標準機関の発行する校正証明書の同等性を各国間で相互に承認するような協定が発効しております。これらは、一番最後のパラグラフに行っていただきまして、各国の国家計量機関を中心としつつ、基準認証を相互に受け入れる国際的な大きな環境が整いつつあるということを意味しているものと思います。
次に検討に当たっての視点・配慮点でございますが、何といっても1番目は効果的で合理的な規制のあり方を目指したいと考えております。2行目ですが、ハードウェアの性能が向上してきております中で、むしろ計量器の使用者の不正を抑制することの重要性が高まっているのではないかと考えられます。二つ目のパラですが、不正事業者が恐れておりますのは行政指導というよりは、むしろ消費者等の信頼を失うことであることにかんがみますれば、これまでほとんど実績のない不正事業者名の公表などの手続を整備するなどによってより高い効果が得られるのではないかと考えられます。また、四つ目のパラグラフに行っていただきまして、従来の規制方法にとらわれず、より効果の高い合理的な方法を模索すべきではないかと考えます。
2番目に、すべての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大というのがあるのではないかと考えます。自治体ごとに事情は異なっておりますが、全国的に一定水準の計量行政の実施は必要だと考えます。自治体ごとの実情を踏まえつつも、適切な行政手法を採用できるような選択肢が必要なのではないかと考えます。
3番目に持続可能な制度設計ということで、今後ともさまざまな情勢が急速に変化することを考えても、一定期間長持ちするような制度設計というものが必要ではないかと考えます。
4番目に技術開発の促進でございますが、技術の進歩を阻害するようなことは規制の設計に当たっては排除すべきではないかと考えます。
5番目に、国民、自治体からすれば地域住民でございますが、これらの積極的参画の促進というものが大事ではないかと考えます。消費者を中心とした国民(地域住民)が適正計量に関する関心と知識を持つことが公正な計量を実現するために最も重要な要件ではないかと考えます。最後の方へ飛ばしていただきまして、住民(消費者)の主体的・積極的参画を促す仕組みを考えるべきではないかと考えます。
6番目に関係各府省との連携でございます。非常に横断的な制度であります計量制度でございます。関係府省と積極的に連携をすることが必要ではないかと考えます。
これらの視点を踏まえた上で、制度の見直しの方向でございますが、1番目に特定計量器の検査・検定に関しましては、a)規制対象を削減する方向で見直しを行うべきではないか。その際は、むしろ消費者保護に重点を置くべきではないか。
b)他方、商品量目規制を合理化するためには、実は日本のみが規制していない自動はかりを規制の対象にすることなども含めて検討するべきではないか。
c)計量士に関する制度を見直すなどにより、一定以上の能力を有する民間人が権限を持って諸般の検査において活躍することができる制度を整備するほか、「JISマーク制度」を活用するなど、民間人・民間機関の能力を最大限活用することを可能とすることにより、地方公共団体の執行方法に関する選択肢を拡大するべきではないかと考えます。
d)抜き打ち検査などの事後検査を強化すべきではないか。
e)WTOルールにのっとり、手続について、国際標準との整合性を図るべきではないか。
f)少し専門的なことになりますが、基準器という検査等に用いる一種の「ものさし」がございます。これにつきましては、日本独自の制度であること、あるいは先ほど申し上げましたJCSSが一定程度は普及してきていることなどにかんがみ、JCSSへの一本化を含め、現実的な計量標準の供給のあり方について検討するべきではないかと考えます。
大きな2番目として商品量目制度でございますが、b)へ飛ばしていただきまして、商品陳列後のサンプル調査主体の規制方法から、事業者による品質管理を促す制度に重点を移行するべきではないか。
c)その際は、商店街等を含む中小企業も参画することにより、我が国企業全体の適正計量を促す仕組みとするべきではないか。
d)例えば、現在の「適正計量管理事業所制度」を改革することにより、一案として、「適正計量管理事業所」として、商品量目についても適正に執行されていると推定できるような制度を考えてはどうだろうか。
f)へ飛ばさせていただきまして、さらに、商品の密封段階における適正計量・品質管理を確保するため、必要な要件が満たされていることを示す一種のマーク制度の導入を検討してはどうか。なお、その際は欧州のeマーク制度を研究するべきではないかと考えます。
3番目として、環境計量証明事業制度につきましては、安全・安心に関する国民の関心が高いことから、適切に見直すべきではないか。
c)のところで、ハードウェアの検査・検定という規制から、計量標準等へのトレーサビリティーの確保にシフトしていくべきではないか。
特に、ダイオキシンに関しますMLAPにつきましては、計測結果の国際整合化を図る観点からもISO/IEC17025
というものに整合化をさせることについて検討する必要があるのではないかと考えます。
4番目に計量標準供給とトレーサビリティーの確保でございますが、a)国家計量標準等の整備・供給を効率的かつ迅速に行う観点から、関係府省傘下の研究機関や民間研究機関の活用等、国の総力を結集して国家計量標準等の整備・供給体制の構築が必要ではないか。
b)の最後の方ですが、関係府省及び地方公共団体と認識を共有するとともに、連携を強化していくことが必要ではないか。
c)トレーサビリティーの確保がもたらす意義、例えばその後にございますような医療、環境、食品分野などにおける正確な計量を通した国民の安全・安心の基盤確保、こうしたような意義を踏まえながら、JCSSの普及を中心に方策を検討すべきではないか。
大きな5番。NMIJ、国家計量機関でございますが、この一層の活躍のための環境整備でございます。a)の最後の方ですが、計量標準等の相互承認の枠組みが動き始めたことなど、NMIJの重要性が一層高まっていることに留意しつつ、NMIJが一層活躍することを可能とする上での制度的な課題について検討するべきではないか。
b)新しい技術の登場などにNMIJがタイムリーに対応することを可能とするためには、いかなる条件整備が必要かを検討するべきではないか。
6番、法的計量単位の扱いでございますが、a)の途中ぐらいのところを説明します。国際機関の決定により認められた単位が新たに追加されたとしても、その都度計量法を改正しなければ、その単位にかかわる「計量」は計量法の対象として扱われず、という状況になっております。新たな単位の定め方について弾力化を図るべきではないか。
それから、7番、その他といたしまして幾つかのものについて、計量法にはいろいろな規定もございますが、廃止も含めて検討してもよいものがあるのではないかと考えます。例えばa)として特殊容器でございます。注書きのところにございますようなビール瓶や牛乳瓶のように容器を標準化し、簡便に量の計測を可能にする仕組みでございますが、これらについては代替方策があるのではないか。
b)として家庭用計量器、これはキッチンスケール等3機種につきまして、製造事業者が技術基準適合を自己確認し、シールを張ってマーケットへ供給していく仕組みでございますが、これなどもJISマーク制度の活用などによって適切に消費者が選択できる仕組みを整備する方向で検討してもよいのではないかということで、注書きのところにございますが、例えば巻尺などの長さ計につきましては、JISマーク制度によって適切に対応できるものと判断されたため、規制対象から外されておりまして、現在まで大きな問題は生じておりません。
実はここに我々の手元にございました巻尺を持ってきておりまして、ここをあけていただきますとJISマークがくっついて、「1級」と書いてございます。こんなような形で計量器の信用を保っている方法もあるんだということで、お回ししますので、お手元でごらんいただけたらと思います。
それと、資料5をごらんいただけたらと思いますが、先ほど中田委員長からございました計量行政審議会における議論のポイントを御説明申し上げます。なお、計量行政審議会の会長からは、そこでの議論を十分踏まえて小委員会等で議論するようにという指導がございました。
全般的な議論といたしましては、一つ目の「・」にございますように、既成概念にとらわれない審議をしてほしい。二つ目のところですが、横割の制度でございますので、縦割行政の問題もありますので、この審議会がオーケストラの指揮者の役割を担うべきではないかという御提案がございました。それから、新しい計量制度の検討は、取引にかかわる需給両サイドからの理解が得られる制度でなければならないという御意見もございました。
計量標準・標準物質等につきましては、トレーサビリティー制度については、これを充実させ、世の中に役立つ制度をつくるべきだ。二つ目のところでございますが、産総研が独立行政法人になったことに伴い、国と産総研との役割分担等を改めて整理すべきだという御意見もございました。
執行体制に関連しましては、本当に地方自治事務にしてよかったのかという御疑問も提示されたところでございます。
それから、国際整合化に関しましては、RoHS規制のような欧州の規制に対処するためにも、計量標準について欧米とのマッチングを図ることが必要であるが、これは国しかできない仕事であるというような御意見がございました。また、最後の「・」のところですが、計量法はもっとわかりやすいものとすべきだということで、用語の使い方なども必ずしも整理されていないのではないかという御発言もございました。
情報提供に関しましては、計量の大切さについて、これまで一般消費者に対する情報提供がほとんどなされていないという強い御不満がございました。また、積極的に教育のカリキュラムとしてどう取り入れるかということも含めて考えていくべきではないかという御意見もございました。
単位その他につきましては、例えば単位につきましては、社会においてメートル法が完全に定着しているとは言いがたいのではないかという御意見もございました。下の方でございますが、計量士について、もっと社会的に活用する方がよいのではないかという御意見がございました。また、計測・計量への信頼性確保には、人の要素、能力が大変大きい。他方で、すべての企業にISO17025
を取得しろというのも困難があるかということから、これを補完するような制度があればよいのではないかという御意見も賜ったところでございます。以上でございます。
○中田委員長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして御意見がありましたらお願いいたします。御発言を希望されます方は、先ほど申し上げましたが、名札を立てていただきたいと思います。
なお、いずれの案件につきまして御意見を賜っても結構でございますが、なるべく議論が整理されますように、大ざっぱに四つに分けて御意見を賜れればと思います。1番目は特定計量器の検査・検定関連、2番目は商品量目制度関連、3番目は計量標準供給とトレーサビリティー関連、そして4番目に環境計量証明事業者制度や、それ以外の審議の進め方等々につきましてお願いをいたしたいと思います。
時間を考えながら進めたいと存じますが、まず1番目の特定計量器の検査・検定関連で御意見ございますでしょうか。
鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 質問にわたることでも結構ですか。
○中田委員長 はい。
○鈴木委員 チェーンストア協会の鈴木でございます。後で量目規制について、我々の活動と関係が深いものですから、そこでも意見を申し上げたいと思うんですが、特定計量器の検査・検定、7ページで自動はかりの話がございますね。後でもこの関連については意見を申し上げたいと思うんですが、これは日本だけが対象になっていないというのは何か経緯があるんでしょうか。
○原山審議官 今日まで調査したところ、メーカーが非常に限定されて、数社のみが供給しているという実態がございます。必ずしも経緯が定かではないんですが、正直に申し上げますと、デジタル技術その他との組み合わせで成り立っているということは御案内のとおりでございまして、これらについての国あるいは自治体を含む検査体制が整っていなかったというのもあろうかと思います。実は平成4年の改正、5年に施行されたんですが、平成4年に改正したときも、自動はかりをどのように扱うかということは事務的には検討したようでございますが、検査の執行が容易ではないということもあって、他の国では対象にしているけれども、日本のみは対象にしていないとわかっていた上で、現実問題、数社、非常に数少ないところが供給しているということであり、それらの品質について特段その段階で大きな問題が生じているとも考えていないことから、対象として取り上げなかったということだと思います。
○中田委員長 鈴木委員、今のでよろしゅうございますか。
○鈴木委員 はい、よくわかりました。
そうすると、自動ばかりをつくっているメーカーは大手を中心に、少ないんだけれども、流通にかかわる部分も含めて非常に幅広い分野で使われている。ただ、つくったものを故意に不正に使うという可能性はあるようなものなんでしょうか。これは後の量目規制の関係の話なんですけど。
○原山審議官 不正に用いられるという実態があるとは思っておりません。他方で、先ほど申し上げましたとおり、正しく計る上で必要な要素という中で、それこそ計量標準へのトレーサビリティーを確保するということが本当にやられているかどうかについては、必ずしも確信がないというところはあろうかと思います。
ついでに鈴木委員の御質問に対して重ねて御説明させていただくと、自動はかりについて規制することも含めて検討すると言わせていただいているのは、本当に規制対象にしなければいけないか、あるいは、それを含む一番上流の品質管理について、一種の認定制度みたいな形をとる。認定するときにきちっとしたはかりのトレーサビリティーがとられているかどうかということさえ確認すれば、それでもいいのではないか。必ずしもハードウェアの規制に戻らなくても、上流の品質管理を行うという方法もあり得るのではないかということで、規制をすることも含めて、どういう方法がいいのか検討していきたいと考えているところでございます。
○中田委員長 青山委員どうぞ。
○青山委員 余分なことですけれども、審議官が一生懸命やってきたことについて、きょう突然かわられるということで、「えっ、どうしよう」という感じがするんですけど、粛々とこの議論は進めていかなければならないと思っております。
今の鈴木委員のところの上、a)なんですけれども、私は、昭和26年から計量法ができて、「計る」ということについて、一般の消費者というのは、かなりしっかり守られているなということで消費生活を営んでいるんだろうという気がするんですね。消費生活センター等に入ってくるクレームの中で、量目が足りないとか機器がどうだよということは余りなくて、きちんと消費者は守られているなという感覚を持っているのではないかなと推測するんですけれども、今回の見直しの中で、屋上屋が重ねられていたり、いろいろな規制が複合的になっていたりという部分については、やはり整理すべきであろうという感じは持っております。
ただ、7ページのXの1のa)のところなんですが、規制対象を削減する方向で見直しを行うべきではないか。その際は消費者保護に重点を置くべきではないか。消費者保護に重点を置くべきではないかということは、そのとおり、ぜひそれは守らなければいけないと思うんだけれども、規制対象を削減する方向でというところがどうもマッチしない。削減する方向で消費者保護って、どういうふうに考えたらいいんだろうかという気がします。その辺をお願いします。
○原山審議官 言葉足らずで恐縮でございますが、これは、今規制している18種の計量器、昭和27年施行の計量法においては50の機種を規制をしておりました。研究室で使われているようなガスクロマトグラフィーみたいなものまで含めて計量法で規制しておりましたが、順次、技術水準が上がったり、その他の代替手段でやった方がいいというようなものについては外れた。ここで申し上げているのは、いまだ規制している中で、例えばガソリンメーターとか電気メーターのように、まさに消費者を相手とした、お金をいただくときに必要なメーター等は規制として残すんだろうと考えております。それ以外に、俗にB
to
Bとかいうビジネス対ビジネスの取引に主として使われるような計量器につきましては、いろいろな形で相手の信用を確かめる方法がふえてきておりますので、他の代替手段によっても十分賄えるというようなものが多くなってきているのではないかという意味で、消費者を主として念頭に置いている規制、対象物についてはそのまま規制をしていくという基本的考え方でいこうというのがここに述べたことでございます。
なお、同じ消費者を保護するものでもあると思うんですが、今お手元で見ていただいているような長さ計につきましては、B to
Bでも使われているけどB to
Cでも使われているものであっても計量法から相当前に外しております。その議論は一度皆さんに共有していただくとありがたいのですが、見ていただくと、JISの横に「1級」と書いてございます。実はJISには2級というのもございまして、JIS2級というのが計量法にいう保護水準の狂っていい器差の範囲でございまして、これはパリにおいて決められた国際的なルールに基づく許容される誤差がJIS2級に相当したんですが、実際上はそれよりも厳しい精度で管理されているJIS1級というものに産業界自身が既に適合してしまっているという段階で、わざわざ計量法で保護するよりも、それよりもレベルの高いJIS1級というものの方が適切だろうということで計量法から外れた実績がございます。
そういう意味では、技術が進歩しているときに、日本の技術がもっと高いなら、計量法で許されている誤差の範囲内でやった方が本当にいいのかどうかという議論はあり得る議論でございまして、場合によってはJISの方がより高い精度を消費者の方々に提供できるということもあろうかと思います。ただし、何が問題かというと、それは消費者の方々がきちっとした情報を持って、視野を持ってそれを選別していただけるということが前提になろうかとは思います。
○中田委員長 青山さん、よろしゅうございますか。
宮崎委員どうぞ。
○宮崎委員 今の青山委員のお話とも関係するんですが、何を規制していくかというときに、ここで出ておりますような自動はかりが間に合わなかったので今度入れなければいけないとか、一つ一つ追いかけていくと技術革新のスピードにとてもじゃないけど追いつかないと思うんですね。もっと違う角度から、例えば精度で、1ミリグラムまでの分はいいけれども、1ミリグラムまでだったら規制しなければいけないとか、例えばですけれども、違う角度からの規制のあり方というのも考えていく必要があるのではないかと思うんですね。
水道とかガスとか、消費者に非常に身近なところも、今後、技術がどんどん進んでいくと、水道は水道、ガスはガスではなくなってくるかもしれませんね。メーターがどんどん複合化していったり、ホームエレクトロニクスでどう変わっていくか、さらにそれがデジタル何とかで、自動の何とかでというふうになっていくと、いちいち法律で、品目ごとにというんでしょうか、種類ごとに規制していたのでは間に合わないという感じがするんですね。もう少し違う角度から、これ以上は計量士が認めればいいでしょうとか、c)の計量士のあり方ともかかわってくるところですけれども、これ以上はもっと厳しく国家の水準でやっていきましょうとか、あるいは、消費者とこのぐらいかかわりのある分野については最後まで規制は外しませんとか、ちょっと違う形のあり方をしないと、今日の技術革新に制度が追いつかないんじゃないかという感じがするんですが、いかがでしょうか。
○原山審議官 全く的を射ている御発言だと思うんですけど、なかなか制度を縛る苦しいところがございまして、それは何かというと国際ルールでございます。計量器といえども貿易材であることは間違いないものですから、法定計量に関する国際的な協定がございまして、この中で、宮崎先生がおっしゃったような形の縦割に、このメーターはこういう制度で、このメーターはこういう技術ならいいやというふうになっているわけですね。それぞれの制度を守って日本に輸出したいよといったときに、おまえのところのメーターは全然違うルールで見ているので入りませんよというふうにはなかなかいかないという一つの制約があります。
他方で、おっしゃったとおり技術がどんどん変わっていく。ここへきて例えばガスメーターの技術も、今おっしゃったように全く今まで想像できなかったような技術に近年置きかわっていくようでございます。それらを含めて、少なくとも規制が新しい技術の登場を抑えつけるということだけはしてはいかんだろう。そこを何とかしたいという思いもあります。
それから、きょうは細かく御説明しませんでしたけど、一つ一つの計量器には国際的に、国家計量機関による型式承認ということをしなければいけないことになっております。その型式承認というのが、まさに御指摘のとおり、次々と新しい技術が出てくるものを国家計量機関である産業総合研究所が日々判断しなければいけないんですが、こっちの方のルールががちんがちんに固まっていますと、御指摘のとおりなんですが、これを判断するのにいちいちルールを直していかないと新しく出てきた技術は承認できないのかなんていう障害もあったりして、そういうものにどう対応していくのかという課題もあろうかと思います。したがって、一定の国際ルールという制約がある中で、新しい登場してくる技術にどう対応していくのかという、どこか中間点を探らなければいけないということではないかなと思っております。
○宮崎委員 国際的なルールは今の延長線上で当面はいくだろうという見通しなんですか。
○原山審議官 国際ルールというのは、今の線が当分の間は踏襲されるかなと思っております。当然、手をこまねいているわけではなくて、日本から各国に対してこういうふうにしてはどうかという提案をしていくという姿勢が今後望まれると思いますが、今日まではどちらかというと、国際ルールに日本の計量制度がおいついていこうと一生懸命走ってきたというのが過去の歴史でございまして、今後はむしろ各国をリードしていけるように発言していかなければいかんと思います。
○中田委員長 どうぞ、森委員。
○森委員 東京都の森でございます。
今回、計量法の抜本的な改正がなされていくような感じがいたしますけれども、簡単に言いますと、1mは全国どこへ行っても1mですね。海外へ行っても1m。貨幣制度でいえば、100
円は100
円。そういうことで、物価の関係、あるいは為替の関係で買えるものが違ったりしますが、国の中では一定の水準が保たれていると思います。
何を言いたいのかといいますと、今回の改正の中で、計量法をどう国の行政の中で位置づけていくのか、自治体として、あるいは民間にどういう水準を設けていくのか、そういうことが非常に重要なのではないかな。各自治体とも厳しい財政状況、あるいは人的状況の中で、私どもでいいますと、あと10年すると職員がほとんど変わってしまう。技術者が採用できなくなる。そういうような厳しい状況に置かれています。そういうことで、どういうふうに今後進めていくのか。
一つの方法として、消費者との関係を追求していくのも非常に重要だと思っています。私どものところは消費生活部ということで消費者との関係が非常に強うございます。ところが、各自治体の状況を見てみますと、都道府県段階でいいますと生活関連に確実に位置づけられているというのは5県だけです。それ以外はほとんどが商工関連です。したがって、私どものところだけがそういうふうになっているかといいますと、ちょっと違う面もありますけど、縦割の関係が各県でも出ているのではないかな。そういう弊害があるのではないかな。これは各自治体の置かれている状況ですので、私どもからは何とも言えませんけれども、そういう観点から考えてみますと、消費者との関係といってもなかなか難しくなってくるのではないかなと思っています。
私どもの検定所がどうなっていくかということは、計量法の位置づけによって求められる我々の役割がどこになるのか、それによって大幅に変わってくるわけですけれども、全国一律の中で何を自治体に委ねていくのか、その辺を明確にしていく必要があるのではないかなと考えております。
それから、先ほど出ていました特定計量器の見直しの中で、例えばの話として、いわゆる特定計量器には指定されているんですが、検査とか検定のないものがありますね。例えば流量計とか自重計とか。そういうようなものは果たして計量法の中に位置づけておく必要があるのかどうか、そういうのが一つ考えられるのではないかなと思っております。
それから、先ほど各省庁間の関係のお話がありましたが、これは個人的な意見として申し上げておきたいんですけれども、例えばタクシーにつきましては、車検は年1回です。メーターの検査も年1回です。事業者さんから言わせると、2カ所で検定、検査をやるよりは1カ所でできないのか。そういう要望もあると聞いているんですが、法の建前だけではなくて、ソフトの方、そちらの方も検討していっていただきたいなと思っています。最後は私の個人的な意見といいますか、要望です。
○原山審議官 最後の御提言は、非常に建設的なお話、ありがとうございます。
各自治体、公共団体さんにどういった水準を求めるのか、水準というよりも、何を求めるのかということをはっきりすべきだという御意見は、他の自治体の方からも寄せていただいて、しっかりと受けとめて考えていかなければいかんと思っております。
そうした中で、少し話が飛んでしまうかもしれませんが、実は先ほど、消費者対応の部局にあるところが複数、それ以外のところは商工関係だというお話がございました。これは事実でございまして、他方で、計量といっても、冒頭に申し上げましたとおり、必ずしも公正な取引にかかわるところだけじゃなくて、さまざまなところで「計る」ということがなされていて、各自治体さんにおいては、それこそ、ありとあらゆる局面において実は「計る」ということをやられているわけでございます。水質検査にしても、土壌検査にしても、大気汚染検査にしても、いろいろなところで「計る」ということをやられていますし、地場における中小企業の振興という観点からも、実は正確に計るということが大変大きな要素になっているわけでございまして、それらについては同じ自治体の中でもさまざまな部局で担っておられる。
一つ典型例で申し上げますと、国家計量機関であります産総研においては、東京都を中心とする各自治体の検定所の方々のいろいろな形の研修を行っていると同時に、いわゆる校正値といわれているような試験研究所等の職員の方々に対する研修も並行して行っておられる。これらは実は計量標準のトレーサビリティーに関する研修がほとんどでございまして、同じ計量にかかわることでも二つのところに対して研修を行っているということを考えても、自治体における計量ということが大変広がりを持っているということでもございますし、この辺を考えますと、実は各都道府県の検定所等が中心となって、消費者対応も必要ですし、それ以外のところの正しく計る、地域住民の安全・安心につながるように正しく計るということについてのさまざまなサポートでございますとか、事業というのがあり得るのではないかなと考えているところでございますが、これらについてはまだ未整理でございますが、それらを含めて各都道府県に対する期待、計量における位置づけというものを整理していきたいと考えているところでございます。
○中田委員長 よろしゅうございますか。
桑委員お願いいたします。
○桑委員 筑波大学の桑です。今回、資料4の9ページの第4項に関連して、先ほどの原山委員の説明にも共通しますが、一番下のc)のところに正確な計量とかトレーサビリティーという話が出てまいります。また、一番下の行に医療というキーワードが出ています。従来、御存じのように計量法は度量衡を中心にいろいろなものを整備されてきたわけですけれども、計測の計量という領域が、人の安全にも直接絡んできているのは、日本ばかりではなくて国際的に共通と思います。特に今ここで私は、計量標準をより重要視すべきだということと、それを効果的に運用するために分野や省庁を越えた横断的なシステムをつくるべきである。それをもっと強く使っていくやり方を整備すべきであるということを意見として申し上げたいわけです。
御存じのように、医療そのものが総合的なサイエンスであり、あるいは応用的なサイエンスであることから、特に医療計量が従来の経験に基づくものから、科学的な根拠をもとにしたものに発展をしてまいりました。皆さん御存じの血液検査や尿検査というのはその最たる情報手段なわけですが、やっと検査室の方も、国際ルールに従って能力を認定したり、確認するものを整理してまいりました。
正確なデータをどうやって出すかということについての唯一のよりどころは、標準物質という共通の物差です。それを細々と民間ベースで取り扱っていくという時代ではございませんで、今既に産総研がその中核にあるように日本は位置づけられておりますから、経済産業省の所轄ということではなくて、医療計量として産総研を我々は重要視して、分野を越えて横断的なトレーサビリティーが使えるような形のものを、ぜひこの中に組み入れていくことが必要ではないかと思っております。
○原山審議官 ありがとうございます。後ほど改めてトレーサビリティー等を議論するコーナーでもお話をしたいと思いますが、桑先生がおっしゃっていただいたことを何とか実現したいとは思っております。今、先生がおっしゃったこと以上につけ加えさせていただくことがあるとすると、まさに国内におけるさまざまな、例えば医療に代表されるような科学的なデータベースを蓄積し、比較することに意味があるという意味でも「ものさし」の必要性があろうかと思いますし、産総研が関与することによって国際的な比較が初めて可能になるという意味でも非常に重要性が高いんだろうというふうには理解はしております。
他方で、我々が承知していますのは、臨床医学に必要なだけでも全部合わせれば1,000
を超えるような標準物質が必要になるというようなこともあろうかと思いますが、現実に対応できる今の産総研のキャパシティーというのが、何とか10年先を行くアメリカに追いつけというぐらいの気持ちでやっておりまして、今の産総研が持っているキャパシティーでは、最小限必要となる臨床医学等への貢献もままならないということから、きょうお越しの関係省庁の方々との連携も十分とりながら、できるだけすぐれた民間能力や、先生のところを初めとする大学の研究能力等も活用する形で、日本の総力を挙げて何とかそういう基盤整備ということを実現したいと考えておりまして、その辺が一つの知恵の出しどころかなと考えているところでございます。
○中田委員長 では宮下茂委員お願いいたします。
○宮下(茂)委員 日本計量器工業連合会の宮下でございます。製造業、メーカーを代表して一言、お願いやら何やら申し上げたいと思います。
今回の計量法の改正では大規模な見直しということになるわけですが、スケジュール的に間に合うのだろうかというような心配のもとに、去る7月26日の計量行政審議会の資料をもちまして、当連合会では計量法改正対策委員会で検討いたしました。あらゆる特定計量器、18種類ありますね。この業界の人たち、おのおのの御意見を聞くと、実に数多くの賛否両論の意見が出てまいりました。
関心の高さに私自身がびっくりしているところでございますが、真摯に受けとめてこれの取りまとめに進むべきだろうと指導したところでございますが、特定計量器は、先ほども御説明があったとおり18種類ということでございまして、流通経路、使用実態も異なり、また計量器の供給には製造から販売、さらには修理業者等が多くかかわるなど、業態形態も幾つかに分かれてくるわけでございます。今回の計量法の改正を進めることに関しまして、業界全体の状況を十二分に理解をいただきたい。そして進めることでスムーズに改正が進んでいくであろうということで、特に十分な事前説明、そして検討の機会を設けていただくと同時に、世界競争熾烈な中で計量業界は戦っているわけですね。よって、計量法の改正によって新たな設備投資が起こらんような改正はないだろうか。これは多少無理なことかと思いますけれども、そのような意見が多数出たことを申し添えて、製造業、メーカーとしての感触を取り上げていただいて御検討願えればありがたいなと、このように思います。
余分なことでありますけれども、道路交通法とか、商法とか、税法、恐らく大勢の方々は基本的なものは十二分に理解されておりますが、事計量法になりますと、国民の基幹的な法律であるにもかかわらず、理解度が薄いなということで、同じ業界の中で日本計量振興協会というのがございますが、計量法に基づく啓蒙というものを、きちっと理解のできるようにしなければ、せっかく大改革した計量法そのものも、何やらということになってしまうので、ここら辺も、私事ではありますけれども、何とか手段、方法をもちまして、道路交通法、商法、民法、税法、基本的なものを理解できるような啓蒙運動が必要かと思っているところであります。以上です。
○原山審議官 ありがとうございました。計工連さんとはぜひとも、それぞれの計量器ごとの部会というよりも、全体について早い段階で私どもの基本的な考え方を共有させていただく機会を設けた上で、それぞれ分野ごとの議論を深めていただけるようにお願いをしたいと思いますし、ぜひ宮下会長からおっしゃっていただいたような機会を設けることにさせていただきたいと思います。
そのときに我々として基本的に考えていますのは、ぜひとも日本の計量器メーカーが国際的な、まさにおっしゃったような競争力を高める方向に持っていきたい。どちらかというと日本の計量法というのは、経緯もあって、他の国と比較するとユニークな点が多々ございまして、国際的な制度比較の中で、本当に日本の計量器メーカーが国際競争力を持つ上で今の制度でよいのかどうかということも改めて問いながら考えていきたい。どういう点がどうなんだというのは、ここで御披露すると長くなってしまいますので、計工連の皆さんと議論を深めながらやっていくべきだと考えます。
いずれにしても、この中に書かせていただきましたとおり、基本は規制によって新しい技術が芽吹いてくることを制約するようなことはなるべく避けなければいけないという気持ちがございますし、そういうことはないと思いますけど、規制のおかげで何とかなっているというところがもしあるなら、少しでも新しい技術が芽生えるような、芽を開く一つの契機とするような方向で積極的に考えるべきではないかというのが今の我々の考え方でございますが、いずれにしても十分話をしながら進めさせていただきたいと思います。
○中田委員長 飯塚委員お願いいたします。
○飯塚委員 特定計量器の検定・検査を中心とした検討を行う第1ワーキンググループの座長の御指名を受けましたので、あらかじめ御意見を伺っておきたいと思って発言をさせていただきます。
前回の審議会での意見をできるだけ参照するようにということでございますが、特定計量器の検定・検査についてはイクスプリシットな御意見が書かれておりません。私も余り記憶しておりませんが、資料5の〔全般〕というところを拝見しますと、基本的に、引き続き正確な計量を、それから国家関係の基盤的な制度であるから国家として重要な要素であるということ、それからムード先行でなく社会的信頼感や秩序を維持することという、現在の計量法に対する期待の御意見がかなりあったというふうに理解しております。ただし、先ほど宮崎先生からも御指摘がありましたが、国際動向や既成概念にとらわれない審議というようなことも言っておられましたし、縦割行政の問題が先ほどから出ております。それから、取引にかかわる需給両サイドからの理解が得られるべき、この辺のところが私どもの分科会でも一番大きな問題になるのかなという気がしております。
それで、特定計量器の範囲の検討につきましては、あわせて家庭用計量器なども含めて、要するに計量全体の信頼性をどうやって確保していくかという視点で議論をさせていただければいいのかなと思っておりますが、これについて御意見を伺いたいと思います。
それから、全般的に、宮崎先生の御指摘がありましたけど、計量器はこうこうこういう構造を持っていなければいけないとか非常に細かいことではなくて、必要な性能がちゃんと確保されることが大事なんで、そういうような規定の仕方の方向に持っていくべきではないかと、私個人は考えております。
それから、製造者の責任というものをもっとイクスプリシットに出すような制度にすべきではないか。ただし、資料5の最後にありますが、信頼性確保のために例えばISOの17025
を取得するのが、中小企業で困難な場合があるのではないか。もっと簡素な方法がないかというふうなことがありましたので、これについて具体的にどう取り組めるかなということを考えております。
それから、型式承認の話が審議官からありましたが、私この前、産総研の通産大臣からのいろいろな権限の委譲ということについて検討すべきではないかと申し上げましたが、特に型式承認の技術基準等々については私は全くそのとおりだと思うので、もっと現場の技術的な知見が迅速に生かされるような仕組みを取り入れていただくべきじゃないかなと思っています。
なお、最後に気になるのは資料5の執行体制のところで、自治体間のばらつきや問題、先ほど森委員からも御指摘がありましたが、この辺のところが特定計量器の検定・検査を今後議論する上で一つ気になっているところでございます。
いろいろなことを申し上げ過ぎましたが、そのよう議論の方向でよろしいかどうか、御意見をいただければと思います。
○原山審議官 すべてのポイントにお答えできるかどうかわかりませんが、基本は、信頼性を維持するというのは全くそのとおりだと思います。信頼性を維持する上で、一つは、視点の第1番目に書かせていただきましたように、同じ行政コストをかけるならば、より効果的な方法があるのではないだろうかということで、効果的で合理的な手法が見出せないかという視点は常に持ち続けるべきだろうと思います。これは計量器の検査・検定もそうですが、後ほど出てくる量目規制等にもかかわろうかと思いますし、いかにかけるコストに対して効果を上げるかという視点が要るのではないかと思います。
それから、信頼性を維持する上で、最後に飯塚委員が言及されましたが、実は自治体間におけるいろいろな御苦労がありますし、跛行性もございます。それがわかっているとすると、今のままで、ただ突き進むだけで本当に信頼性を維持できるのかというのが基本的な命題としてあろうかと思いまして、そうだとすると、ここにありますような外部による計量士だとか、国際ルールにのっとったJISの認証機関の力だとか、それらも活用する形で信頼を維持するということにこたえていくということなのではないかということで、実情をよく分析しながら、どうやって信頼性を維持していくかというのが大事な命題になるのではないかと考えております。
それから、製造事業者の責任を明確にとおっしゃっていただいたのは、先ほど宮下委員の御質問に対して、ここでは説明を省きますと言ったことなんですが、まさにその辺が、国際的な計量制度等の比較でいくと、例えば計量器メーカーにおける品質管理ということについて現在の計量法が十分にこれを確保しているかどうかとか、場合によっては見直さなければいけない点があるかもしれないという意味で、飯塚委員のおっしゃっていることに、私も同じような気持ちを持っているところはございます。
それから、17025
に代替するというのは、必ずしも検査・検定のところではない分野で、むしろ最初の分類でいけば計り方といったところで、現在「証明事業者」というような仕組みで計量法では扱っているのでございますが、ここの部分が、すべてを17025
で仕切るというのは少々、日本の現状を考えると難しいのかな。他方、私どもに寄せていただいている御意見の一部には、本当に国民の安全・安心にかかわるような計測・計量についてはある程度、閾値を高くして、本当に計る実力のある人がそれを担う方が望ましいのではないかという人もおられます。その辺のバランスを本当に国民の立場に立ってどうとるのかというところが一つの課題ではないかと考えるところでございます。
○中田委員長 よろしゅうございますか。
どうぞ、河村さん。
○河村委員 主婦連合会の河村です。非常に素朴な、消費者としての考えを述べさせていただきます。
青山委員が国民は十分に守られていると感じているから余り苦情もないとおっしゃったと思うんですが、その上で規制対象を削減する方向でということに懸念を述べられました。私の実感は少し違いまして、守られているという自覚すらない。よく説明会なんかでおっしゃっておられますが、空気のように、正しいのが当たり前というふうに思ってきたように思うんですね。守られているというよりは、疑うことを考えてもみなかったということだと思うんですね。
そこが問題だというようなニュアンスのことをおっしゃられるときがあり、その辺はちょっと私は気になるんですけれども、多分、規制などは緩和されていく方向になるんだと思いますし、効果的で合理的というのは本当に正しいことだと思いますが、例えばここにも住民の主体的・積極的参画と書かれていますけれども、いつも買うときに「これは間違っているんじゃないか」と緊張しなければいけない、みんながそれを疑わなければいけない、つまり、だまされたあなたが悪い、安心と安全は自分たちの自覚によって得るものだということを、弱者もたくさんいる国民全体に求めるのは、やっぱりそれは少し違うのではないかと思います。
審議会の議事録にも啓蒙と啓発ですとか、セミナーなどがあげられていましたが、たとえばはかりを買うときに、あるいは食べ物を買うときに計量についての判断材料になる表示がたとえば書いてあるとか、お店が、うちはこれだけの誤差の範囲内であるなどと表示し、それを頼りにして店を選ぶということもできます。たとえば先ほどの長さ尺のようにJIS2級でしたら昔の計量法の合格範囲であって、1級のものはもっといいというような、私たちが全然知らない情報を売り場に書いてあるというようなことです。買い物の機会に目にするところにそういう情報があれば、各消費者が計量の勉強などをしなくても、必要のあるときに感じることができると思うんです。
先ほどの病院なんかのことについても、ここの病院はこれだけ正確であるとか、これだけの誤差に入っているということがわかっていれば我々は選ぶことができますし、そのことで病院もより正確にしようと考えていくと思いますので、より自覚的な消費者の行動ということになるのであれば、表示とか情報提供ということがはっきりなければいけないと思います。それで、その情報提供が偽りであったときのペナルティーというものもはっきりさせておかなければ、その表示を信用することができないのではないかと思います。
○原山審議官 法定計量にかかわらない非常に幅広い話をいただいたので、一言でお答えしづらいですが、必ずしも全部について河村さんに賛成できないところがありまして、それはどういう点かというと、一般消費者の皆さんに、弱者なんだから、全般的に、すべて守られるように何か手配しなさいということだと、僕はちょっと違うんだと思うんです。いろいろなものについて行政コストをかけなければいけない中で、少なくともこれについては関心があるんだと示していただいているものにリソースを配分していくべきだと思っていまして、一般の皆さんが、例えば店で売っている食品等の計量についてさほど関心をお持ちでないというならば、そこについてかける行政コストは相対的に少なくていいのではないか。もっとほかに、賞味期限とか、産地の問題とか、政府全体としてかけるべき行政コストがあるかもしれない。まずは消費者の皆さんがどれぐらい計量というものについて関心があるのかということは、我々としては常にアンテナを張って感じながら、国も地方自治体も行政をしなければいけないというのが基本ではないか。
ただし、その際に、関心を持っていただくに値するような情報を今日まで我々が十分提供してきたかというのは、極めて不十分だったかもしれない、不十分だっただろうというところは大いに反省しなければいけないと思っております。そういう意味では、どういう形で情報をアベイラブルにしていくのかというところは今後の行政のあり方として大変大事だと思います。
話が突然飛ぶようでございますが、今後、仮に計量器のところでJISマークやなにかが適用できるようにすると、新しいJISマーク制度というのがこの10月1日に施行されるんですが、JISのマークの横には必ずそれの番号が入ります。その番号を例えばウェブ上で打ち込んでいただくと、JISマークのその番号は何を保証してくれているんだということがそれを買っていただく消費者の方々にわかるような情報提供ができないかということを今模索しているところでございますが、そういうような形で、知ろうという意識のある方に、ITツールも活用しながら必要な情報提供をするという方法もあるのかな。これなんかはJISマークの活用の方法の一つではないかなと考えているところでございます。
○中田委員長 それでは、特定計量器につきましては必要があれば戻ることにいたしまして、次の商品量目制度等々につきまして御質問あるいは御意見等がございましたらお願いいたします。
石井委員どうぞ。
○石井委員 神奈川県計量協会の石井でございます。
今回のこの見直しの方向性の中で、商品量目につきましては全く私が今考えているようなイメージで、すばらしいなと私は感動しておりますが、歴史的に、実は平成5年に計量法が改正されましたときに、その2年前にOIMLが日本の計量法と整合性をお互いに持とうということで検討をしました。商品量目の中でも当然その検討がなされたわけでございます。商品の種類とか、公差とか、そういったものは今回の計量法の中にほぼ取り入れられたわけでございますが、いわゆる平均値手法と申しましょうか、統計的手法における量目検査の方法というものが、たまたま取り入れられなかった。
OIMLにおけるIQマーク制度というのを今検討しておりますが、ここに書いてございますeマークは既にヨーロッパ等におきまして長い歴史を持っております。それらはすべて平均値手法というもので検査をされている。日本の場合にはあくまでも個別検査でございますから、ロットが万とか千とか非常に大きな場合は、やればできますが、かなり難しい。ということになりますと、外国から見た場合、日本の計量で量目は大丈夫なのかな。実際には各企業の担当者が非常に努力をされて、量目検査の方法を確立をしてやっていると聞いておりますし、現実にそうなっているはずです。
旧法といいますか、平成5年の前には統計的手法における検査方法も一部残っていたんですが、それも削除された。こういう平均値手法におけるものにおいて罰則を適用するとか法律の何かを適用するということが日本の計量法になじまないのか、日本の法律的な体系になじまないのか、つまり、悪いか、いいか、公差が出るか出ないか、そこだけが判断基準のように思われたわけですけど、勉強不足でございますが、外国が平均値手法というものを入れている現状におきまして、日本もその辺をぜひ御検討願いたいと思うわけでございます。以上、よろしくお願いします。
○原山審議官 これも必ずしも記録されている根拠があるわけではないんですが、日本の計量法になじまないというよりは、どちらかというと一般の日本の消費者の方々の御理解を得にくかったというのが実際の背景ではないかという気がいたします。平均値手法はある意味では合理的な仕組みでございますし、グローバルな考え方からいけばそうだと思うんですが、日本においては、一人一人の消費者が自分が手にするものが決められた値よりも低い可能性がある、低いわけではないんですが、可能性があるということについて、感覚として受け入れづらいという御意見が多かったというのが背景ではないか。
他方、新しい仕組みを導入したときに、日本の仕組みだけが特殊で、一種の貿易障壁となるのではないかという指摘が海外から寄せられる可能性がゼロではないと思います。一般的に、国際的なやりとりのときは、本当にそれが必要だとなれば、思いつきで言ってはいけませんけど、それこそ1級、2級というので、どっちでもいいよという方式もあろうかと思いますし、何よりも任意の流通制度でございます。ヨーロッパのやつは強制マークでございますので、日本において強制的な仕組みとするのであれば今おっしゃったような問題が生じると思いますが、恐らく日本でこういうのを導入するときは、任意のマーク制度みたいな形になっていくのではないか。自分のものについて、正しくやっていますということを表示したいという方が活用されたらどうかというような緩やかな方向であれば、平均値手法でなくても許されるのかな。そういうのをトータルで考えて、どんな仕組みがいいのか考えていただけたらと思います。
○中田委員長 原山さん、今の平均値手法というのは、必ずしも御理解いただいていないと思いますので、簡単に御紹介していただけますか。
○原山審議官 石井さんから解説していただいた方がいいかもしれませんが、例えば100 kgのお砂糖を100
袋に分けるという場合、最初の100
kgが正しく計れていれば、一つ一つの袋に入ったものが1kgをほんのちょっとずつ下がっているもの、ふえているものがあるかもしれませんが、一定の幅におさまっていれば、平均値として正しければトータルとして正しく計量されているものと考えようというのがeマークを中心とする海外の考え方でございますが、日本の場合ですと一つ一つの袋が一体どうなんだろうかというので、最終的な出口のサンプル調査で、これは何パーセント低いぞということでやりますので、平均値というのは、全体としてその数値のところにおさまっていれば、1個1個は少し前後しているものがあってもいいではないかというのを許容する考え方ということでございます。
○中田委員長 鈴木さんどうぞ。
○鈴木委員 時間の関係もありますので、これはこれから議論されていくことなんでしょうけれども、今のところの私のこの紙に対する考え方を表明しておきたいと思います。
まず6ページの不正業者の公表の問題ですね。先ほどから投入行政コストというお話がありますけれども、これから行政の計量化がどんどん求められていくときに、検査とか検定とかにいろいろな部分が影響して、それに対する工夫をしていくことが必要なんでしょうけれども、量目規制に関する部分において公表というのは非常に大事なやり方なのではないかと思います。公表した後の影響とかを行政府は考えられる部分もあるんでしょうけれども、公表されたことによって消費者なり生活者がどう判断するかという、判断に従っていくようなやり方というのは一つのいい方向で、ほかの法律でもいろいろな形で公表ということは必要なのではないかと思います。
それから、次にサンプル調査と品質管理という問題があります。我々は食に関する部分が大きいんですが、食の安全・安心ということが非常に強く求められておりまして、取引先との関係で、例えば原産地表示をするようなときはいろいろな内部的な、あるいは取引先を通じた管理が求められるわけですが、そうしたことを行政がサンプルを添付するという形でいくよりも、むしろ企業の自覚に任せる、あるいは品質管理という方向に持っていくということも一つのいい方向なのではないかと思っております。
それからもう一つは、大事な度量衡というか、国の根幹をなす計量制度、これは放っておくと、食の安全・安心の表示についてもそうなんですけど、組織の中で、たがが緩むというか、表現が適切でない可能性もありますが、しっかり対応していこうという流れがどうしても薄まっていく可能性があるものですから、品質管理という流れをつくってしっかりそこを対応してもらうということが必要ではないかと思います。
それと同じような感覚で、いろいろな側面でいろいろな制約があって、量目規制について、我々のところには、そういうことに対応していこうという事業者もいますし、検査の対象にもなったりするわけですが、そのスコープから外れている、例えば中小企業とか、町の商店とか、そういう方がいらっしゃって、大も小もこういった根幹の制度についてしっかり対応していくことは当然必要なことで、大なり小なりの対応の仕方があると思うんですけれども、商店街でまとめて対応していくような流れをつくっていくというのも非常に有効な方法ではないかなと思っています。以上です。これは意見です。
○中田委員長 青山委員どうぞ。
○青山委員 今の鈴木委員の意見と同じで、私も「不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく」というところ、行政指導とともに消費者の信頼確保、行政が氏名公表等をなさっていただいて、そういう情報提供によって消費者がそれを選択するという意味では、やはり車の両輪的な役割を果たすのではないかなという気がいたします。経済産業省の特定商取引法ではかなり活発に公表制度を利用しているということで、消費者が選択する一つの目安になっておりますので、そういう意味では、大変だろうと思いますけれども、公表制度、ぜひ頑張ってやっていただきたいなと思います。以上です。
○中田委員長 どうぞ。
○橋本委員 私も公表制度についてちょっと申し上げたいんですが、私は専門は行政法をやっているんですけれども、制裁としての公表といいますか、法で決められたことの実効性を確保する手段としての公表というものはワークしにくい。これは定説になっているんですね。一罰百戒型の公表というのはやりにくいし、逆に公表することによって、それ以下だったら許容されているということを言っちゃうことになるので、そういうこともあって機能しにくいので、公表という制度をつくるときの考え方は、国民なり消費者なりへの情報提供としての制裁という形に位置づけを変えて、そうすれば、自分が知っていることを全部公表するというのが行政の責務になるし、公表された国民、消費者が自分で判断して合理的な行動をとる。そういう形に仕組みをつくりかえていけばうまくいく。
今までの公表制度というのは、事前に言って、言うことを聞かないと公表と、そういう公表制度なので、もうちょっとうまく機能するような形に変えていただきたいなと思っています。
それと関連するんですけれども、この審議会の議論は、大臣の諮問があって答えるということになるわけですが、私の立場からいって、重要なことは、法律の条文が今までどうで、それがどうなるかということなんだろうと思うんですね。今までの審議会なんかの考え方は、答申が出て、基本的な方向が決まって、その後どういう条文ができ上がっていくかというのは霞が関の内部の話ですよというところがあったと思うんですね。各省協議があったりいろいろあるんだろうとは思うんですが、それは20世紀型といいますか、古いタイプのあり方だろうと思うんです。条文そのものが大体どういうものになって、どこがどう変わって、どういうふうになるんだ。最後は法律をつくるわけですから、条文がどうなるのかというところを、でき上がったものでなくてもいいので、かなり早い段階からイメージできるように示していただきたいと思うんですね。
そうすることによって法律自体の国民に対するわかりやすさがアップするだろうし、法律をつくるプロセスで一体霞が関の中でどういうことが行われているか、そこがわかるようになるし、公表制度にしたって、公表制度が重要で、つくってくださいというのは大賛成なんですが、今までの条文のつくりがこう変わって、それはこういうふうにあるんだと、法律レベルで説明をしていただければ、わかりやすく説明しなければいけないので、わかりやすさがアップすることになるし、先ほど宮下先生がおっしゃっていたように、でき上がった法律が広く国民各層にわかりやすいものとして、説得力を持ってこういう改革をしたんだということがアピールできることにつながるんだろうと思うので、そこを少しお考えいただきたい。要望したいと思います。
○中田委員長 森委員お願いいたします。
○森委員 今の量目の関係でいいますと、今後の規制の仕方といたしまして、使用者の不正を抑制する、あるいは品質管理の観点から考えていく、これは新しい考え方で、非常にいいのではないかなと思います。
ただ、実際上、立入検査をやってみますと、どこまでが不正なのか、この線引きは非常に難しいかと思います。私どもは年間を通じて立入検査をやっていますが、ことしの夏の商品量目、昨年の年末もそうなんですが、一番多いのは、中小、300
m2以下のスーパーマーケットがかなり多い。ただ、その内容を見てみますと、風袋を引き忘れたとか、ラベルを張り間違えたとか、そういう単純ミスが非常に多い。実際上、不正に使用していたというケースは今のところ聞いたことがありません。したがって、こういう制度を持つことは非常にいいんだろうとは思うんですけれども、逆に言うと、この法律があってどのぐらい実績が上がったのか。我々がやらざるを得ないんですけど、そう言われたときに私どもも困ってしまう部分が出てくるのではないかな。
本当に悪意でやっているというのは、静岡の燃料油業者がメーターを操作したというのが1回あったとは聞いています。それも、いわゆる計量法ではなくて、詐欺罪で摘発されたというふうに聞いております。ですから、実態上、不正を見つける、あるいはどこまでが不正なのか、その見極めは非常に難しい部分があるのではないかなと思っています。
○原山審議官
森委員のおっしゃるとおりで、何が不正か見極めるのが難しいがゆえに、結果として、橋本先生の話ではないですけど、氏名公表まで至ったこともない。どういうところまでいけば氏名公表までいきましょう。ところが、それをやると橋本先生がおっしゃった、そこまではいいんだと結果として示すことになってしまう。この組み合わせの難しさで、実際にそこまでいかないんだけれども、出口調査をずっと行政コストをかけてやっていただいている。やった結果、20年間以上にわたってどこでも5%程度のおっしゃったような小さな不正はありますが、それも変わっていない。ここをどうやって脱却していこうか。同じコストをかけるならもっと効果があることをやった方がいいですね。
そういう意味では、氏名公表というのは、一定の何かの形でのガイドラインはつくるけど、そっちでやるよりは、今あったような中小のスーパーさん、町の商店街さんも含めて、きちっとした品質管理をやることを自分たちとしてPRしていこうというインセンティブを与えるような方向になったらいいな。先ほど来あった平均値手法みたいなものですが、法制度上、それこそ一定の器差を設けて、定められた400
gの肉ならば400
gよりも一切下回っちゃいけないという規定はできなくて、一定の範囲内ならいいですよとやるわけですが、例えば、自分のところの商店街は、あるいは自分のところのスーパーは、法律で決められた数値を下回ることはしないような誠実な商売をしています、そういうような管理をしていますということを認定してあげるような形で、自分のところの商店街はより誠実な商売をしていますよというふうにつながれば、厳しい出口の規制よりは、日本全国をカバーするようないい仕組みにすることも可能かな。
ただ、それが計量法体系の中で書いてよろしいものかどうか、そういうものはあろうかと思いますが、そういうことを含めて取り組んでみたいなと思っているところでございます。
先ほど中堅以下のスーパーということをおっしゃっていただきましたが、東京都さんは本当に立派だと思うのは、そういうところまで実際上見ていただいているわけですが、全国的な自治体さん、それこそ職員数が限られたところであると、年に2回ぐらい、本当に大手の流通業者さん、スーパーさんや百貨店さんを少し検査してみてということで対応するのが体力からいってぎりぎりかということで、今のままでは大半の国民との接点を担っている中小の商店等における正しい計量というところについてカバーできていないのを、規制というよりはエンカレッジするような仕組みでカバーできたらいいなと考えているところでございます。
○中田委員長 宮下正房委員お願いします。
○宮下(正)委員 私は第2ワーキンググループの座長になったわけですが、さっきから、このグループは何をやるのかと、お話を聞きながら悩んでいたわけでございます。第1と第3は比較的わかりやすいけど、第2は一体何をやるのか。
まだわかりませんけれど、今の原山審議官の応対の中に、中小商業とか、商店街一般の方々の問題、大手流通業への期待はあるけれど、そっちの方は十分期待できないのではないかという御発言に近い。だけど日本には130
万の小売店があって、その50%は一人か二人の小売店ですよね。そのうち圧倒的に多いのは食料品店なんですよ。生鮮とかいうような面でね。
もちろん、チェーンストア協会さんに入っているような有力な大手、100
社ぐらい会員さんがいらっしゃるんですか、そこは政策的に言わなくたって、こういうムードを起こしていけば必然的にやってくださるし、恐らく計量士というのをどんどんこれから生み出してくると思うんですよ。問題は中小商業、あるいは商店街に張りついている、ある意味で厳しい方々、しかしながら、これから日本の社会はどんどんどんどん高齢化されてきて、スーパーさんに行く人もいるけど、高齢者は近くの店にみんな行くわけですね。中小の商業の方々にどうやって計量の認識を持ってもらうか、あるいは新しい計量法を重視したお店の計画をやるかが非常に重要なポイントのような気がいたします。
そういう意味で考えますと、私は計量は素人なんですけれど、計量法とか計量士とか、こういうものに対するPRが非常におくれていますね。全般的に認識されていない。私は、計量士とか計量法とか、こういうことをもっともっと積極的にPRしなければいかんなと痛感しております。それは一般の消費者だけじゃなくて、例えば私は大学に足を突っ込んでいるんですが、今の大学生は資格への挑戦意欲が非常に強い。資格をみんな取りたがっていますよね。ですから、若い学生たちにもこういうものの重要性、あるいは計量士という資格制度があるんだよ。そこへの挑戦を大いに大学等々を通じてPRしてもらったらどうかと思います。
それから、今、中小商業に対する資格制度に販売士という制度がありますね。商工会議所が旗を振っている。あの販売士の資格制度というのは主に商業主の方々が挑戦する資格制度ですから、そういう内容にもこういうテーマを織り込むことによって必然的に普及もされますし、とにかく、たくさんの計量士を生み出すことが大事ではなかろうかと思っております。ひょっとしたら第2ワーキンググループはそんなようなことをやるのも一つの方向かな。それでいいんですかね。以上です。
○原山審議官 ありがとうございました。おおむね宮下先生におっしゃっていただいた方向だと思っておりますが、大手でも、話を伺いますと、ちょっと油断すると、実は裏のキッチンかなんかでお刺身やお肉を入れている方々がパートでどんどん変わってしまって、風袋をどう計るかとか、基本的なはかりの使い方とか、訓練を受けないまま扱っているということが起こってしまうということなんで、原則、おっしゃったような中小、商店を含めて広くみんなに考えていただけるような仕組みにしたい、PRもしたいと思っておりますが、大手の方々でも一定の緊張感を持って継続していただく、特に人材の教育訓練という意味では、放っておくとこの辺は手が抜けちゃうということも聞いておりますので、それらもあわせてカバーできたらなと思います。おっしゃったとおり、PR等は努力したいと思います。
○中田委員長 それでは、時間も大分たってまいりましたので、計量標準供給、トレーサビリティー、あるいは環境計量証明事業者制度、その他全般につきまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
お願いいたします。
○田畑委員 日本環境測定分析協会の田畑でございますが、私どもの業界における環境測定・計量に関する社会的要請は、今日のアスベストに代表されますように、ますます多様化、高度化しておりまして、国民の関心も高まっております。特に質の高い測定データを提供していくことに対して、業界としてその使命は大きいこととしているわけでございます。そのため、業界を挙げて測定データの質の向上に向けた技術力の維持・向上に努めております。先般も当協会の活動、取り組みが国際的な測定・分析機関でありますUILIでも評価されまして、日本での取り組み、特に技能試験における方法などについて会議の席で発表することを求められたところでございます。
そこで3点について意見とお願いを申し上げたいんですが、一つは標準物質なり基準物質の濃度に対する整備を急いでいただきたいということでございます。
二つ目は、資料5の最後のところに書いてございましたように、先ほども御質問があったことでございますが、人の要素、能力が大きいということで、ISO17025
を取得するのは困難であるが、これを補完するような制度というところで解説が審議官からあったわけでございますが、計る実力のある人に頼むということでございますが、そういう仕組みを何かお考えいただいているのかどうか、お話しいただければありがたいと思います。
3点目は、私どもは今後も分析者の質の向上、技能試験の強化について取り組みを進めていくわけでございますが、こういうことをするとかなりコストがかかるということでございまして、残念ながら実態としては測定現場ではますますコストの削減圧力が強まる中で、競争が激化しております。質を維持していくための経営環境は、そのために大変厳しいものになっているわけでございますが、こういう点にも配慮をしていただきまして、国民生活に極めて重要な環境測定分野における測定データの質的確保が今回の改定によって可能になるように期待しているところでございます。
○原山審議官 2番目のお話で、補完することを何か考えているかという御質問でございますが、今は御案内のとおり、MLAPを除いて登録制度になっているところでございますが、その登録の要件をどう書いていくのかということにかかわるわけです。そのときに、必ずしも法令上に書き込まなければいけないのか、あるいは、それぞれの事業者の情報公開、情報提供の中で扱われるような任意の認証のような仕組みと組み合わせるという仕組みもあるのか。
現在設けていますハードウェアを中心とした規制体系から急速に変わって、とても要件が厳しくなる。しかも人の要件等を判断するとなると、単純な登録制度ということでいいのか。普通でいけば認定とかなにかの仕組みにならなければいけないという意味で、ちょっと飛躍があるかなと思っているもんですから、現在の登録制度の要件を変えるのと、別の、認定制度の組み合わせみたいなものも方法としては考えられるかもしれないと考えておりまして、まだクリアなアイデアがあるわけではございません。
それから3番目ですが、難しいんですが、最低限でもきちっとした国家計量標準、あるいは標準物質へのトレーサビリティーというのを確保してくれということを要件とすれば、それについては定期的に、場合によっては都道府県等からも検査に入らせてもらいますよ。その記録はちゃんと見せてもらえますかということになれば、現場でやられていておわかりになるように、皆さんが言うような試料ですとか、標準物質にかかわるコストというのはかなり大きなウエートを占めるものであり、そういったものにきちっとコストをかけてやっておられるということさえ確認できれば、最低限、ないとは信じますけれども、データの捏造のようなことはできなくなる。という意味では1段階、少なくとも閾値は上がるものと思いますし、真正面から必ずやってほしいというところを要求していくことによって、最低限めちゃくちゃ安易なことはできなくなるかなということは考えておりますが、それ以上のいい知恵を持っているわけではございません。知恵があったらお貸しいただきたいと思います。
○中田委員長 山崎委員お願いいたします。
○山崎委員 非常に深く、いろいろな角度から改正の方向を考えておられるということで、感銘を受けております。基本的な点で、いろいろな方からの御意見が出てまいりましたが、計量というのが非常に大切なことで、国の基本にかかわることであるにもかかわらず、十分広く認識されていないという御意見がありましたが、私も全くそのように思っております。その原因を考えてみますと、公差とか誤差とかいう考え方の原点には、真の値が存在し、それがわかっているが、それが何らかの形で覆い隠されているというような考え方があります。実は真の値というのはそう簡単に知り得ないということでして、長さとか面積というのは比較的簡単に真の値らしきものが実感できますが、環境、特に濃度とか、微量に存在する物質のようなものになりますと、真の値を明確にするということ自身が大変なコストもかかるし、努力も要るし、高い技術が必要であるということです。真の値というものがそう簡単に得られるのではなくて、むしろ大切なことは不確かさをいかに減らすかというところに計量の大切なところがあるんだという切り口でシステムを構築していった方がいいのではないか。
第2は、真の値が存在して、そして誤差があるという話なんですが、実際は真の値というのはわからないですから、誤差もわからないですね。そうすると先ほどのお話のように、何が正しくて、何が不正であるかということの見分けも、誤差だけに頼って判断をしますと最後のところで悩むということになるわけです。もともと不確かなものですから、不確かさをいかに減らしていくかという考え方に立って、計量というのはそういうものだという考え方に立っていく。
そうすると、不確かさを表示する。そして、悪くてもこれより大きな不確かさはないということも保証できるという考え方に立っていくような改正が必要と思います。長さとか面積は真の値らしきものが見えやすいですが、環境の物質の濃度とか、計測標準の供給、そういうところになりますと不確かさがだれが見ても非常に大切であるということが理解しやすいので、そのあたりから不確かさというものを導入して、むしろ誤差というものを二の次にして、不確かさを中心にしていくという考え方に切りかえていった方がよろしいのではないかと思うんです。
○原山審議官 今井委員が日本を代表して、パリで、あるいはジュネーブで不確かさの概念というものを国際的に調整しようということで取り組んでおられて、不確かさということ自身も国際的なコンセンサスをとるのが容易ではないんだと思うんですが、いずれにしても山崎先生のおっしゃったとおりだと思います。
全面的にそれに切りかえられるかどうかは別として、一つ二つの試みとしては、JCSSというトレーサビリティーの考え方を基本に置く。基準器ではなくてそれでいこうというのは、不確かさということをきちっと取り入れていこうという試みの一つでございます。
もう一つは、きょうは細かく御説明しませんでしたが、個々の計量器についての外部への情報提供、表示の仕方の標準化を図っていくことによって、それぞれの計量器の能力について正しくユーザーに情報提供していく。そのときには恐らくは、正確にいくならば不確かさがどれだけあるのかということを取り入れていく。ただ、これも普通のヘルスメーターにそれを書かれても消費者の方はわからないので、一般の人にも理解されるような表示の仕方でありながら、おっしゃったようなコンセプトを導入するという、バランスをとるのは容易ではないと思いますが、表示の仕方の標準化という中で不確かさというコンセプトを取り入れていくという方向もあるのではないかと思っております。
いずれにしても、山崎先生がおっしゃったような、必ずしも真値というものは存在しないんだ、むしろそれにいかに近づけていくかということなんだという考え方を、我々のみならず、関係各省においていろいろな形で計量・計測をやっていただいている方も含めて共有していただくということは、安全・安心の向上という観点からも大変大事なことだと考えます。努力してみたいと思います。
○山崎委員 不確かさを少しでも減らすことにより、真の値はわからないということなんですが、真の値にそれをいかに迫っていくかというところに一つの緊張関係が生まれるわけですね。それにより計量の大切さが認識されてくるように思います。
○中田委員長 ありがとうございました。
時間の関係で、本日はここまでとさせていただきたいと思います。大変御熱心に審議をいただきまして、感謝を申し上げるところでございます。
各委員、きょう御発言いただけなかった方々もあるわけでございますが、ぜひ御意見、御質問等を事務局に積極的にお寄せいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
局長あいさつ
○中田委員長 最後に、本日、齋藤局長が御臨席いただいておりますので、一言お願いいたします。
○齋藤局長 齋藤でございます。きょうはありがとうございました。
きょういただきました御議論、まさにきょうから始まるというところでございますので、十分御意見をお伺いしながらやっていきたいと思っています。ただ、基本的な部分で特に考えております点は、計量は何といいましても日本の経済社会あるいは国民生活の基礎であります。基礎である以上、変わっちゃいけない部分というのもあろうかと思います。一方で変わらなければいけない部分というのがあろうかと思います。
変わっちゃいけないというのは皆さん御承知のとおりだと思いますので、あえて変わらなくてはいけないというところに関して、特に今回、抜本的な見直しをお願いしているということから申し上げますと、現在、一番日本社会が求められている点というのは、いろいろなニーズはありますけれども、基本のところは情報開示、情報公開だと思います。
情報公開というのは、科学的にというと大げさなんですが、二つのことで実は成り立っているんですね。一つは、情報がだれにでもわかるということになると、必然的に数値になる。私は環境もやっているものですから、きょうはこういう格好をさせていただいていますが、本当は「そんなに暑くなくて、ぎりぎり何とか快適に過ごせる温度」と言った方がいいんでしょうが、「28℃にしてください」と言わざるを得ない。情報開示をして皆さんにやっていただくというときに、数値が使われるというのがほとんどの行政領域できているというのが一つの大きな変化だと思います。
2番目は、昔は、おれが言うんだから確かだという世界だったんですが、第三者認証時代といわれるやつで、数値をだれが見てくれるかという話で、昔は、一流メーカー品ですといえば、おれの信用で買ってくれといえばよかったんですが、残念ながら今はそういう世の中ではなくて、だれかが数値をもって認証するという二つの大きな流れになっているかと思います。その中で計量法も、新しいニーズにどうこたえていくかということかと思います。
一言で言いますと、今のものを満たすためには、原山審議官も言っていましたが、物をつくって、それが正確なものですといって渡せばいい時代ではなくて、まさに社会のシステムの中でそれが機能していくということかと思います。先ほど消費者の立場というのもありましたが、弱者で保護されるべきかどうかという議論もさることながら、必然的に社会システムの中で一定の役割を消費者自身も果たしていかざるを得なくなってきているという点は、この検討に当たって基本的な視点の一つとして置いていただきたいと思います。その上で、計量法は非常に幅広い分野をカバーしておりますので、それぞれの場面場面でどのような社会的システムをつくっていったらいいか、その中で計量法という強制法規がどのような役割を果たしていったらいいか、各分野に応じて御議論をいただきたいと思います。
いずれにしましても基本は、ある数値をつくる。それを守ってもらう。社会全体がシステムとしてそれを使うという視点で、それを基本にそれぞれの場面でどのような仕組みをつくっていったらいいかということで御議論をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○中田委員長 ありがとうございました。
最後に事務局から日程等につきまして御連絡をお願いします。
○籔内室長 次回は、この小委員会が担当しております横断的な課題である単位や、国民への情報提供のあり方を中心に御審議いただくことを予定しております。次回の日程は9月末をめどに考えておりますが、改めて各委員の皆様に日程を伺いながら決めたいと思います。さらに、第1から第3のワーキンググループに関しましても、9月上旬から順次開催していきたいと思っております。別途日程調整等をさせていただきます。
以上です。
○中田委員長 それでは、本日はこれで終了いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
閉 会
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