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資料4

新しい計量行政の方向について

I.はじめに

1.計量、すなわち「計る」ことは、ほとんどの生活、産業活動、技術的規制行政等のなかで、日常的に行われており、その品質、信用、信頼を支えるものです。これらを大胆に整理すれば、以下のとおり。

(1) 公正な取引の確保

 商店での買い物、電気・ガス・水道などの代金支払いなどが、公正に行われるためには、適切な「計量器」や適切な「計り方」の確保が重要。

(2) 安全・安心の確保

 血液検査、水質検査、大気検査、土壌検査など全てにおいて、正確な計測は、市民の安全・安心の大前提。

(3) 産業競争力強化の促進

 正確な計測・計量は、品質確保による取引先の信用確保、技術力の改善の大前提。計れないものは、造れないし、売れない。技術の高度化が加速化し、ミクロやナノの精度が求められるようになりつつある今日、正確に計る能力は地域経済、特に製造業にとって重要な要素。

2.適切に計量するためには、以下に述べるように、適切な「計量器」、適切な「計り方」、適切な「ものさし(計量標準、標準物質」が必要。
 なお、これらが揃っても、計る人(通常事業者)が、私利から、意図的に悪事を働けば、適正な計量と公正な取引・証明の確保は不可能。

(1) 機器(計量・計測器)

 計量法では、特定の計量器(18種類)の型式承認、検定等を実施。その他、JIS(日本工業規格)、JISマーク制度を活用する計量器も多数(長さ計等)。

(2) 計り方

 「計り方」は、法律(及び関係法令)において、決められている場合が存在。JISに規定された方法を法令に引用している例も多く存在。
 ISO(国際標準化機構)に、計り方の世界標準が多数存在。 特にISO/IEC17025(試験所及び校正機関の能力に関する規格)は有名な標準の一つ。これは、試験機関等が満たすべき要件を規定した規格。これを満たす機関の計測結果は信頼できると認識されている。また、血液検査(臨床検査)の規格など分野ごとの国際規格も次々と開発されている。
 計り方が「正しい」ことをどのように確認するのかも重要。計測主体の自己適合宣言に任されるケースもあれば、監督官庁が審査するケースあるいは民間等の第三者認証に任されるケースもある。
 計る人の育成も重要。認証する審査官の能力確保も同様に重要。

(3) 正しい「ものさし(計量標準、標準物質)

 長さや重さのような物理的な計測を行うときに、計量計測器の目盛り調整を行うときに基準となるものが計量標準。
 一方、濃度のような化学的な計測をするときに、計測器の調整を行うときに基準となる物質が標準物質(以下、計量標準、標準物質を合わせて「計量標準等」と称する)。
 いずれも、同じ「ものさし」を用いている計測結果は、比較することに意味があるが、違う「ものさし」で調整した計量器による計測結果には比較の意味がない。
 計量法の規定に基づき、国家計量標準、国家標準物質(以下、国家計量標準、国家標準物質を「国家計量標準等」と称する)というものを、独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター(National Metrology Institute of Japan:以下、NMIJ」と略する)が開発・供給することになっている。ここが供給したものは、国際的な協定によって、他の主要国でも適切な「ものさし」として受け入れるためのルールが整備されている。

II.計量法の歴史

1.我が国の計量制度は、歴史的には、公正な取引(実際は徴税が中心)を主要目的としてきており、かつハードウェア(升、分銅など)の規制が主体であった。昭和26年に制定された計量法は、日本の技術水準が不十分であることを踏まえ、当初は約50機種に上る計量器を規制。

2.昭和48年には、規制対象の計量器に公害対策のため環境計量器を追加。昭和50年には環境計量を行う事業(環境計量証明事業)を位置付け、計り方の規制の運用を開始。社会問題となったダイオキシンなど計量が困難な極微量物質に対応するため、平成14年にはより厳しい特定計量証明事業制度(Specified Measurement Laboratory Accreditation Program:以下、「MLAP」と略する)を開始。

3.平成5年に計量標準・標準物質(国家計量標準等)の供給を開始(「ものさし」について、計量法に位置付け。具体的には、NMIJが開発供給し、経済産業大臣が国家計量標準として指定(現在までに、計量標準196種類、標準物質196種類)。認定された校正事業者が国家計量標準等により各計量器の校正(目盛りの中心点を調査するとともに、「不確かさ」を示す)を行うサービス(Japan Calibration Service System:以下、「JCSS」と略する)を開始。

4.その他、国の行政の基本方針の変遷に適切に対応し、次のような制度の改正を実施。

(1) 戦後の国際化(特に輸出振興)等の必要性から、メートル条約の徹底・遵守を図るため、昭和26年に度量衡法に代わり計量法を制定し、尺貫法からメートル法への移行を推進。

(2) 「官から民へ」(民間活力の活用による行政改革)の流れに対応し、平成5年に、一定の品質管理能力を保有する事業所に自主検定を認める指定製造事業者制度の運用を開始。規制対象機器を削減。

(3) 「国から地方へ」(地方分権化)の観点から、平成12年には、国の機関委任事務であった検査、検定、立入調査等の事務の一定部分を地方公共団体の権限に移行(自治事務化)。

III .近年の変化

 上記のとおり、計量制度は「機器」、「方法」、「ものさし」の各要素に関して、制度を発展させるとともに、各時代の要請に適切に対応しつつ、変遷してきた。これにより、今日まで適切に、信頼、安全、安心の基盤として機能してきていると評価できる。
 しかしながら、近年は、計量を巡る環境が、以下に列挙するように、多くの点で変化。計量行政は、社会の基盤的制度であるため、一定の安定度も重要な要素であるが、それを考慮しても、過去の実績同様、こうした変化に対応すべき時期に来ていると考えられる。

1.安全・安心に関する国民の関心の高まり

 国内外の事件・事故等の影響もあり、国民の安全、安心に対するニーズが高まっている。

2.規制改革に関する政府の積極的取り組みの進展。

 基準認証制度は、政府の規制改革の重点項目の一つ。閣議決定(「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日)など)により、自己確認・自主保安化、民間活力の活用、重複検査の排除の方向性が提示されている。

3.行財政改革

 国だけではなく、地方公共団体、独立行政法人、公益法人を含めた行財政改革の必要性が増大。こうした中で、平成12年の自治事務化以降、計量行政に投入する人員や予算が削減される地方公共団体が多く発生。計量行政を実施する上での体力格差が地方公共団体間で拡大。

4.技術の進歩

 産業技術力の進歩により、計量器(ハードウェア)の信頼性は継続的に向上。特に、デジタル技術の進歩は著しく、計量器においても重要な要素となりつつある。

5.マネジメント・システム規格の普及

 安全・安心への関心の高まりもあり、マネジメント・システム規格(正確な計量・計測も重要な要素)(ISO9001等)の活用が普及。それらの第三者認証も定着する傾向。

6.産業技術総合研究所の独立行政法人化

 従来は国の一部であった国家計量機関(旧計量研究所)は、平成13年に独立行政法人化(外部評価を受けながら活動する機関に)。さらに、平成17年4月からは非公務員型に。

7.公益事業の自由化の進展

 公益事業分野の自由化が進展。託送、家庭等からのエネルギー販売等、計量法が想定していない取引形態が出現。

8.計量標準等の供給

 平成5年に運用が開始されたJCSSは一定程度普及。他方、日本独自の基準器検査制度の存在、技術規制当局や計測現場への啓発努力の不足などから、普及は不十分な水準で推移。

9.WTO/TBT協定

 平成7年に発効したWTO/TBT協定(Technical Barriers to Trade:貿易の技術的障害に関する協定)により、加盟国は技術基準への適合性評価を行う場合には国際基準を用いることが義務化。薬事法、電気用品安全法、JIS法等も手続きを国際標準に整合化。

10.CIPM/MRA、OIML適合証明書の相互受け入れ

 平成17年1月に国家計量標準等の同等性と国家計量標準機関(NMI)の発行する校正証明書の同等性を各国間で相互に承認する「計量標準の国際相互承認協定(CIPM/MRA)」が発効。
 来年1月から、OIML加盟国の型式承認機関(NMI等)で計量器の型式承認データの相互受け入れための「計量器の型式承認試験に関するOIML適合証明書の相互受入に関する取り決め」(MAA)が一部の機種についてスタート。国際的な相互承認の動きが活発化。
 これにより、経済活動のグローバル化の重要な要素の一つである基準認証(規格に基づく検査・検定等)を相互に受け入れる国際的な環境が大きく前進。

(注)
CIPM:Centre international de poe´sie Marseille (国際度量衡委員会)
MRA:Mutual Recognition Arrangement (相互承認定)
OIML:Organisation Internationale de Me´trologie Le´gale (国際法定計量機関)
MAA:Mutrual Acceptance Arrangement

IV 検討に当たっての視点・配慮点

1.効果的で合理的な規制の在り方を目指す

 今日までの検査・検定に関しては、比較的ハードウェアの規制に重点が置かれてきている。しかし、上述のように、ハードウェアの性能が向上してきているなかで、むしろ計量器の使用者の不正を抑制することの重要性が高まっているのではないか。また、公正な取引・証明の確保のためには、同様の行政コストの投入に対する効果が高いのではないか。
 また、不正事業者が怖れるのは、行政指導ではなく、消費者等の信頼を失うことであることに鑑みれば、これまでほとんど実績のない不正事業者名の公表などの手続きを整備し、透明性をもって取締り等を行う方が、同じく投入行政コストに対する効果が高いのではないか。
 さらに、商品量目規制(注)(包装商品の内容量が正しく表示されるための規制)に関しては、地方公共団体の担当官が、陳列後の商品のサンプル調査等により、実施してきているが、むしろ商品の包装段階の品質管理を促進する仕組みの導入等により、さらなる効果を期待することができるのではないか。
 いずれにせよ、行財政改革が求められていることから、従前の規制方法に囚われず、投入行政コストに対し、より効果の高い、合理的な方法を模索すべきである。

2.全ての自治体が適切な計量行政を行える選択肢の拡大

 地方公共団体ごとに事情は異なるが、全国的に一定水準の計量行政の実施は必要。民間能力の活用を含め、自治体ごとの実情を踏まえつつ、適切な行政手法を採用できるような選択肢が必要ではないか。

3.持続可能な制度設計

 技術革新の加速化、取引のグローバル化の進展(FTAなど)、地方分権の進展、行財政改革の継続など、今後我が国において予想される社会経済情勢の中長期的な変化にも対応した持続可能(サスティナブル)な制度とすることが必要ではないか。

4.技術革新の促進

 規制行政によって技術の進歩を阻害するようなことは極力排除すべきであり、むしろ民間の技術開発を促進する制度とすることが必要ではないか。

5.国民(地域住民)の積極的参画の促進

 消費者を中心とした国民(地域住民)が適正計量に関する関心と知識を持つことが公正な計量を実現するための最も重要な要件であることに鑑み、国も地方公共団体も積極的に計量に関する情報提供や啓発活動を行うべきではないか。
 その上で、規制行政にあっても投入コストとその効果を念頭に置かざるを得ないことを示しつつ、例えば規制の重点をどこに置くべきかなどにつき、住民の考え方を反映するべきではないか。
 さらに、既に一部では実施されていることではあるが、住民(消費者)の不正計量に関する不満・不信を受け付ける制度など、住民(消費者)の主体的・積極的参画を促す仕組みを考えるべきではないか。

6.関係各府省との連携

 正確な計量は、様々な規制法による安全・安心に関わる広範な信頼の基盤。計量標準等の供給に関するニーズの吸収、他の関係法令(各種事業法等)の執行体制との協力関係の模索等について関係府省と積極的に連携することが必要ではないか。

V.制度の見直しの方向性

1.特定計量器の検査・検定

a) 規制対象を削減する方向で、見直しを行うべきではないか。その際は、消費者保護に重点を置くべきではないか。

b) 他方、商品量目規制を合理化するために、例えば主要国では日本のみが規制していない自動はかりを規制の対象にすることなども検討するべきではないか(自動はかりは、食品をはじめとする大層の包装商品の計量において利用されている。)。

c) 計量士(難易度の高い国家試験に合格した専門家)に関する制度を見直すなどにより、一定以上の能力を有する民間人が、権限をもって諸般の検査において活躍することができる制度を整備するほか、国際ルールに則って民間機関が認証する「JISマーク制度」を活用するなど、民間人・民間機関の能力を最大限活用することを可能とすることにより、地方公共団体の執行方法に関する選択肢を拡大するべきではないか。

(注)JISマーク制度については、国際的なルールへの整合化を図るべく、これまでの国自身による工場の認定から、国際的な基準(ISO/IECガイド65)に基づいて国の登録を受けた民間の第三者認証機関が認証を行うという仕組みに変更されており、平成17年10月1日から運用が開始されることになっている。

d) 計量器の不正使用の摘発を強化するべく、抜き打ち検査などの事後検査を強化するべきではないか。また不正摘発後の処置に関して透明性を持たせるべく手続きを整備するべきではないか。さらに、官民の実践的検査能力を維持、向上するべく研修体制の充実を行うべきではないか。

e) 検査・検定に当たっては、WTOのルールに則り、手続きについて、国際標準との整合化を図るべきではないか。

f) 検査・検定の現場で活用されている基準器(計量器が法律が要求する公差に収まっているかどうかを検査する一種の「ものさし」であり、NMIJが供給)制度については、日本独自の制度であること、JCSSが一定程度普及してきたこと、更なるJCSSの普及が長期的には我が国産業の発展に重要であることなどに鑑み、見直すべきではないか。その際は、JCSSへの一本化も含め、規制制度を執行する上で必要な精度を念頭に、計量標準の現実的な供給のあり方についても検討するべきではないか。

2.商品量目制度

a) 商品量目規制については、全ての主要国において実施されていることから、継続するべきではないか。

b) ただし、現行の商品陳列後のサンプル調査主体の規制方法から、事業者による品質管理を促す制度に重点を移行するべきではないか。

c) その際は、中小企業(商店街、事業組合等)も参画することにより、大手流通事業者のみではなく、我が国企業全体の適正計量を促す仕組みとするべきではないか。

d)例えば、現在の「適正計量管理事業所制度」(認定されれば、2年に一回のはかりの定期検査に計量士を用いることにより自己検査に任される)を改革し、品質管理に関する能力を有する人材(例えば、新しい計量士制度にそうした人材像を含めることも可能か)を中心に、適正計量管理を一定の指針に沿って実行できる能力を認められた場合は、「新適正計量管理事業所(仮称)」として認定され、商品量目についても、適正に執行されていると推定する制度などが考えられるのではないか。

e) この場合、管理の中核となる人材に責任を負わせること(例えば、行政当局が計量士から事情聴取を行うなど)により、中小商店等による商店街なども認定にチャレンジすることが可能になるのではないか。

f) さらに、商品の密封段階における適正計量・品質管理を確保するため、(自動はかりの規制の適否とともに)適正計量に必要な要件が満たされていることを示す一種のマーク制度の導入を検討してはどうか。なお、その際は欧州のeマーク制度を研究するべきではないか。

3.環境計量証明事業者制度

a) 環境計量証明事業者制度については、安全・安心に関する国民の関心が高いことから、適切に見直すべきではないか。

b) その際、ISO/IEC 17025が環境計測事業者の間でも普及しつつあることに留意するべきではないか。

c) また、振動計、騒音計、濃度計というハードウェアの検査・検定という規制から、計量標準等へのトレーサビリティー(国家計量標準からの切れ目のない段階的校正によって、値と不確かさとが適切に評価されていること)の確保にシフトしていくべきではないか。

d) 特定計量証明事業制度(MLAP)については、施行後5年の見直しが予定されていることもあり、計測結果の国際整合化を図る観点からも本制度の認定基準をISO/IEC 17025に整合化させること等について検討する必要があるのではないか。

4.計量標準供給とトレーサビリティーの確保

a) 各種技術規制に必要な標準物質を始めとする国家計量標準等の整備・供給を効率的かつ迅速に行う観点から、関係府省傘下の研究機関や民間研究機関の活用等、国の総力を結集した国家計量標準等の整備・供給体制の再構築が必要ではないか。

b) 限られた資源を有効に活用し、国として計画的に計量標準等の整備を進めていくに当たっては、計量標準等の整備・供給及びトレーサビリティ確保の重要性について、関係府省及び地方公共団体と認識を共有するとともに連携を強化していくことが必要ではないか。

c) 正確な計量、トレーサビリティの確保がもたらす以下のような意義を踏まえながら、中核的制度であるJCSSの普及策を中心に、トレーサビリティの普及方策を検討すべきではないか。

・ 国民から信頼され、かつ国際整合性のとれた技術規制の実現

・ 医療、環境、食品分野などにおける正確な計量を通した国民の安全・安心の基盤確保

・ WTO/TBT協定の下、グローバルな経済活動に対応した国際相互承認、国際的ワンストップ・テスティングの実現

・ 国際的に通用し、信頼ある正確計量を通じた我が国企業の国際競争力の基盤の提供

・ 国家計量標準等が未整備の場合にあっても国内の正確な計量を確保することに資する計量標準等の供給体制の整備

5.NMIJの一層の活躍のための環境整備

a) いずれの主要国にあっても計量制度を実質的に支えている機関が各国の国家計量標準機関(NMI)であること、我が国においてもNMIJが計量制度の中核機関として活躍してきたこと、一方でNMIJを含む産業技術総合研究所が非公務員型の独立行政法人に移行したこと、計量標準等の相互承認の枠組みが動き始めたことなど、NMIJの重要性が一層高まっていることに留意しつつ、NMIJが一層活躍することを可能とする上での制度的な課題について検討するべきではないか。

b) その際、技術の進化のスピードが速いことに留意し、技術的規則を定める経済産業大臣との役割分担等について整理することにより、新しい技術の登場などにNMIJがタイムリーに対応することを可能とするためには、国益上いかなる条件整備が必要かを検討するべきではないか。

c) また、独立行政法人の有する弾力性を有効に活用することも検討するべきではないか。

6.法定計量単位の扱いの弾力化

a) 取引・証明においては、計量法で定められた単位(法定計量単位)以外のものを用いてはならない旨の規定が計量法によりなされている。メートル条約における最高機関である国際度量衡総会、ISOその他の国際機関の決定により認められた単位が新たに追加されたとしても、その都度計量法を改正しなければ、その単位に関わる「計量」は計量法の対象として扱われず、また、その単位を国内において定着させていくことにも支障を生ずることになる。従って、新たな単位の定め方について弾力化を図るべきではないか。

b) その他、メートル法が十分に定着している一方で、その他の単位も現実社会においては一部使用されている実態に鑑み、現行の単位の規制について、再検討すべき点があるか否かについて検討すべきではないか。

7.その他の規制の見直し

 計量法においては、上記の各種制度以外の制度が存在する。これらについては、その必要性について検討し、廃止も含めて検討すべきではないか。なお、一定の必要性が認められる場合であっても、他の代替案も模索すべきではないか。

a) 特殊容器(注)

 特殊容器は現在でもガラス瓶のリサイクル活用という観点から一定の意義を有しているが、内容物の充填方法の技術革新が進んでいることや、紙パックやペットボトル等他の容器が普及しつつある実態を踏まえ、廃止の方向で対応すべきではないか。
 なお、リサイクルの観点から同様の仕組みを残す必要がある場合であっても、JISマーク制度の活用など他の代替策を模索すべきではないか。

(注)ビール瓶や牛乳瓶のように容器を標準化し、簡便に量の計測を可能にする仕組み

b) 家庭用計量器

 キッチンスケール、ヘルスメーター(体重計)、ベビースケールについては一定の技術基準が設けられており、製造事業者は技術基準適合を自己確認し、一定の表示(マーク)を付した上でないと、市場に出せないこととなっている。
 一方、家庭用に用いられる計量器類は多様化しており、上記3種以外にも家庭で用いられるものがあるが、これらについてはJISマーク制度の活用などによって、適切に消費者が選択できる仕組みを整備する方向で検討すべきではないか。

(注)巻き尺など長さ計については、JISマーク制度によって適切に対応できるものと判断されたため、規制対象から外されたが、今日まで大きな問題は生じていないことに留意。

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