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 計量行政審議会計量制度検討小委員会第1WG(平成17年度第1回会合)
 議事録



日時:平成17年9月5日(月)14:00〜16:00
場所:経済産業省別館944会議室

○籔内計量行政室長  それでは、定刻になりましたので、第1回第1ワーキンググループを開催させていただきます。
 私は、事務局を務めさせていただきます計量行政室長の籔内でございます。よろしくお願いいたします。
 当ワーキンググループは、計量行政審議会及び産業構造審議会産業技術分科会の合同小委員会であります計量制度検討小委員会に設置されたものでございます。また、8月8日の第1回小委員会にて、座長に飯塚委員が指名されたことをご報告いたしておきます。
 まず、審議に入ります前に、第1回目でございますので、座長及び委員の方々のご紹介をさせていただきたいと思います。時間もございませんので、簡単にご紹介させていただきます。
 まず、座長であります社団法人日本計量振興協会会長の飯塚座長でございます。以降は五十音順にご紹介させていただきます。社団法人日本電気計測器工業会専務理事の石川委員。独立行政法人製品評価技術基盤機構認定センター認定課長の岩崎委員。日本電気計器検定所専務理事の柿沼委員。社団法人日本計量機器工業連合会副会長の加島委員。主婦連合会副常任委員の河村委員。独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門法定計量技術課長の小島委員ですが、本日はご欠席でございます。財団法人日本品質保証機構理事の杉山委員。財団法人データベース振興センター専務理事の武田委員。大阪府計量検定所長の中野委員。立教大学法務研究科教授の橋本委員、本日はご欠席でございます。千葉市消費生活センター計量検査所長の三浦委員。独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門副研究部門長の三木委員。東京大学名誉教授の山?委員。国際法定計量調査研究委員会副委員長の山本委員。東京計量士会理事の横尾委員。
 以上16名でございます。
 それでは、以降の議事進行は飯塚座長にお願いいたします。
○飯塚座長  それでは、座ったままで失礼いたしますが、審議のご協力、よろしくお願いいたします。
 このほど、新しい計量行政の方向について、経済産業大臣から諮問が計量行政審議会、産業構造審議会にございました。これを受けまして、両審議会の合同小委員会であります計量制度検討小委員会に当ワーキンググループが設置されました。このワーキンググループの審議は、今後の計量行政のあり方を決める重要な審議につながるものでございます。本日は第1回の開催となりますので、どうぞご忌憚のないご意見をよろしく賜りますようお願い申し上げます。
 最初に申し上げますけれども、審議会の公開にかかわる閣議決定(平成7年9月)、「審議会等の透明化、見直し等について」並びに平成11年4月27日、「審議会等の整理合理化に関する基本計画」の2つを踏まえまして、原則、公開ということで運用することにいたしたいと思います。
 それでは、審議に入ります前に、経済産業省の松本審議官から一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
○松本審議官  では、坐ったままで済みません。ご紹介いただきました基準認証担当の松本でございます。
 いよいよきょうから第1ワーキンググループが始まるわけですが、当グループは、特定計量器の検定・検査制度のあり方等についてご審議いただくというような形になっております。要は計量制度の中核、根幹をご審議いただくわけでございますが、皆様よくご存じのように、計量制度というのは国家社会の礎ということで、変わってはならないこともあるでしょうし、あるいは変えていかなければいけないことも両方あるのだろうというふうに思います。特に、これからご説明ありますが、非常に計量制度をめぐる環境というのはいろいろ変化している。その環境の変化を受けて、特定計量器の検査・検定等のあり方について、あるいは計量制度についてご審議いただくというような形になります。
 計量制度というのは社会全般に与える影響が大きいので、そういう意味でご審議は大変だと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、事務局の方から配付資料の確認を最初にお願いいたします。
○籔内計量行政室長  本日の資料は、「議事次第」、「委員名簿」、「座席表」、それに資料1から6の計9種類でございます。足りないものがございましたらお知らせ願います。
○飯塚座長  では、議事に入りまして、最初に、この「第1ワーキンググループの審議の進め方について」でございます。これについては資料がございますが、室長の方からご説明を願います。
○籔内計量行政室長  資料2と書いてある「審議の進め方について(案)」でございます。さきの計量制度検討小委員会で、3つのワーキンググループを設置して審議を進めていただくことを了承いただきましたので、第1ワーキンググループは特定計量器の検査・検定を中心とした安心・安全な社会のあり方を、第2ワーキングは、商品量目制度を中心とした公正・公平確保のための計量のあり方といったように検討項目を考えております。また、各ワーキンググループに横断的にかかわる単位の課題、計量士、また情報提供のあり方などについては、小委員会の方で検討を行うことを考えております。
 今後の主なスケジュールですが、全体のスケジュールは、小委員会、ワーキンググループにて分野別に順次検討を開始し、以後、小委員会、ワーキンググループの検討の進捗に応じ、年内をめどに小委員会にて基本的方向を取りまとめ、計量行政審議会にて審議、さらにまた小委員会、ワーキンググループで検討し、平成18年春ごろをめどに取りまとめを予定しております。
 なお、第1ワーキンググループのスケジュールは、年内に基本的方向を取りまとめ、小委員会にて審議していただき、さらにワーキンググループで検討を行い、平成18年春をめどにワーキンググループにおける取りまとめを完了するという予定であります。
○飯塚座長  それでは、ただいまのご説明についてご質問がありましたら、どうぞご遠慮なくお願いしたいと思います。
 なお、審議会、小委員会すべてそうでございますが、ご発言をご希望の方は、一応名札を縦に置いていただくということになっているようでございますので、ご質問の準備ができた方は、ほかの方がお話しの間に立てていただきましたら、私から次に指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、ただいまの議題1について、審議の進め方でございますが、よろしいでしょうか。第1ワーキンググループは特定計量器の検査・検定が中心ではございますが、安心・安全な社会の構築のための計量のあり方ということで、かなり全般的な視野で議論していただいてよろしいのではないかと私は思っておりますけれども、何かご意見ありますでしょうか。
 特にご発言がないようでしたら、「審議の進め方について」はこのようなやり方、今後のスケジュールについてもご了承いただいたものというふうに考えさせていただきます。ありがとうございました。
 では、続きまして議題2、「新しい計量行政の方向について」に移りたいと思います。既に7月26日に第1回の計量行政審議会、8月8日には第1回の計量制度検討小委員会で第1ワーキンググループ関連のご議論がいろいろございましたので、それもあわせまして事務局からご説明をお願いいたします。
○籔内計量行政室長  それでは、資料3と書いてあります横長の「正確な計量器を供給するための規制(特定計量器)」とある資料をお手元にご用意ください。第1ワーキンググループは、特定計量器検査・検定を中心に議論していただく場ですので、現在の特定計量器と検査・検定というのがどのようになっているかというのを、ごくごく簡単に説明いたしたいと思います。
 まず、1ページ目をごらんください。特定計量器とは何か。計量法で規制の対象となる計量器は、計量法で指定され、特定計量器と呼ばれています。特定計量器は、検定に合格しないと取引・証明に使うことはできません。特定計量器といいますのは、計量器の基本的な構造や性能を示す基準と計量器の精度、許容される誤差について守るべき技術基準を設定し、一定の行政コストをかけて検定を行う必要があるものを特定計量器として定めております。現在は18品目が指定されており、具体的にはタクシーメーターであるとか非自動はかり、分銅などの質量計とか温度計、電力量計、ガスメーター、水道メーター、ガソリンメーター等々となっております。
 ユーザーは、取引・証明に特定計量器を用いるときは、検定に合格したことを示す検定証印が付されたものを用いなければならないというふうになっております。
 次のページをごらんください。例えば「はかり」についてみてみましょう。2ページ目の図に、食料品のはかり売りに使う「はかり」ですとか、産業廃棄物の重量測定、大学・研究機関での化学実験、薬の調合等々、目的によってさまざまな「はかり」が現在使われております。
 3ページ目をごらんください。この「はかり」は、製造から市場に出るまでに一体どのようなプロセスをとっているかといいますと、「はかり」を製造しようとする製造事業者は、あらかじめ経済産業大臣に届け出る必要があります。届け出た後、製造事業者は「はかり」の製造に当たって、計量法の省令に定められている技術上の基準に適合するように製造いたします。その後、まず横にAというのがありますが、製造事業者が計量法の省令に定める基準に適合するようつくった後、都道府県などにもっていって構造の検査と許容誤差の検査に合格しましたら、合格したことを示す検定証印を都道府県が付して出荷という運びになります。
 あと2つ違う方法がありますが、製造事業者が「はかり」をつくった後、独立行政法人産業技術総合研究所にもっていって、型式試験というものを行います。この試験に合格した場合は、産業技術総合研究所が承認番号の付与と合格証を発行します。それをもって、今度はまた都道府県等に行き、今度は許容誤差の検査に合格をしたら、都道府県が検定証印を付して出荷という運びになる、これがBでございます。
 さらにその下のCというのは、製造事業者がつくり、産業技術総合研究所で型式試験を行った後、自主検査によりメーカー自らが基準適合証印を付して出荷という運びになるという、この3つがございます。一番最後は指定製造事業者制度と呼ばれており、産業技術総合研究所による型式承認を受けた後に、品質管理能力を有するものとして経済産業大臣から指定を受けた企業については、自主検査によって合格印を付すことができるような制度になっております。
 次のページをごらんください。そうやって市場に出荷されました「はかり」は、まさに検定証印や基準適合証印といった合格印が付された「はかり」でなければ、取引・証明に使用できません。その「はかり」ですが、使用者は2年に1度、「はかり」が許容誤差内に入っていることを確認するための検査を受ける義務があります。これは2年に1度、都道府県または特定市町村によって定期検査が行われております。それに合格しましたら、定期検査証が付され、引き続き取引・証明に使用することができますが、許容誤差内に入っていない不合格になると、合格証印が除去され、取引・証明に使用することができなくなります。これが「はかり」の製造から検査・検定までの一連の流れです。
 次のページをごらんください。次は電力量計ですが、電力量計は、各家庭や工場・事業所などに使用電力量をはかるメーターとして設置されているおなじみのものであります。
 6ページ目をごらんください。電力量計の製造から出荷までは、先ほどの「はかり」とほぼ同じプロセスをとっておりますが、若干違うのは、産業技術総合研究所の型式承認及び都道府県などの検定というところが日本電気計器検定所になっているというところでございます。電力量計については、型式承認や検定は日本電気計器検定所で行われております。電力量計というのは、かように「はかり」と似たようなプロセスをとって出荷されます。
 次のページをごらんください。市場に出ますと、電力会社が各家庭に設置し、供給した電力量をはかって電気代を請求いたします。合格印の有効期間は、家庭用ですと主に10年間です。10年の有効期間が切れる電力量計は、電力会社により各家庭から回収され、合格印が付された新しい電力量計と交換されるようになっております。このように電力量計というのは、製造から各家庭に行って、10年たつと取りかえられるというプロセスをたどっております。
 次はタクシーメーターですが、タクシーメーターも似た構造になっておりますが、若干異なるところはあります。
 ちょっと飛ばしていただいて、11ページの先ほどから出ている型式承認ですけれども、型式承認というのは、複雑な構造を有する計量器の技術基準への適合性評価に当たり、同一の型式タイプのものについて1個1個すべてを検査するかわりに、型式、材質試験だとか耐久性試験、基準性能試験などを試験し、評価することで代替するものです。特に大量生産を行うメーカーにとっては、大きなインセンティブとなる制度であります。
 また、型式承認というのは、製品認証の分野においては一般的な試験評価手続となっており、海外の計量器規制においても同様な仕組みがとられております。我が国における型式承認の実施機関は、独立行政法人産業技術総合研究所、電気計器については日本電気計器検定所となっております。
 次のページをごらんください。先ほど出ておりました指定製造事業者制度ですけれども、指定製造事業者制度は、ISO9000相当の品質管理能力を有すると認められた計量器メーカーにより、経済産業大臣の指定を受けることによって、自治体が行う検定の受検を免除されております。指定製造事業者になりますと、生産から出荷までの工程が自社内で完結されることができるため、メーカーにとってのインセンティブ制度となっております。
 以上、簡単ではございますが、計量器の検査・検定制度というのが具体的にどのようになっているかというのをご説明させていただきました。
 次に、資料4ですが、「新しい計量行政の方向について」ということであります。初めに、計量、すなわち「はかる」ことというのは、ほとんどの生活、産業活動、技術的規制行政の中で日常的に行われております。商店での買い物や水道などの代金支払いが公平に行われるためには、適切な計量器や適切なはかり方の確保が重要であり、また、水質検査、血液検査などにおいて、正確な計測は市民の安全・安心の大前提となっております。また、正確な計測・計量は、品質確保による取引先の信用確保、技術力の改善の大前提であり、はかれないものはつくれないし、売れないということでありますし、技術の高度化が加速し、正確にはかる能力というのは、特に製造業にとって重要な要素となっております。
 また、適切に計量するためには、適切な計量器、適切なはかり方、適切な物差しという3つの要素が必要であります。また、これらがそろっても、はかる人が意図的に悪事を働けば、適正な計量と公平な取引・証明の確保は不可能であります。
 まず、3つの要素のうち計量器ですが、計量法では、さきにみましたように、特定の計量器18機種の型式承認、検定等を実施しております。
 次のページですが、2つ目の要素のはかり方ですが、はかり方は法律において決められている場合が存在しておりますし、さらに、ISOにはかり方の世界基準等が多数存在しております。また、はかり方が正しいことをどのように確認するかも重要で、計測主体の自己適合宣言に任されるケースもあれば、計量法のように監督官庁が審査するケース、あるいは民間などの第三者認証に任されるケースもあり、さまざまであります。
 また、正しい物差しということで、長さや重さのような物理的な計測を行うときに、計量計測器の目盛り調整を行うときに基準となるものが計量標準。一方、濃度のような化学的な計測をするときに、計量器の調整を行う基準となる物質が標準物質。いずれも同じ物差しを用いている計測結果は、比較することに意味がありますが、違う物差しで調整した計量器による計測結果には、比較の意味がありません。
 計量法の規定に基づき、国家計量標準、国家標準物質というものを独立行政法人産業技術総合研究所の計量標準総合センター(NMIJ)が開発供給することになっております。NMIJが供給したものは、国際的な協定によって、他の主要国でも適切な物差しとして受け入れるためのルールが整備されております。
 計量法の歴史を若干振り返ってみますが、我が国の計量制度は、歴史的には公平な取引を主要目的としており、かつ、升とか分銅などのハードウェアの規制が主体でありましたため、昭和26年に制定されたときには、特定計量器は当初約50機種を規制しておりました。昭和48年には、規制対象の計量器に、公害対策のため環境計量器を追加しております。また、50年には、環境計量を行う環境計量証明事業を位置づけ、はかり方の規則の運用を開始しております。また、平成14年には、社会問題となりましたダイオキシンなど計量が困難な極微量物質に対応するため、より厳しい特定計量証明事業制度(MLAP)を開始しております。また、平成5年に計量標準、標準物質の供給を開始し、認定された校正事業者が国家計量標準などにより各計量器の校正を行うサービス(JCSS)も開始されております。
 その他、国の行政の基本方針の変遷に適切に対応し、今まで次のような制度改正を実施しております。昭和26年に計量法が制定されたときは、尺貫法からメートル法への移行を推進し、平成5年には、先ほども出ましたが、一定の品質の管理能力を有する事業所に自主検定を認める指定製造事業者制度の運用を開始しました。それと同時に、規制対象機器を削減しております。また、平成12年には、国の機関委任事務であった検査、検定、立入検査の一部分を地方公共団体の権限に移行しております。
 近年の変化としまして、近年、計量をめぐる環境は、これから申しますようにいろいろと変化し、多くの点で計量制度を改正する時期に来ているのではないかと考えております。国内外の事件、事故などの影響もあり、国民の安全・安心に対するニーズが高まっていること。
 それから、基準認証制度は政府の規制改革の重点項目の一つとなっており、自己確認、自主保安化、民間能力の活用、重複検査の排除の方向性が提示されております。
 また、行財政改革の流れの中で、平成12年の自治事務化以降、計量行政を実施する上での体力格差が地方公共団体間で拡大しているのではないでしょうか。
 また、技術の進歩として、産業技術力の進歩によって特にデジタル技術の進歩は著しく、計量器においても重要な要素となりつつあります。
 また、安心・安全への関心の高まりもあり、マネジメントシステム規格の活用が普及し、それらの第三者認証も定着する傾向にあります。
 さらに、従来は国の一部であった国家計量機関が平成13年には独立行政法人化され、さらにことしの4月からは非公務員型になったということがあります。
 さらに、公益事業分野の自由化が進展し、託送とか家庭からのエネルギー販売など、計量法が想定していない取引形態が出現してきております。
 また、平成5年に運用が開始されたJCSSは一定程度普及しましたが、他方、基準器検査制度の存在、技術規制当局や計測現場への啓発努力の不足などから、普及は不十分な水準でまだ推移しております。
 さらに、平成7年に発効したWTO/TBT協定により、加盟国は技術基準への適合性評価を行う場合には、国際基準を用いることが義務化されております。また、薬事法とかJIS法も手続を国際標準に整合化しております。
 さらに、平成17年1月に国家計量標準などの同等性と国家計量標準機関の発行する校正証明書の同等性を各国間で相互に承認する計量標準の国際相互承認協定というのが発効しております。
 以上のようなことを踏まえて、計量制度の改正を検討するに当たっての視点とか配慮点についてどのようなものがあるかといいますと、今日までの検査・検定に関しては、比較的ハードウェアの規制に重点が置かれておりましたが、ハードウェアの性能が向上してきている中で、むしろ計量器の使用者の不正を抑制することの重要性が高まっているのではないでしょうか。また、不正事業者が恐れるのは、行政指導ではなく、消費者の信頼を失うことであることに鑑みれば、これまでほとんど実績のない不正事業者名の公表などの手続を整備し、透明性をもって取り締まりを行う方が、より効果が高いのではないでしょうか。
 商品量目規制に関しては、地方公共団体の担当官が陳列後の製品のサンプル調査を実施してきておりますが、むしろ商品の包装段階の品質管理を促進する仕組みの導入により、より効果を期待できるのではないでしょうか。いずれにしましても、従前の規制方法にとらわれず、より効果の高い合理的な方法を模索すべきであると考えております。
 また、地方公共団体ごとに事情は異なりますけれども、民間能力の活用を含め、自治体ごとの実情を踏まえつつ、適切な行政手法を採用できるような選択肢が必要なのではないでしょうか。
 持続可能な制度設計とすることも重要でありますし、技術の進歩を阻害するようなことのないよう、むしろ民間の技術開発を促進する制度とすることが重要になってくるのだと思っております。
 さらに、消費者を中心とした国民が適正計量に関する関心と知識をもつことが、公平な計量を実現するための最も重要な要件であると思っております。また、国も地方公共団体も積極的に計量に関する情報提供や啓発活動を行うべきではないでしょうか。
 もう既に一部では実施されていることではありますが、住民の不正計量に関する不満・不信を受け付ける制度など、住民の主体的・積極的参画を促す仕組みを考えるべきではないでしょうか。
 さらに、正確な計量はさまざまな規制法による安全・安心にかかわる広範な信頼の基盤でありますことから、関係府省と積極的に連携することが必要ではないかと考えております。
 以上のような視点等々踏まえ、制度の見直しの方向性といたしましては、特定計量器の検査・検定に関しましては、規制対象を削減する方向で見直しを行うべきではないか。その際は、消費者保護に重点を置くべきではないのか。他方、商品量目規制を合理化するために、例えば自動はかりを規制の対象にすることなども検討するべきではないかとか、計量士に関する制度を見直すことにより、一定以上の能力を有する民間人が権限をもって諸般の検査において活躍することができる制度を整備するほか、国際ルールに則って民間機関が認証する制度、例えばJISマーク制度などを活用するなど、民間人、民間機関の能力を最大限に活用することを可能とするようなことを検討し、地方公共団体の執行方法に関する選択肢を拡大すべきではないかというふうに考えております。
 さらに、計量器の不正使用の摘発を強化するべく、抜き打ち検査などの事後検査を強化すべきではないのかとか、また、不正摘発後の処置に関しては、透明性をもたせるべく手続を整備するべきではないか。また、検査・検定の現場で活用されている基準器制度については、日本独自の制度であること、JCSSが一定程度普及してきたこと等にかんがみ、見直すべきではないのかといった検討も必要なのではないかと考えております。
 さらに商品量目制度については、現行の商品陳列後のサンプル調査主体の規制方法から、事業者による品質管理を促す制度に重点を移行するべきではないのか。その際、例えば中小企業の商店街、事業組合といった単位で参画することにより、大手流通事業者のみではなく、我が国企業全体の適正計量を促す仕組みとするべきではないのかとか、現在の適正計量管理事業所制度をもう少し使いやすくなるような制度にすべきではないかなどといったことを現在検討している最中でございます。
 さらに、欧州にはeマーク制度という制度があるのですが、商品の密封段階における適正計量、品質管理を確保するため、適正計量に必要な要件が満たされていることを示す一種のマーク制度の導入を検討してはどうかと考えております。
 また、環境計量証明事業者制度については、安全・安心に関する国民の関心が高いことから、適切に見直すべきではないのか。特に特定計量証明事業制度(MLAP)については、計測結果の国際整合化を図る観点からも、本制度の認定基準をISO/IEC 17025に整合化させることなどについて検討する必要があるのではないか。
 また、国家計量標準の整備・供給体制の再構築が必要ではないのか。関係府省及び地方公共団体と認識を共有するとともに、連携を強化していくことが必要ではないか。また、トレーサビリティの確保がもたらされるために、JCSSの普及を中心に普及方策を検討すべきではないかなどといったことをも検討しております。
 さらに、産業技術総合研究所の計量標準などの相互承認の枠組みが世界的に動き始めたことなどによって、産業技術総合研究所の重要性が一層高まっていることに留意しつつ、一層活躍することを可能とする上での制度的な課題について検討するべきではないかと考えております。
 さらに、法定計量単位の扱いの弾力化。さらに、その他の規制の見直しとして、1つは特殊容器というものがありますが、現在は内容物の充填方法の技術革新が進んでいることや、紙パックやペットボトルなどの容器が普及しつつある実態を踏まえ、制度のあり方についてもう1度検討するべきではないのか。
 さらに、家庭用計量器、キッチンスケールとかヘルスメーター、ベビースケールですが、これは取引や証明には現在使用されていないということで、例えばJISマーク制度の活用などによって、適切に消費者が選択できる仕組みの方に誘導すべきではないのかといったさまざまなことを議論しているところでございます。
 今申しましたように、今回の計量行政の改正の方向のバックグラウンドなり何なりを簡単にご説明させていただきました。
 資料5に移らせていただきます。資料5は、第1回の計量行政審議会における第1ワーキンググループ関連の主な発言ということで、資料として用意させていただいております。
 全般的には、今後の計量行政のあり方としては、引き続き正確な計測を可能とするように、また、計測における国際整合化の確保、また、国際動向や既成概念にとらわれない審議をお願いしたいということ。さらにまた、縦割り行政の問題や新しい計量制度の検討においては、ムード先行ではなく、社会的信頼性や秩序を維持することも重要。また、計量にかかわる需給両サイドからの理解が得られる制度でなければならないといったこともご議論ございました。
 さらに執行体制として、計量事務の自治事務化により、自治体間のばらつきや問題が生じているとか、国際整合化に関しては、計量標準について欧米とのマッチングを図ることが必要とか、いろいろな意見をいただいております。
 さらに、資料6の方に移らせていただきます。資料6は、8月8日の第1回の計量制度検討小委員会における第1ワーキンググループ関連の主な発言でございます。
 特定計量器関係におきましては、計量法によって消費者の安全・安心が守られているのだと思っております。重複規制となっているのであれば整理すべきであるとか、また、計量行政審議会後に日本計量機器工業連合会では計量法検討委員会を開いて検討したところ、賛否両論があった。さらに、十分な事前の説明と検討の機会を設けてもらいたい等々ございました。また、執行体制に関しては、今回の改正で各自治体の役割をどう位置づけ、どの水準を自治体に求めるのかはっきりしてほしいといったこと。
 さらには事後規制関連では、不正業者について、規制行政において公表は重要な手法とか、また、大企業だけではなく商店街を対象とした対応があってもよいとか、不正事業者に対しては、行政指導のみならず氏名を公表することにより、消費者が事業者の選択をできる目安にすべきではないかとか、公表は制裁ではなく情報提供と位置づけるべきではないかとか、さらに、品質管理を重視するというのは賛成だが、実際の立入検査で不正を見きわめることは極めて難しいと。中小ですと、床面積が 300平米以下でよく不適正な計量が見出されますが、内容は、風袋を引き忘れたとかラベルを張り間違えたなどの単純ミスが多いといったようなことがあります。
 さらにその他として、計量器は詳細な構造や仕様を規制するのではなく性能だけを書くべきだとか、製造者の責任を明確にさせるようにすべきだとか、産総研へ権限委譲し、迅速に現場の知見が反映される仕組みを整えるべきだなどといったご意見が出されております。
 資料の説明は以上でございますが、本第1ワーキンググループにおいては具体的に何を検討していただくかといいますと、繰り返しになるかもしれませんが、特定計量器についての検査・検定制度、その中で特に規制対象機器。規制対象機器というのは消費者保護に重点を置くべきではないかというのは、要するに事業者間で取引をされているようなBtoB、事業者対事業者であれば、片方が何か不正なことを行えば、それは取引から排除されるため、そういった事業者対事業者についてしか扱わない特定計量器というのは削減する方向でいいのではないか。むしろ事業者から一般の消費者に対して使われるような特定計量器については、今までどおり規制を続けていくべきではないかといったような点。さらに、商品量目規制のため、自動はかりを追加するのかどうかといったようなことを検討していきたいと思います。
 さらにまた、計量士をいろいろと活用することによって、民間活力の活用ということで、検査・検定制度をもう少し地方公共団体にとって選択肢になる方向で拡充できないか。さらに、国際整合化ですとか第三者認証制度の活用ということで、例えばJISマーク制度を活用することの賛否についてとか、さらに、先ほどから出ていますが、適切な計量器の仕様ということで、検査のあり方、事後検査をどうするか。検査をしても、実際に今まで公表していないのですが、公表するために、もう少し公表のためのガイドライン等を整備して、透明性のある検査のあり方を検討すべきではないかとか、さらに、JCSSが一定程度普及してきたことなどにかんがみ、基準器制度は見直すべきではないか。これは第3ワーキンググループとの連携が必要なのですが。
 また、家庭用計量器は取引・証明には使われず、これこそJISマーク制度への移行等を検討してもいい時期に来ているのではないかとか、その他執行機関への要望といったようなことについて議論していただきたいと思っております。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 大変説明が長くなりましたけれども、それでは、残る時間ほとんどをいろいろ議論に使いたいと思いますが、どうぞどなたからでも、ご意見ございましたらば、最初に申し上げましたように名札をこのように立てていただきまして、待機していただければと思います。とりあえずはご意見でなくてご質問でも結構でございます。
 それでは、まず、加島委員からお願いいたします。坐ったままでどうぞ。
○加島委員  計工連の加島でございます。
 実は計量機器工業連合会は、小委員会及び第1ワーキンググループ、第2ワーキンググループ、第3ワーキンググループすべてに委員として選出されておりまして、計量器をつくるメーカーの代表の工業会として、非常に責任を感じているところでもございます。先ほど籔内室長の方から資料6の詳しい説明がございまして、もう既に計工連の委員会でいろいろ審議されました事項も取り上げていただきまして、本当にありがとうございます。
 私ども、ご存じのようにいろんな計量器をつくっておりまして、当然計量法の対象にならない計器もあるんですが、これもやはり取引に使われているということで、この辺もどのような形で審査していくか、検定していくかということも非常に重要なことだというふうに思っております。
 さらに、先ほども設備投資云々ということが書いてございましたが、これをちょっと補足説明させていただきますと、実はまだ、残念ながら国家標準のないものをはかっている計器がございます。したがいまして、これはある意味でトレーサビリティのもとがないということでございまして、メーカーが自分でやらないといけない。したがいまして、そのための検定設備をメーカーがつくらなければいけないというような計器もあるわけでございまして、ある意味で、本来国家標準があればトレーサビリティでもってくればいいものが、メーカーがやらなければいけないというようなこともあるということで、こういう意見も出ているんだろうというふうに思いますし、さらに対象会社も、非常に大きなところから中小あるいは零細企業もございますので、この辺の意見を取りまとめるのは非常に難しいとは思ってございますけれども、ぜひ皆さんの意見も取り上げながら、このワーキンググループでも審議させていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 1つ1つのご意見等にすぐにお答えいただかなくて、まとめてでも結構でございますから、後ほどまだ事務局の方でお答えいただくことがあるかと思いますけれども、ほかにありますか。
 それでは、横尾委員お願いいたします。
○横尾委員  東京計量士会の横尾です。計量士の立場と、もう1つは長年行政マンをやっていたものですから、東京都の計量検定所に40年近く勤めていたものですから、その辺も含めて、ちょっと広範囲にわたるかもしれませんけれども、意見を幾つかいってみたいと思います。
 1つは、先ほど行政室長の方からも説明がありましたけれども、行政側の全国のバランスが崩れているというお話があったのですが、確かに地方行政、地方分権になってから各地方自治体の体制というのが、私がやめたのは2年前ですが、2年前からみても大分弱体をしていると。これは、いろいろと計量制度が指定製造事業者制度とか指定定期検査機関ということで、先ほどから資料4にもありますように、ハード面が大分今の技術革新の中で縮小してきたということは私も認めるところなのですが、現実には、地方分権の中でハード面は確かに減るということは私も自覚をしているのですけれども、それではソフト面をどういうように生かしていくのか、当初は、平成4年法改正になって5年で施行されたときも、いろいろと私も委員をやっていたものですから、出ていって議論を全国的に展開してきたのですけれども、残念ながら、立入検査も含めて行政がフォローしようと。じゃ、ハード面が少なくなった分をどういうようにフォローしていくのかということが基本にあったのですけれども、法律の中の書き方でやることができるというような条項が大分多いものですから、なかなかそういう状況にはならなかった。体制が大分小人数になってきているということも一ついえるのではないかと思うのですが。それともう1つは、予算的にも大分減ってきている。あともう1つは、計量検定所という名前も大分なくなってきている都道府県が増えてきているように私も感じているところなのですが、やはりそういう面では、この資料4にもありますように、検定をやらなければならない特定計量器というのは、消費者に直接関連するような特定計量器については、当然検定制度というのは残すべきだなと、そういうように私も思っております。
 ただ、直接の中でも、一部技術革新がされて各地方自治体ではでき得ないようなもの、そういう体制的でないものは、JIS化だとかいろんな基準適合みたいなことでいくべきではないかなと、そういうふうに思っています。
 それともう1つは、計量関係の中で指定定期検査機関の問題と計量士とのかかわりの問題ですが、先ほど前段にいった部分と同じですけれども、計量士がどれだけできるのかなと。今、いろいろとこの間指定定期検査機関の制度ができてから、各地方自治体含めて、特定市も含めて、指定機関の方へ移行し始めているけれども、現実にはなかなかそれを補完するような、計量士をどういうように育ていくのかなという点で、一つ体制的にもあり得てない。東京の場合も、私も今、東京都計量協会に所属しているけれども、職員として行っているのですが、大型の分野、大きな「はかり」と、中型といいますかたくさんある計量器、たくさん使用している事業者、そういうところの定期検査については、比較的すんなりと指定定期検査機関に移行できたのですが、これから小型はかりの方に、一般の肉屋さんや八百屋さんや商店街にある計量器をやるという体制には、なかなか移行がしにくくなっています。
 というのは、私ども代検査、計量士による検査も一緒にやっているものですから、そちらの方の金額・手数料と、指定定期検査機関で行政の委託を受けてやる手数料・金額が大分かけ離れているものですから、なかなかそこの調整をどういうようにしていくというのが一つ問題がありますし、今現在働ける計量士が、動ける計量士がどれだけいるのかなということも、ちょっとまだ把握ができていない状況があります。
 また、東京の場合は比較的、人数的にも結構おりますので、何とか対応できるかなという感じはしているけれども、それもはっきりとでき得ない状況になっています。現在のところでも、都がやっている定期検査と、私ども東京における代検査をやっているパーセンテージですが、家数にすると、約8割は東京都が直営でやっている部分です。指定機関でやっているものが大体1%ぐらい。あと、代検査が16%ぐらいであります。規模数でいきますと、比較的数字が似通ってくるのですけれども、直営でやっている東京都の方の検査で大体65%。大部分東京都計量協会がやっているのですが、代検査の部分が34%ぐらい、指定機関の方でやっているのが 1.2%、こういうような状況であります。
 ですから、この辺のところで今後どういうようにしていくのかという点では、単純に、行政ができなくなってきたからどこか民間活力を活用しようといっても、なかなかそういう状況にはなってこないのかなと。あと、計量士の問題は小委員会の中でやるという話ですけれども、どういうように今後の計量士の制度の見直しをしていくのか、その辺のところについては、また具体的にその時期に私も発言をしたいと、そういうように思っています。
 もう1つ、先ほどの基準器の問題ですが、基準器制度というのは、もうご存じだと思いますけれども、従来から検定・検査に使われる計量器ということで、私も長年使ってきたわけですけれども、今の計量法の制度では、検定・検査に使う計量器という形なんですけれども、現実は、それ以前は国家標準といいますか基準となるものという、JCSSのトレーサビリティの分野がなかなか進んでなかったものですから、基準器制度がそれを肩代わりしてきたといういきさつがあります。まだまだこの基準器というのは検定・検査に使われているということで、計量士の定期検査にも使われていますから、そういう意味では、一概にJCSSが進んだからこれをなくすというのは、ちょっと私は疑問に思っています。詳しい内容については、今日余り長くしゃべってしまってもいけませんので、このくらいにとどめておきますけれども、今後の中でその辺のところを私の方からまた発言をしていきたい、そういうふうに思っています。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、中野委員。
○中野委員  大阪府計量検定所の中野でございます。私の方からは、大きな総論のところで2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 計量制度の検討ですが、平成4年のときの制度検討を振り返りますと、今の計量制度の中には、例えば規制緩和への対応という点では、平成4年のときに指定製造事業者制度が創設されたり、指定定期検査機関制度あるいは指定検定機関制度、そういうようなものを取り上げて、導入して、規制緩和への対応が図られてきたと思っています。また、検定につきましても、検定の有効期間の延長でありますとか、あるいは定期検査の周期の見直しでありますとか、そういう形で規制緩和への対処もされてまいったというふうに認識しています。
 それから、今日の計量制度の課題は、国際整合化であるとか、あるいは技術革新への対応というところをテーマにもっていますが、例えば今行われているように技術基準のJIS化の作業、そういうようなものも進んできております。こういうふうにみますと、今の計量制度は規制緩和へ柔軟に対応してきたのではないかなと、そういう感じを受けております。
 それから、今規制緩和の関係で考えますと、行政の規制が技術の進歩を妨げるんだという意見があります。私もそういう一面はあるのかなというふうに思っていますけど、この指定製造事業者制度におきましては、指定製造事業者の指定を受けた製造事業者は、自主検査を行い、基準適合証印をつけて、適正な計量器としてユーザーに提供しているわけでございます。一方、検定制度がございます。指定製造事業者制度は非常に大量の計量器を製造する事業所で活用され、インセンティブ効果も発揮しているわけでございますが、一方、中小零細の製造事業者、あるいは生産個数の少ない製造事業者、こういうところに対しては、やはりこの検定制度が品質の保証を与え、正確な計量器の供給を支えている側面もあると思っております。
 したがいまして、今回の制度の検討におきましては、現行の検定・検査制度のどこに問題があるのか、そういうふうなことを踏まえながら制度検討をしていただきたいというふうに思うわけでございます。これが1点目でございます。
 それから2点目でございます。都道府県の計量行政の執行体制のあり方、これの弱体化というのが非常にクローズアップされています。これはどこに原因があるかということを私なりに考えてみますと、1つは、機関委任事務が自治事務化になりまして、それまで、計量の仕事に従事する者は計量教習所の長期研修を受けた者でないといけないと、そういう必置規制が廃止された。これによって人材育成あるいは技術の継承、そうしたことに支障を来してきたというのが1つかなと。
 それから、計量行政事務の実施水準に当たりましては、平成3年の審議会、平成12年の自治事務化のときの審議会でも、やはり計量行政事務の実施水準の確保、強化、こうしたことがいわれておりましたが、どうやら自治事務という理念が先行して、都道府県の役割というようなものが、例えばですけど、計量法なりに明記するとか、そうした都道府県の責務がオーソライズされてこなかった、そういうところに一つ問題があるのではないかというふうに思っています。
 指定定期検査機関制度が平成4年にできました、その後、自治事務化によって特定市もたくさん生まれました。都道府県の「はかり」の定期検査の仕事というのは非常に不効率になってまいりました。その不効率を解消するために、指定定期検査機関制度を活用して事務をアウトソーシングしている都道府県がだんだんふえてきています。大阪もそういうアウトソーシングをしてまいりました。しかし、そのアウトソーシングしたメリットというのを一般的にみますと、アウトソーシングをすれば、その分組織がスリム化できるという認識はありまして、これは当然そういう評価もしないといけないというふうに思っているわけですが、そのアウトソーシングした後のメリットを何に発揮するのか。例えば立入検査を充実していくとか、そういうところへうまく向けることができなかった。一般的な傾向として申し上げるとそういうことで、結局は都道府県の検定所の人員削減に結びついたという現象を招来したのではないかなと。これも都道府県の組織の弱体化の一つの問題ではないかというふうに思っております。
 それで、これから検討されていきますので、突っ込んだ意見はその時に述べたいと思うんですが、計量行政というのは、やはり全国的にある程度統一性と整合性を担保して実施していくべき制度であろうというふうに思っておりますので、そういう意味から、もう少し都道府県が自治事務の中でどういうふうに実施していくのか。これは審議会あるいは小委員会のときにも述べられていると思うわけですけど、どの程度の水準でどういう仕事をきっちりと都道府県が責任をもって実施していくのか、そういうふうなところに少し踏み込んでいけばいいのではないかなと、私はそういうふうに思っております。ともすれば組織とか人員とか、そういう都道府県の組織については、自治事務だからなかなかいいにくいという側面もあろうかと思うのですが、やはり地方計量行政の執行機関である都道府県がこの役割を果たしていくためには、そういうところにももう少し突っ込んで、何か考え方を整理しオーソライズされればいいのではないか、そういうふうに感じている次第でございます。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 では、三浦委員。
○三浦委員  私ども行政機関の内都道府県の現状につきましては、先ほど中野委員がお話をされましたので、私の方からは特定市の現状ということで少しお話をさせていただきたいと思います。
 現在、特定市町村ということで政令によりまして指定をされておりまして、特定市は 113市ございます。この中で主な業務といたしましては、はかりの定期検査、それから立入検査、これは商品量目や計量器及び事業者関係の立入検査、こういったことを主体として業務を行っております。ただ、特定市の規模につきましては、人口につきましても 350〜 360万の大都市から、下の方は5万人程度の都市まで大きな開きがございます。財政規模につきましても、平成17年度の一般会計予算の中でも1兆を超える都市から 200億程度まで、それから計量関係職員におきましても、20人の専任を数える都市からすべて兼務の都市まで、千差万別というふうにいえると思います。こうした中で、実は地方自治法の特例市制度ということで特例市に指定をされますと、ほかの権限とともに計量法関係の権限もおりてくるということで、これからも特定市というのはまだふえていく現状にあります。特定市も計量行政の中で大きな役割を担っておりますので、その辺も踏まえて、この検定・検査制度の検討にはぜひ入れていただきたいと思います。
 私ども特定市におきましても、現在、定期検査につきましては非常に民営化が進んでおりまして、約5割近くは指定定期検査機関、代検査、こういったものが進んでおります。実は私ども千葉市におきましても既に指定定期検査機関を指定しておりまして、これは初めてでございますけれども、民間の指定定期検査機関を私どもは指定をしております。今現在ではもう1市、日立市でございますけれども、これも民間の指定機関を指定しているところでございます。
 こういった中で私ども千葉市の場合は、先ほど中野委員の話がございましたとおり、その指定定期検査機関を指定した、要するに業務を委託したということで、人員の方も6人から4人に削減をされております。どうしてもこういう委託化ということになりますと、その費用に見合う人員が削減をされてしまうという現状にございます。
 ただ、私どもといたしましては、定期検査分がなくなった分、立入検査の強化、普及啓発ということで、その中でも普及啓発には非常に力を入れておりまして、モニター制度、計量展、子供たちへの勉強室とか、そういったものに非常に力を入れているところでございます。ですから特定市の業務としては、これからはこういう定期検査、ハードの検査から、立入検査を代表とします市場監視的な業務、それから普及啓発、こういったものにシフトをしていくのではないかというふうに考えております。
 定期検査の委託化ということで、先ほどからも話がございますように、大都市におきましては計量士の数も非常に多いので、そういった委託化が可能でございますけれども、地方都市におきましてはやはり計量士が少ない。そういった問題もございますので、その辺は国としてどういうふうな担保をしていくか、その辺も議論をしていただきたいというふうに考えております。
 それから、定期検査につきましてはもう1点、非常に手数料が安い、低廉ということで、千葉市の場合でございますけれども、手数料が約 200万円でございます。これに対しまして、指定定期検査機関に委託をしております金額が約 1,400万円でございます。ですから、 1,200万円は千葉市からの持ち出しということで現在事務の処理をしております。こういったことから手数料につきましても、検査に要する経費は受益者負担にするのか、それとも公益で負担する、要するに税で負担するのか、この辺の議論も必要ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 では、三木委員お願いします。
○三木委員  産総研の三木でございます。法定計量の中で、型式承認と基準器検査を主に受け持っておりますので、この部分を中心に私の考えを述べさせていただければというふうに思います。
 法定計量というのは、どこも先進諸国はそれぞれちゃんと長い歴史をもってやってきているわけですけれども、特に最近、世の中の動きからして、国際整合性という動きが非常に強く出てきております。規制をかけるということは、最終的にはどこまでやるのかということになると、ある意味での相場観というのでしょうか、ここまでやれば皆さん安心ですよねという、そういうお互いの信頼感みたいなものが結構重要だと思いますので、そういった意味からも、世界的にはどうなっているのか、できるだけそれに合わせていくというのは、ある意味で最終的にはコスト的にも得をするのだろうなと、そういうふうに思っております。したがって、今回の改正においては、特に理由がない部分については、できるだけ国際的な整合性をとるというのはやはり念頭に置かなければいけないのではないか、そういうふうに思っております。
 我々は国際的な機関として、ほかの国の機関とつき合い、制度の調査も行っておりますが、それから申しますと日本の特定計量器の数というのは、多い方ではないかというふうな気がしております。したがって、先ほどの横並びというのはいいか悪いかというのは別にして、多い部類に属しているというのは、やはり検討すべき事柄だと思います。一方で、多くの国が規制対象にしている自動はかりを対象にしていないというのは、また検討しなければいけないのではないかというふうに思います。
 また、世の中の流れということから話をしますと、型式承認という制度は、法定計量の中で、現状、世界のスタンダードになっておりまして、ヨーロッパでは例えば設計図面だけで型式承認にかわる認可をしようという制度も一応はつくってはいるけれども、やはりこの方式は実際には実施困難であるということを聞いております。ここ10年、15年というところのスパンをとったとしても、やっぱり型式承認というのは非常にスタンダードな制度として残るのであろうと思います。しかも、それを実施するに当たっては、その適合性に関する判断というところで、ある意味で、裁量といっては変なのですけれども、実施する機関に権限を委ねるということが必要になってくるのであろうと思います。
 したがって、先ほどのこの資料の中に独法産総研に権限を与えるというのを書いていただいて、非常にそれは我々としてはありがたいことだと思っておりますけれども、法定計量の分野に関しての権限というかなりの部分は、そういった意味では、技術的なところについての判断という意味での権限をもっと拡大させていただきたいということです。法律にどのように明記できるかはわかりませんが、技術的な判断という意味での権限拡大なのであろうと思っております。
 それともう1つ、先ほど基準器の問題がございましたけれども、我々も基準器というのは、これまでの日本においては標準供給の制度であったということは認識しておりまして、それが一概にすぐJCSSに移るものではないということも理解はしておりますが、JCSS制度の整ったものはそちらに移行すべきと思います。もともと基準器の使われ方というのは、検定・検査に使われる、それから玄人が使うということを前提にしていますので、技術基準そのものは、単に標準供給として使うと変になってしまうという部分もございます。技術的にはJCSS制度と二本立てになって違っているという部分と、それから料金制度が全く違っているということが、大きな問題となります。基準器検査の手数料とJCSSの手数料が同じであれば、移行するということもかなり容易にはなるのであろうなと思います。
 そういった意味で、先ほどから議論に出ておりました手数料の考え方、行政サービスとしてある程度考えなければいけないのでしょうけれども、そこをどの程度考えるかということが、独法産総研としても非常に気になるところでありまして、我々も、料金は行政サービスで、すべて採算度外視でやれといわれるとなかなか苦しい部分がやはり出てくると、そういうことがあります。
 最後に、もう1つあります。いろんな意味で制度を変更するときに、外国では、これも国情によっていろいろ違いますけれども、規制をする側、される側、それに関連した工業会が一緒になって議論する場が活発に動いているということがございます。消費者にも意識をもっていただくための情報を提供しあうという意味からも、お互いに利害得失を十分議論し合うという場というのをつくっていくというのは非常に重要なことではないか、そういうふうに思っております。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、山本委員お願いします。
○山本委員  先ほどの行政室長のご説明で、第1ワーキンググループの検討すべき課題ということで、まさに一番冒頭が特定計量器の規制対象の削減あるいは自動はかり等を追加するかどうかという、いわば特定計量器そのもの、規制対象をどうするかということで、一番重要な課題だというふうに私は思ったわけですけれども、それについて、先ほどのご説明のところで資料6、すなわち小委員会のときの特定計量器関係のところで非常に貴重なご意見、しかも重要だと思ったものが2つあるわけです。1つは、規制対象を削減する方向で見直しを行う、その際は消費者保護と、これは矛盾しないのかということ。もう1つがその次ですけど、何を規制対象とするかを1つ1つ拾っていくと、技術革新に追いつかないのではないか、あるいは複合化した、例えば長さ計と温度計と圧力計と流量計、みんなくっついているようなものを1品目ごとに規制しているのでは間に合わないのではないか、新しい仕組みを考える必要があるのではないかと。この最後のところは非常に重要だと思いまして、その点でコメントさせていただきたいと思います。
 先ほどご説明にもありましたけれども、計量法、26年のときには50機種に及ぶということでしたが、およそ世の中で使われる計量器はすべて対象にしようということから、当時の計量法では、いわば外観的に区別しやすい、すなわち形態別あるいは原理構造別に分類をしたわけです。そのまま今日に至っていると考えるべきだと思うのです。途中で幾つか削減等もありましたけれども、例えば工業用とか、あるいは専門家が調整しながら使うとかということで削除されたのはありますけれども、基本的な考え方はそういうことだと思うんです。
 それに対して、先ほどもありました、国際的な情勢でありますOIMLの先進諸国等は、基本的には法規制の対象を各計量器の使用分野あるいは用途から規定しているということで、分類はほぼ用途別になっております。具体的に申しますと、例えば日本の場合、計量法には積算体積計というのがあります。日本の計量器、今18機種あるんですけれども、18機種というのはどういうふうに数えるのかわからないのですが、積算体積計というのがありまして、その中には水道メーター、ガスメーターとか燃料メーターとか入っています。特定計量器のご説明の資料3のところでは、具体的にガスメーター、水道メーターと書いてありますけれども、計量法では積算体積計というのが出てくるわけですね。そうしますと、何が入っているのかよくわからない。現実には、水道メーター、ガスメーターといわれるとよくわかるというところで、当然のことながら、欧米諸国では水道メーター、ガスメーターってすべて用途別ですから、別の種類の計量器として扱われています。ですから、大分類の積算体積計というのはないわけですね。使用分野別、用途別ということで。
 あるいはもう1つ例を挙げますと、温度計、圧力計もしかりで、日本の場合には温度計って、その中に普通の寒暖計と体温計と入っているわけです。それから圧力計の場合でも、例えば普通の車両船舶に使われているもの、あるいは工場でコントロールに使われているものと血圧計と同じ圧力計で、細分類のところで規制対象になっているというのが初めてわかる。ですから、それは原理構造別、大分類というのがまずあって、一番一般国民の目につくのはそこなので、なかなかわかりにくいということがあります。そういうことがそのまま残っていますと、今回の規制対象の見直しというときでも、いわば原理構造別のままでみていこうとすると非常に困難が出てくるのではないか。
 ちなみに、先進国はどういうふうにしているかというと、先ほどの使用分野別、用途別というのは、例えば商取引用とか、あるいは公的証明用とか、あるいは医療薬剤とか環境保護、あるいは産業安全、事故防止、道路交通監視、その他いわば計量法で規制対象とすべき、先ほどの資料3でいいますと、一定の行政コストをかける必要があると、かけて規制をする必要があるというものはどういう分野かということで、まず特定計量器の指定の仕方を指導的にルールがかけられていて、そこから後は、個別の分野ごとにどのようなものを規制していくかということで規制対象というのは決まってくるわけです。
 ですから、国際的に整合といいましても、これは数合わせといっても、例えばドイツは非常に日本より多いですし、イギリスは日本より少ないということで、数合わせも非常に困難だということからしますと、日本独自に、我が国ではどういうものを特定計量器として規制対象とするのかというところの指導的なことをきちっと立てた上で、規制対象を検討していくという必要があるのではないかというふうに思います。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 既に6人の方にご意見を伺ったのですが、全部になるとちょっと大変なので、室長からちょっとこの辺で、今までのご意見に対する若干のコメントをいただくことにいたします。
○籔内計量行政室長  先ほどの山本委員からのご発言へのお答えになるかと思いますが、18品目といっていいのか18機種といっていいのかわかりませんが、代表的なものは18指定しているのですが、中身は、確かに細かくみますと40幾つに分かれております。
 したがって、今回見直しを行う場合には、まさに消費者保護に重点を置いたというのは、先ほどいいましたけど、メーカーから直接消費者に行くような計量器については規制を相変わらずかけて、そのまま今の状態で残していく。しかしながら、事業者と事業者の間でしか取引が行われないような計量器については、そこは削減していっていいのではないか。その場合のどの分類でということなのですが、我々は今のところ、1つ1つ細分類において、40幾つベースで1つ1つ、どんなふうになっているのかというまず実態をみてから、そこは削減するレベルなり機械なりを決めていきたいと思っている最中でございます。ご指摘ごもっともであります。
 計量士会の横尾委員のおっしゃった、消費者に直結するような計量器は残すべきだということは、まさにおっしゃるとおりだと思っておりますし、実際に動ける計量士さんがどのぐらいいるのか問題だというのは、まさに我々もちょっとドキッとするような点があるところでございます。そこは今当方でも、実際に登録なさっている方の中でどのくらいの方が活動していらっしゃるのか、実態を把握していきたいと思っております。
 それから中野委員のおっしゃった、今の検査・検定制度のどこに問題点があるのか、きちんとそこは問題点を抽出してから制度設計してほしいというのは、まさにそのとおりだと思っておりますし、都道府県の責務というのを法律にといわれても、そこは厳しいところがあるのかもしれませんが、何らかの責務というのは、例えば審議会の答申の中にでも書くとか、そういった方向は少し検討していきたいと思っております。
 あと、特定市の三浦委員のおっしゃった手数料の話というのは、まさに手数料をどうにかしないと、とは思っていますが、今後、そこもいろいろと検討していきたいと思っております。
 それから、いろいろと出ておりますJCSSですが、まさに三木委員のおっしゃったように、途端にJCSSに一本化というのはなかなか難しいのではないか。したがって、基準器制度というのは本当にJCSSに一本化できるのかできないのかとか、まずそこから是々非々で議論していきたいと思っている最中であります。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 まだほかにも反論があるかもしれませんが、まだ8人の方に意見を伺っておりませんし、きょうは一通り皆さんの方からぜひご発言をいただきたいと思っていますので、残り時間があと40分ぐらいしかありませんから、この後は5分以内でお1人のご意見を、できるだけ要点をお願いしたいと存じます。申し訳ございません。
 それでは、柿沼委員どうぞ。
○柿沼委員  日電検の柿沼でございます。
 前回の計量法改正、大幅な改正が行われました平成4年以降、先ほど来室長さんのご説明がございましたように、電気計器の分野におきましても技術革新あるいは国際整合化の動きなど、計量制度をめぐる状況は大きく変わってきているということで、こういう状況に対応した持続可能な制度設計、これは極めて重要であるというふうに私どもも考えております。私どもといたしましては、日々、電気計器の検定を実施し、消費者あるいは関係の事業者の方々のご意見等承っている立場として、そういう実態を踏まえていろいろ問題提起などさせていただければと思っております。
 本日は第1回目ということで、2つ申し上げたいと思っております。まず、ソフトウェアの認証等の問題でございます。現在、計量器は電子化が進んでおりますけれども、組み込まれておりますソフトウェア、これをどう認証し保護していくか。特に電気、ガス、水道などの公益メーターでございますけれども、外部のネットワークにつながってデータのやりとりを行う、そういう遠隔検針の需要が高まってきているわけでございます。これらにつきましては、例えば外部からソフトウェアやデータが操作される可能性がないのかどうか、あるいは適正な計量の観点から、これらのソフトウェアの認証あるいは封印といったような信頼性確保のための検討、これが必要ではないかと考えているところでございます。
 次に、いろいろお話がございます国際整合化の問題でございます。OIMLあるいはIECなどで策定されます国際基準、これを国内基準化するということになろうかと思いますけれども、そうなりますと、国際基準そのものを我が国に適用可能なものにしていく、そういう努力を従来以上にやっていく必要が出てくるのではないかということ。さらには、電気計器でございますと、全国で取引用として8,000万個近い数があるわけでございます。これをそういう国際基準にどう整合化させていくかという、これはかなり具体的な実施の段階での話になろうかと思いますが、そういう点も問題としてあるのではないか。また、我が国の実情に合致しないような国際基準についてはどう扱うのか、その辺の基本的な考え方について、ぜひこの場におきましても議論いただければというふうに思っておるわけでございます。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 では、武田委員お願いします。
○武田委員  データベース振興センターの武田と申します。データベースと計量というのは余り関係ないわけでありますが、私、別途ISOの理事会メンバーでございまして、その立場から参加させていただいております。
 こういった計量制度の信頼性を高めるために、さまざまな適合性評価のメカニズムがあるわけです。ISOでCASCOという適合性評価委員会があって、そこでCASCOツールボックスといわれている、いろんな適合性評価機関の認定をしたり認証をするための要求事項というのをつくったりしているわけであります。そういう目でみますと、この計量法というのは大変興味深くて、製品認証から、それも全数検査から型式承認もあれば試験もキャリブレーションもあって、検定とか代検査とかそういうインスペクションもあるし、品質管理とか、あるいは人の認証とか、自己宣言まであって、何でもそろっているということで大変興味深いのですが、そういったたくさんある個々の適合性評価制度というのが本当にうまくいっているかどうか。先ほどもお話ありましたけれども、個別にちゃんと回っているのかどうか、あるいは制度疲労を起こしていないかどうかということをチェックしていく、洗い直していく必要が大事かなというふうに思っています。
 特に地方自治体のいろんな現状等を考えますと、指定定期検査機関とか、そういう指定制度、指定機関制度、これは、いってみれば認定を受けた認証機関の活用ということになるわけであります。その辺は、法をうまく拡充する、あるいは活用するということが対応としては不可欠かなと思います。ただ、そういう観点で適合性評価機関の国際整合化ということをしますということは、実は大変難しい、厳しい話があると思っています。先ほどの手数料の話にも絡んでくるわけですが、それぞれ要求される事項というのはそれなりに厳しくて、先ほども資料をみて驚いたのですが、MLAPですら ISO/IEC17025に今は整合化してないというのは、ちょっと私自身驚いた次第であります。そういう意味で、国際レベルに合わせていくというのは大変な面も出てくるのですが、ただ、そういうことをやらないと、こういう認証機関の真の意味での競争力というのは出てこないのではないかなというふうに思いますので、ぜひ一歩ずつでも進めていただきたいと思っております。
 あと、技術革新への対応というのは、ますますこういう計量機器が高度化してきますと難しくなってくるわけですけど、従来も進めておられますけれども、ぜひ性能の基準化というのを進めていただいて、構造と器差というのが計量法の根幹でありますけれども、材質とかそういうのをそろそろ余り考えないで、むしろそこは性能基準というのをきちんと明確化して、それを評価する。先ほどの行政評価機関が評価していくという体制をつくっていくべきだろうと思います。ただ、もちろん中小事業者等いるわけですから、そういった参照標準のようなものはある程度必要になってこようかと思います。
 あと1点、最後に細かい点になってしまいますが、家庭用計量器等々でJISマークの活用などによって代替していくかということなのですが、もちろん、現在自己宣言でやっているわけで、それをやめてJISマーク制度だけにして、それでマーケットの判断に委ねるというのは、それはそれで規制緩和という面もありますし、より合理的になるという面でいいのかもしれませんが、他方、計量法でJISマーク制度を引用してしまいますと、製品認証、第三者認証をそのまま引っ張ってくることになりますので、多分これはこのペーパーの書き方の問題だとは思いますけれども、製品認証という世界と、まさに自己宣言という世界とか、あるいはインスペクションという世界、そこはきちんと分けて議論した方がいいのではないかなと思います。
 以上でございます。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 河村委員、次お願いします。
○河村委員  主婦連合会の河村です。
 事務局の方なども繰り返し、見直しの際には消費者保護に重点を置くとおっしゃっていますから、私は、その言葉に沿って見直されることを信じておりますので、今、具体的な意見をいうよりも、これからの審議の過程で、今までのルールを変えていく具体的な提案がなされたときに、それが消費者の利益に適っているかどうかを考え、意見を申し上げたいと思っております。
 ただその際に、小委員会でもある委員の方が、計量に関して消費者は充分守られてきた、と言われたように、今の計量制度の検査や検定を行っている方法などについてではなく、その結果として、消費者が受けている安全・安心というものに何か不備や問題があるとは私は思っておりませんので、制度の見直しに当たっては、今までと同じだけの安心・安全を、いかに、より合理化された無駄のない方法でもたらすことができるかということを考えていただきたい。無駄を省くということは全く正しいことだと思いますので、消費者にとって結果はなるべく同じで、その途中、制度が運用されている過程が、より無駄がなく合理的になるようにというような考え方をとっていただけたらと思っております。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、次は岩崎委員お願いします。
○岩崎委員  NITE認定センターの岩崎と申します。私どもは計量法のJCSS制度、MLAP制度を運用しているわけですけれども、そういう試験所、校正機関の認定制度を運営しているという立場から申し上げたいというふうに思います。
 今ほど随分検討の方向が出されているわけですけれども、いわゆる自己確認とか民間活力の活用、行財政改革と、そういう方向がある程度出されているわけですけれども、資源が限られているということがまずあるだろうというふうに思います。限られた資源を効果的に活用していくということが一番必要ではないか。これから法改正のための制度設計もやっていくわけですけれども、そうであればその辺の限られた資源、私どもの方からいわせていただきますと、製品認証制度なり試験所認定制度というのをこの制度設計の中にも組み入れていくということが重要ではないのかというふうに思っております。
 ただし、その場合でも、新たな認証制度なり認定制度をつくり上げるということではなくて、重複の規制を避けるということからも、例えばJISマーク制度という話も出ていますけれども、あるいは私どもはJIS法のJNLA制度(試験所認定制度)も運営しているわけですけれども、そういう現行のある制度というのを活用していくということも一つの大切な方向ではないかというふうに思っております。
 いろいろ出されていますけれども、計量法の中でもJCSS制度と、さっき話が出ていますが基準器制度、それから試験所認定制度関係という話になりますと、今ほども武田委員の方からも発言ありましたけれども、ISO/IEC 17025に基づくJNLA制度とMLAP制度というのは、17025と異なる告示の基準に基づいてやっております。ですから、そういう2つの制度が混在しております。それから、製品認証関係でも9001に基づくJISマーク制度、これと似たような形にはなりますけれど、省令の基準になっている指定製造事業者制度、こういうふうに別々な制度というのが現行である程度使われております。ある意味では人とか物とかお金、資源の非常な無駄使いというのが行われているのではないかと考えております。こういうことをやめて、基準認証制度での重要な根幹でもありますワンストップテスティングの考え方、要するに1つの基準に基づいて、1回の試験で1回の認証、1回の認定でやれるような制度というふうに、計量法の新たな制度をつくる場合でも、そこを考えて設計をしていただきたいということをお願いしたいというふうに思っております。
 もう1点、私どもはJCSS制度を運用しておりますので、普及してないとか普及してきたとかいろいろいわれておりますので、若干そこの現状だけ申し上げますと、現時点で認定事業所数が18区分で 185事業所、16年度中に認定事業所でJCSSの校正証明書というのが33万 4,000枚世の中に出回っているということで、使われてないといいながら年々、十分だとはいえませんけれども、ある程度着実に普及はしてきているというふうに私どもとしては考えています。平成13年度に現場で使われる計量器まで対象にしておりますので、それ以降というのは年々40から50の事業所が認定されているということで、かなりな伸びになっております。
 さらには、皆さんもご承知のように法改正がありまして、4年の更新制というのが導入されました。したがいまして、4年ごとには必ずチェックが入るということで、今までの永久権利の扱いではなくなりますので、制度自身の信頼性というのもかなり高まるというふうに私どもとしては考えています。
 以上、報告だけさせていただきました。ありがとうございました。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 では、山?委員お願いします。
○山?委員  今回の検討の内容に自動はかりを考えているというお話でございました。非自動はかりというのは、資料3によりますと、静止状態で計量する「はかり」と説明されています。その反対に、自動はかりとは動いている状態ではかるというようなことになると思うのですが、どのように自動はかりの標準性能特性を、例えばキャリブレーションのやり方を考えていくのか、あるいは特性をどう評価するかといった問題に難しいところがあります。現在、それで検定の対象の中に入っていません。しかし、ほかの国ではもう既に入っているわけです。一方では、この分野の技術というのは非常に進歩が速いということと、それから、自動化された「はかり」は自動化された製造装置の中に一体として組み込まれまして、その装置の中で自動化システムの一環として非常に重要な役割を果たしています。現実には非常に大量の自動的生産が行われているわけですから、我々の生活には非常に関係が深いというような意味で、自動はかりを今回ぜひ対象に加えていただきたい。
 その際に、静止状態ではないから、特性や性能を評価する際にスタティックな出力である指示値と動的な性能、これをはっきり区別して評価していく必要があるのではないか。今までの公差とか誤差とかいう考え方は、大体が静止した状態ではかることを前提に考えられておりますようですが、時間的に変化するものをどうとらえていくか。誤差も、動的な誤差を考えていかないといけない。不確かさについても同じですが。そういったことで、動的な量をどうとらえるかということについて、ぜひ検討を深めていただきたいと思います。
 これは「はかり」ばかりではなくて、電力の計測などについても同様です。例えば交流電力ですが、今までですと、正弦波で電流あるいは電圧が供給されていて、使われる方も正弦波で使われていると考えられているわけですが、最近、必ずしもそればかりではなくなってまいりました。ご存じのように、交流を直流に戻して再び別の周波数の交流に変換して使うというインバーターが使われています。その中で半導体のデバイスで電流をオン・オフいたしますと、正弦波ではなくて、かなりシャープで複雑な波形で使われるわけです。そこで、一体電力というのはどうなのかというようなことまで含めて考える必要があります。今後電力を使う機器でますますインバーターの普及が考えられますので、計測対象を安定な静止した状態だけではなくて、時間的にかなり急激に変化する対象の計量に標準をどう整合させていくかがこれから非常に重要になってくるのではないか、こんなように思います。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、杉山委員お願いします。
○杉山委員  私は日本品質保証機構の杉山です。私どもの扱っている検定品目は環境計量器で、これが今後この委員会等で見直されるということですが、消費者保護という観点からみましたら、環境計量器関係というのは直接消費者とは結びつかない面もあります。JCSS制度がこれだけ普及したという観点からみますと、この辺で環境計量器の検定自体を見直すべきかというような印象をもっております。
また、有効期限の見直しが数年前行われましたが、環境計量器は騒音計が5年、濃度計は8年と非常に長い有効期限になっております。私どもの調べではヨーロッパあるいは韓国等で例えば騒音計の有効期限をみますと、使用中のもの、あるいは出荷時のものによって若干違いますけど、1〜2年の有効期限となっております国際的な面からみましても、環境計量器の有効期限は非常に長いと思います。このような背景を考えますと環境計量器の検定制度もJCSS制度の中で考えることが適切かどうかを含め、今後私どもの考え方について述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 では、石川委員お願いします。
○石川委員  電気計測器工業会の石川でございます。
 私ども特定計量器の面では、電力量計、水道用の大容量流量計、大気汚染濃度計などを提供しているメーカーの団体でございます。我々メーカーと購入者との関係は、先ほどの事務局説明の区分けによれば、BtoBに属するように思えます。あわせて機器の提供者側としては、品質という面では相当程度自信をもっておりますし購入者側のチェックも厳しいのですが、実際にそれが使われるのは、電力なり水なりが普く消費者に提供される経済行為としての局面でありますので、消費者との間で計量の正確性の納得感のずれが生じないように、制度設計において国あるいは公的な機関の関与が残るような配慮が必要なのではないかと思う次第であります。
 もう1つは、これからますます国際化というようなものが進み、現在我々の提供する商品も、国内だけではなくて海外で作られたものも入ってくると思いますけれども、そういう状況になったときに、経済性重視の規制緩和の故に品質が落ちるようなものが紛れ込み、製品全体に対する不信感が醸成されるようなことは大変怖いので、制度的にそういう面での担保というものもぜひ考えてほしいと存じます。
 そういう観点も含め、委員会でもあるいは事務局側からも、いろいろな意見や案が出てくると思いますけれども、私も今後とも機器の提供者サイドからの意見を述べさせていただきたいと思っております。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 小島委員代理の根本さん、何かご意見ありますか。
○小島委員(根本代理)  産業技術総合研究所の根本と申します。本日は小島の代理で出席しております。
 私どもは、型式承認の試験の実施機関であります。私も、型式承認ということで特定計量器の試験を実施しております。現在は、その製品、特定計量器を製造する技術というのは日々進んでいるわけでございますが、それらの国内、国際的な技術基準というのも、その製品に対応して、日々、新しい技術基準が導入されているところでございます。しかし、それらを評価するための試験の設備等の開発というのが、非常に困難なところがございます。新しい基準にすぐ対応できる、評価を可能とする試験設備を設置するというのは非常に大変であります。
 まず、1つお願いがあるのですが、それらの試験をするための、要するに代替する評価方法の導入等がいろいろあるわけでございますが、そういうところにつきましても、こういった制度面での検討の場に加えていただければ大変ありがたいなと、試験をしている立場からお願いでございます。
 以上です。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 本当はもう1ラウンド、また皆さんの意見を伺いたいですけど、時間がそろそろまいりました。
 私、最後の発言にも関連して。私は審議会でも申し上げたのですけれども、産総研が技術的ないろいろな裁量を自由に発揮できるようなシステムを考えるべきではないかというのが第1点と、それから型式承認については、国際的な整合性が一体どうなっているのか。これは機種別に非常に違うと思うのですけれども、例えば分類にしてもそうですし、例えば型式の分類はどこまでやるのか、それから有効期限の問題もありますし、その辺のところをもう少しうまく整理していかないと、産総研がパンクしてしまうのではないかというような逆に恐れもあると思っております。
 なお、余り具体的なご意見は皆様の方からなかったですけど、計量士については、やはり実際の機能をどういうところに発揮するかということも考えた上での、もう1度新たな分類を考えた方がいいのではないか。それによって、もっと現在の計量士も活用できる余地がいろいろとあるのではないか。現在のように、例えば一般計量士ですと、代検査とかその程度のことしかできないというようなことでは、制度的にもったいないのではないか。その辺もぜひあわせて、座長である私が余り意見をいってはいけないかもしれませんが、検討をお願いしたいと思っているところでございます。
 では、時間が来ましたので、最終的なまとめを籔内室長にしていただきたいと思います。
○籔内計量行政室長  いろいろとご意見いただきまして、本当にありがとうございます。
 武田委員のおっしゃった、指定機関の活用とか拡充が必要ではないかとか、国際整合化というのは非常に大変な作業というのは、まさにおっしゃるとおりだろうと思っております。また、家庭用計量器につきましては、一応計量法から外してJISマーク制度の適用の方にというふうに、今のところ考えております。
 また、河村委員のおっしゃった、今の検査・検定の方法ではなく、結果について問題があるとは思えないというのは、まさに的を射ていらっしゃると思っております。ただ、その途中で、より合理的な方法で行うようにしていただいて、結果は今までどおりの安心・安全なものが世の中に出ていくようにしていただきたいというのは、まさにおっしゃるとおりだと思っております。
 あと、山?委員のおっしゃった自動はかりを対象にするかどうかというのは、まさに自動はかりが現在計量法の対象になっていないがゆえに、何か大きな問題があるのかないのかとか、さらに商品量目との関係で指定するのがいいのか悪いのかとか、さらに、性能をどう保証するかというか、まず、自動はかりという定義がまだよくわからないですよね。だから、もしするのであれば、そこら辺からきちっとやっていかないといけないということで、そこは当方でも、いろいろな観点から議論は今後行っていきたいと思っております。
 あと、BtoBは基本的に削減という方向ではありますけど、さっきいいましたように、18品目というか機種レベルではなく、細分化した約40幾つの中には、BtoBといっても片方の事業者はほとんど計量について素人であるというようなBtoBも中にはあるわけでありまして、そういうものについては、個別事情を勘案しながら今後検討していきたいと思っております。
 私の方からは以上です。
○飯塚座長  一応全体を通じて、松本審議官からコメントいただきたいと思います。
○松本審議官  本日は本当に長時間にわたりましてありがとうございました。
 委員の先生方のご意見の中で、私の誤解かもしれませんけれど、そもそも何で今回こういった計量制度の見直しを行わなければいけないのかというところについて根本的なご疑問が寄せられたかというふうに思いますので、その点について触れさせていただきたいと思います。
 具体的には地方公共団体の代表の方から、そもそも論として、規制改革だとかいろいろいうけど、そもそも非常にうまく対応してきたのではないかというようなご意見があったかというふうに思います。ただ、これは既に皆様よくご承知のことだと思いますけれど、確かに平成4年あるいは平成5年のときに規制緩和の動きというのはあったわけですが、その後、平成16年の3月19日に規制改革の閣議決定が行われまして、そこの中で基準認証と資格制度は重要項目になっているのです。我々からもご説明いたしましたが、まさに自己確認、自主保安化する。現在政府が行っている検査・検定業務を事業者自身に委ね、自己確認、自主保安化するというような形になってございます。ということで、要するに世間といいますか、政府全体として、国全体として、計量制度については、さらに規制改革なり規制緩和の必要があるという判断をしているわけでございます。それが第1点でございます。
 第2点目の話として、執行体制のあり方として、地方自治体に自治事務化したので、執行体制が弱体化したのではないかというお話があったと思いますが、実態的にいうと、それはおっしゃっていることは当たっているのかもしれませんが、片一方で、国がやるべきことは国でやれ、地方でできることは地方でやれというのは大きな時代の流れでございまして、これを今さら覆すというのは非常に難しいかと思います。ただ、実際に地方自治体の執行に当たっていろんな問題点があるというのは、きょうも伺いました。どうやって新しい制度のもと、それをワーカブルなものにするかどうかというのは、よく皆様とご相談させていただきたいと思います。
 以上、簡単ですが。
○飯塚座長  ありがとうございました。
 それでは、次回の日程等を事務局からお願いします。
○籔内計量行政室長  次回の日程は、引き続き検討課題についてご議論いただくことになりますが、10月中をめどに日程を考えております。改めて各委員の日程を伺いながら決めたいと思っております。
 以上です。
○飯塚座長  それでは、時間もまいりましたので、本日のワーキンググループ第1回の会合はこれで終わらせていただきます。長時間、どうもありがとうございました。

                                      
            ――了――
 
 
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