1.日時:平成17年8月8日(月) 14:00〜16:00
2.場所:経済産業省本館17階第1・第2・第3共用会議室
3.出席者:中田委員長、青山委員、飯塚委員、石井委員、今井委員、上田委員、小野委員(代理出席中野氏)、甲斐委員、河村委員、桑委員、鈴木委員、田畑委員、橋本委員、宮崎委員、宮下(茂)委員、宮下(正房)委員、森委員、矢橋委員、山?委員、吉田委員
4.議題:議題1 計量制度検討小委員会の審議の進め方について
議題2 新しい計量行政の方向について
議題3 その他
5.議事要旨
(1) 第1回委員会開催にあたり、委員長から委員会の公開等、計量制度検討小委員会の審議の進め方について説明があり、了承された。
(2) 「新しい計量行政の方向について」について、事務局から説明が行われ、質疑応答が行われた。委員からの主な意見は次のとおり。
・自動はかりについて、日本だけが規制対象となっていない理由はあるのか。流通の幅広い分野で使用されているが、故意に不正に使われることは無いのか。
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計量法により消費者の安全・安心が守られているのだと思う。重複規制となっているのであれば整理すべき。しかしながら、「規制対象を削減する方向で見直しを行うべきではないか。その際は消費者保護に重点を置くべきではないか。」とあるが、矛盾しないのか。
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何を規制対象とするかを一つ一つ拾っていくと、技術革新に追いつかないのではないか。また、複合化した機器が出てくると一品目毎に規制しているのでは間に合わないのではないか。新しい仕組みを考える必要があるのではないか。
・1mは全国どこへ行っても1mであり、海外でも1mは1m。統一を図ることが計量法の目的であるが、今回の改正で自治体の役割をどう位置付け、どの水準を自治体に求めるのかはっきりしない。今後10年で職員も入れ替わってしまう。
・計量には消費者の視点は重要であるが、商工関係の部署が行っている自治体もあり、縦割りの弊害がある。タクシーは、車検が年1回であり、メーターも年1回検査しており、事業者からは一カ所で出来ないかと言われる。建て前はともかく、ソフト的にうまく対応することはできないか。
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計量・計測は人の安全・安心に密接に絡んでいる。医療計測は経験に基づくものから、科学に基づき行われるようになってきた。臨床検査も国際ルールが導入されるようになってきている。しかしながら、正確さを担保するものは標準物質であり、これを整備・供給していくため、省庁を超えた横断的なシステムの整備が重要。特に、医療分野では科学的根拠が求められており、トレーサビリティの確保が必要。
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7月26日の計量行政審議会後、(社)日本計量機器工業連合会(計工連)では、計量法検討委員会を開いて今般の計量制度見直しについて検討したところ、賛否両論であった。計量法の改正により新たな設備投資が伴うことがないようにとの意見もあった。18機種の特定計量器は、それぞれメーカー、修理事業者、流通経路、使用実態等が異なり、業界全体の状況を理解頂きたい。特に、十分な事前の説明と検討の機会を設けてもらいたい。なお、計量法は、国民の基幹的法律にもかかわらず、理解が不十分。様々な手段、方法を使って理解できるような啓蒙が必要ではないか。
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先日の計量行政審議会においては、引き続き計量は重要な要素であること、ムード先行ではなく、などかなり意見があった。ただし、既成概念に囚われないとの意見もあった。特定計量器の範囲は、家庭用計量器も含め議論すべき。
・計量器は、詳細な構造や仕様を規制するのではなく、満たすべき性能だけを書くべき。また、製造者の責任を明確にさせるようにすべき。さらに、産総研へ権限委譲をし、迅速に現場の知見が反映される仕組みを整えるべき。自治体に格差が生じている事実は気になるところ。
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消費者にとって計量は空気みたいなものであり、守られているという自覚もなく、疑うこともしてこなかった。一方、消費者自らがそれぞれ勉強し、皆がセミナーに行くことは現実的ではない。このため、買い物をする際などに、誤差や正確さについて情報が分かりやすく表示されているとよい。病院も、こうした情報が分かれば選ぶことができる。ペナルティーもはっきりさせておくべき。
・商品量目制度について、平成5年の改正ではOIMLとの整合性について検討がなされた。しかしながら、欧州で取り入れられている統計的手法については、日本の法律になじまないとされた。今回の議論においては是非議論すべき。
・不正業者について、規制行政においては公表は重要な手法。公表後の影響について行政府は遠慮するのかもしれないが、他の法律でも活用されている。企業の自主性を尊重しつつ、品質管理の流れを作っていくことが重要。一方、大企業だけではなく、商店街を対象とした対応があってもよい。
・ 不正事業者に対しては、行政指導のみならず、その氏名を公表することにより、消費者が事業者の選択をできる目安にすべきではないか。
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行政法の立場から言えば、制裁の手段として公表は実際はワークしにくいと言われている。不正業者だけを公表すれば逆にそれ以下は大丈夫と見られてしまう。公表は、制裁ではなく情報提供と位置付けるべき。
・これまでの審議会であれば、答申が出た段階で役割は終わりであり、具体的な立法作業とは切り離されているのは20世紀型。できれば現状条文がどうなっていて、改正条文がどうなるかについても早い段階でこの審議会に示してほしい。公表にしても法律レベルでどう変わるのか示して欲しい。これはひいては法律を分かり易くすることに繋がる。行政庁のプロセスの透明性向上の観点から検討してほしい。
・品質管理を重視するというのは賛成であるが、実際の立ち入り検査では、不正を見極めることは極めて難しい。中小300m2以下でよく不適正な計量が見いだされるが、内容は風袋を引き忘れたとかラベルを貼り間違えた等の単純ミス。ガソリン・メーターの不正改造があった事例があると聞いているが、実際の現場で悪意による不正は見受けられない。
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全国に130万の小売店があるが半分は1か2人の小規模小売店。また、その多くは食料品店。こうした方々にどうやって計量の認識してもらうかが大きなポイント。計量の重要性について認識されておらず、PRが必要。
・学生は資格取得に非常に意欲がある。計量士も大学等を通じてPRしてもらってはよいのではないか。販売士という資格があるが、参考にしつつ計量士を大いに活用することが重要ではないか。
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環境測定は、アスベストに代表されるように社会の要請が高まっている。国民のニーズは多様化しており、質の高いデータを出す使命は大きい。測定データの質の向上に努めている。3点お願い申し上げたい。一つ目は、標準物質の整備。二つ目は、ISO/IEC17025を補完する仕組みとして、計る人の能力が適正に評価される制度。三つ目は、社会の要請に応える質の高いデータを提供していくために、更なるコスト削減が強いられている状況の中で、コストが適正に反映していく仕組み作りに期待したい。
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正確計量の重要性が認識されていない原因の一つは、不確かさについて理解されていないこと。その不確かさの幅を小さくすることが重要であり、そのためにはコストや努力、技術、計量標準の供給がいる。こういうことを基礎として制度を考えた方がよい。
(3)
審議の進め方として、委員会の下の3つのワーキンググループを設置すること、検討スケジュール等について事務局より説明が行われ、了承された。また、各ワーキンググループの委員が委員長より指名され、第1ワーキンググループには飯塚委員が、第2ワーキンググループには宮下(正房)委員が、第3ワーキンググループには今井委員が、それぞれ座長として中田委員長から指名された。
以上
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